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特殊能力を持つ一般的な僕が気付いたら能力で遊んでた。

 とりあえず何食わぬ顔で一階に下りて行った。少し身構えていたが、リビングには誰もいなかった。家族は皆一日中仕事漬けの生活を送っているからこういう休みの日は起きるのが遅いのは仕方ないと思う。こういう時はありがたいと思う。普段ならテレビでアニメを観るけど、今回ばかりはそれも出来ないので、仕方なく食パンを二枚食べて部屋に戻った。でも洗濯ぐらいはやった方が良いなと思って、洗面所に向かった。

 もちろんうちは兄の稼ぎがとてつもないので、洗濯機はもちろん家中の家電は大体最新式だ。しかも数年に一回は買い替えるから、いちいち使い方を覚えるので、結構苦労している。とりあえずかごにある洗濯物を全部洗濯機に突っ込んで、洗剤を入れて、スイッチを入れた。終わるまで四十分ちょいあるからなんかアニメでも観よ。たしか十分足らずのと三十分ぐらいのアニメを一つずつ貯めてるからそれでも観て待とう。




 ちょうど観終わったら洗濯が終わったから、そのままベランダに干した。時間は今だいたい九時半、そろそろ家族が活動を開始する頃だ。今のうちにさっさと自室に逃げよう。

 正直、戻ってもやることはない。受験に追われているわけでもテストに追われているわけでもないから、勉強をしなければいけないわけじゃない。とりあえずパソコンを起動して、適当に動画を観ることにした。それと同時に適当にSNSをあさる。こういうどうでもいい時間が何をやれないいか一番分からない。予定もない。金もそこまでない。欲しい物もそこまであるわけでもない。適当に動画を観て、ネトサをして、食べて、飲んで、寝て、本当に何をすればいいか思いつかない。そうだ、能力で遊ぶか。




 僕の能力は、視界内の物体一つを、五十センチ以内で好きな方向に落下させる、というもの。字面だけを見たら結構強そうって思う人がほとんどだろう。でもこの能力には実は制限がある。ざっくりと二つある。まず一つ目は、能力の対象は人がぶつかってもほとんどダメージがない物に限定されている、ということ。例を挙げると枕・消しゴム・スポンジ・服・紙・クッション・人形とか、本当に対象は少ない。だから使える状況は本当に結構限定されている。二つ目は五十センチ以内しか落下させられないってこと。詳しく言うと、最大でも五十センチ落下したらすぐに通常の重力の向きに落下してしまう。対象に与えられたエネルギーなんて最初から無かったように。だから五十センチ以上は落下させられない。あとは物理法則に従うだけ。本当に使えそうで使えない能力。でも視界内なら投げた後に能力を使えば飛距離をほんの少しだけ稼げるから、投げて手渡しする時とかは便利。

 まあでもこんなでも周囲からは頭一つ抜きでている能力ではある。僕の一番の友人は、読んでいる本の残りページ数が分かるなんてのだし、その弟は単四電池オンリーだけど残りの電力量が分かるなんてもの。生活に利用できるだけで良いレベルなのがこの世界。そう見ると兄の能力がどれだけ異常なのかが分かるだろう。というわけで適当に物を投げながら昼食まで遊ぼう。

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