分岐点な予感。
「以上で解説は終わります」
たらたらとした感じもせず、レベルを合わせてくれているのか特に小難しくも無かった。だからかあんまり眠くならなかった。そう感じるって事は、野上さんのプレゼンが上手かったという事だろう。
「では、今後について話します」
今後?そういえば細谷さんが言おうとしていたな。結局訊く機会も見付けられず、何なのか分からなかったんだよな。
「それについては、班長から」
「おう」
班長、加賀美が席から立ち上がった。そしてパソコンを操作し、プロジェクターからの映像を変えた。変わった映像には、この町の地図が映された。
「ここに、例の集団がいる」
加賀美は町の中心部から少し離れた所を指さした。家とは真逆の方向だ。
「集団名は『人形劇団』。文字通り人形劇を主な収入源として活動している。色は緑だ」
人形劇団…あんまり知らないジャンルだな。
「お前達には、この集団に潜入してもらう」
は?スパイ映画しろと?
「補足します」
あ、野上さん…結局は貴女が言うのね。
「正確にはこの集団から指導を受けてもらいます」
指導って事は・・・
「その後あなた達にはある物を探していただきます」
ある物?何、麻薬とか?
「ここまでが、お前達に開示する情報だ。そしてここからは最終確認をしてからだ」
最終確認?
「これが本当の最後だ。お前達がこの事案に協力するかどうか、決めてもらう」
野上さんから、二枚の紙を渡された。
「契約書…」
「そうだ。その内容に同意するならば、サインしてくれ」
ここがゲームなら、『この選択はゲームの進行に大きく影響します』みたいなメッセージが出るんだろうな。けど、そんな事を言われたって、もう決まっている。
僕はサッと内容を読み、二枚ともサインした。
「あ、これで拇印押して」
「あ、はい」
細谷から朱肉とウエットティッシュを貰った。拇印を押すのって、なんだかんだ機会がないから、ちょっと楽しみなんだよね。アニメとかではよくやっているイメージだけど、現実では見かけないからな。大体が印鑑だしね。楽だし。朱肉に親指を押し付けた。朱肉の感触がちょっと気持ち悪かった。そうだ、いつだったか、スタンプ台を使って手形の絵を作った事があったっけな。まあ朱肉もスタンプ台みたいなもんだし、その感覚を思い出すのも当然か。そんな事を考えながら拇印を押し、手を拭いた。




