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しょぼくない  作者: 何故
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望んだ所で。

面白そう、やってみたい。そう思っても、やれない事の方が世の中には多い。例えば世界を征服したい、なんて一度は考えてみたとしよう。だが実際に実行出来た者は史実上存在しない。人間一人に出来る事なんてたかが知れてる。それでも人は望み続ける。理想を叶えるために。



どこかで読んだ小説の一部を、なんとなく思い出した。ごくごく当たり前の事を、仰々しく説明したこの文章は、どうでもよくて、簡単に忘れそうで、とにかくなんだっていいやって思えるものだった。じゃあなんでそんな者を憶えているんだって話だけど、全く持ってそう思う。

自分の能力が強大な物になったら。そんな事を考えた事が無い人間は、そう多くないだろう。一部の者を除いて、大抵の能力は使えないものばかりだ。僕のはまだ良い方だ。まだ有効活用出来るだけ、全然マシだ。そんな奴等が、急に強くなれるなんて知ったら、一体どんな気持ちになるだろうか。人間は少し速く走れるだけで大騒ぎする。そんな単純な世界でも、簡単にひっくり返るなら、人々はどれだけそれを求めるだろうか。僕はその薬に、そんな希望と渇望を感じた。


「では日程等についてですが、こちらの資料をご覧下さい」

そう言われ手渡されたのは、ピラ一枚だけ。内容はとても淡泊。日程と場所と、目的だけ。学校のプリントの方がまだ中身があるぞ。

「ここの内容の通り、来週から潜入してもらう」

「送迎等のサポートはこちらで可能な限り行わせていただきます。なので皆さんには目的の方に専念していただきます」

まあ、その程度はね。逆になかったら辛いな。

「また、こちらをお貸しします」

いつの間にか席を離れ、野上さんの隣に立っていた細谷さんがアタッシュケースを開いた。

「え?」

開かれたアタッシュケースの中には、およそ現代日本に存在してはあまりよろしくない形状をしていた。

「拳銃…ですか?」

拳銃の形をした物。能力社会になったとはいえ、まだまだ銃の有用性は高い。何分銃に対応出来る能力は限れている上に、まともに使える場合もそう多くない。そんな物を僕が使って良いのか?

「いや、これは拳銃ではない。テーザー銃だ。米国では警官の標準装備にもなっている。現代ではよくある防犯グッズだ」

これがテーザー銃か。初めて見た。言われてみれば、銃口が二つある。こんな形しているのも、この銃の特徴なのだろう。

「これは潜入中、やむを得ない場合のみ使用してくれ。殺傷性は左程高くはないが、当たると普通に痛いし、ある程度の麻痺も期待出来る代物だ。絶対に、無暗に使用するなよ」


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