沁みるってこういう感じか。
「怖かったでしょ」
「・・・はい」
班長室を後にした僕らは、休憩室でお茶を飲んでいた。ちなみに僕はホットのストレートティー、細谷さんはホットのコーヒー。
「まあ慣れてくれとしか言いようがないんだよね。性格含めて」
「はあ」
紅茶をすする。程よく丁度良い温度が体に沁みる。
「じゃあ今後の事について話そうか」
「今後、ですか」
「うん、まあ」
今後。確かに加賀美さんも言っていた。それに気になる事もある。
「あの、その前に一つ」
「なに?」
「さっきまとめて、って言いましたよね」
「いつだっけ」
「加賀美さんの部屋で」
「ああ。それの意味が知りたいって話?」
「はい」
「おっけ、良いよ教えてあげる」
「あ、良いんですね」
「まあ別に隠す事でもないし、どうせすぐ分かるし」
「へえ」
「えっとね、まず君みたいに協力してもらう人が他に何人かいて、君が最後の一人」
「はあ」
「で、君の前の人達にはまだ具体的に話していない」
「だからまとめて?」
「そう。変に細々と話すよりまとめての方が互いに楽だからね」
「ちなみに、僕以外に何人いるんですか?」
「現状だと、2人かな。追加する可能性はあるけど」
「そうなんですか」
「楽しみ?というか興味ある?」
「まあ、そりゃあ」
「まあだよね。でもそこは当日まで秘密」
「えー」
「まあまあ、こういうのは焦らすもんなんだよ」
そこまで言うなら焦らすなよ。変な所でめんどくさいな、この人。
「まあこれ飲んだら一回帰ろうか」
何分か、十何分か、はたまた何十分か細谷さんと駄弁ってた。細谷さんの前に並べられた缶も五本ある。意外とごまかしたりふざけたりするけど、話すとなんだかんだ楽しい人だ。
「もう一本飲む?」
「いや、これ以上は夕飯に響くんで」
「それもそっか」
缶の底に残っているコーヒーを、グイっと一気に細谷さんは飲み込んだ。そしてすぐに空き缶を全部ゴミ箱に捨てた。
「じゃあまあ、帰るか」
「あ、はい」
僕も続いて捨てている間に、さっさと出て行ってしまった。それに急いで付いて行く。行きと同じ道で外へ向かう。カードリーダーにタッチするのを忘れずに。
外へ出ると、もう日がほとんど暮れていた。雲が濃くて夕焼けは見えない。だから一層暗く感じる。
「いやー、もうこの時期になると本当に暗くなるのが早いよねー」
「ですね」
一言交わして駐車場へまた移動する。風が冷たい。
「風も冷たくなってきたねー」
「ホントに」
車に乗る。今度も後部座席に座る。
「公園の近くで良い?」
「あ、はい」
こんな素っ気ない会話だけど、僕は楽しかった。




