ちょっとヤバい事と、ヤバいもの。
どうやら全員押した様だ。こういう時って一人は断る事があると思っていたが、存外そういうワケではないようだ。そんなに期待していたワケではなかったが、少し残念に思った。
「よし、全員押したな」
加賀美が三人分の書類を確認してそう言った。
「じゃあ詳しく説明していくぞ」
「それについても私が」
やっぱり野上さんが説明するのか。もう置物で良いんじゃないのか?加賀美さん。
「探していただきたいのは、このカプセルです」
プロジェクターに映し出されたのは、よくあるカプセル薬だ。
「見た目自体はよくある物ですが、中身が少々厄介なものでして」
「まあ有り体に言えば、ドーピング薬だ」
美味しいトコだけ加賀美さん言うね。役得だね。
「ええ、我が国ではドーピング薬の使用自体は合法な物であれば問題ありません。ですが本件の物は、御察しの通り、違法な物である可能性が高いと考えられています」
可能性が高い?
「それって、まだ確証が無いって事ですか?」
石木田が声を上げた。
「そうですね。まだ完全にはと決まってはいませんが、限りなく違法な物であると思われます」
どうやってそうなったのかは知らないけど、要は確証として実物が欲しいから取って来いって事か。
「もちろんこちらでも捜索は行いますので、皆さんのはあくまで保険に近いものです」
「こっちで手詰まりになった時用の要員って事だ。まあお前等が取って来てくれるなら、苦労ないがな」
保険って。言い方ひどくない?って思うけど、こうストレートに言ってくれる方が、自分は案外気楽というか、変に気遣わなくて楽だ。でもそれよりも…
「はい、質問」
榎川が手を挙げた。
「はい、なんでしょう?」
「そのドーピング薬って、どんな効果があるんですか?」
そう、そこだ。結局効能何なのかってのが気になってた。ナイス。
「詳しい効果や性能については不明ですが、『能力の強化』になります」
「それはどの程度の強化になるのですか?具体例はありますか?」
「先程申した通り、詳しい性能については確認出来ていませんが、確認出来たケースですと『1cm浮く』能力が『10cm浮く』能力になったそうです」
すごいな。能力がざっくり十倍になるって。予想していたより結構ヤバそうな気がしてきた。
「他には『体から電気を100mAを0.01秒放出する』というものが、『0.1秒放出する』というものになったそうです」
それもすごいな。
「ちなみに人間の感電死に対する耐性ですが、100mA程度なら1秒流れると危険な域になるので、致死性が高いワケではありません」
「この例だとそうだが、ざっくりと使用者の能力を10倍にするものだと考えられる。これは能力によってはかなりの危険性が生じる。そのためこの薬を即刻回収、詳しい成分を解析し規制する必要がある」
「その上まだどんな効能があるのか不明なので、早い段階で手を打っておきたいのです」
なんか麻薬捜査官みたいで面白そうな事になってきたな。




