意外と、ってよく思う。
『捜査第三課M**県分署』
M**県県庁所在地の、市内中心部より遠からずの位置の、秘匿的な政府組織の拠点が集まるとあるオフィスビルの三階に位置する。なお同階にはこれ以外にも部屋は存在するが、そのほとんどは空室となっているため、実質的に三階は操作第三課が占領している。
二人に連れられて中に入ると、そこは至って普通のオフィスだった。テレビの、実業家だか会社だかの取材に映る様な、普通なイメージ通りの空間だった。白を基調としたカラーリングで、清潔感がとても、ではないが溢れていた。見るに本当に普通だった。
「どう、意外と普通でしょ」
「ええ、まあ、はい…」
「ウチみたいな特殊な感じの所とはちょおっと、想像つかなかったでしょ」
確かに、勝手になんかすごいとこ、みたいな漠然としたイメージは持っていたが、ここまで普通だと逆に何も驚きようが無かった。芸能人の私生活は案外一般人と変わらない、みたいな感じだ。勝手に期待して勝手に落胆して、いつぞやの自分の様で、勝手に嫌気がさした。
「まあとりあえず、班長に挨拶しようか」
「え、礼儀とか僕無理ですよ」
「まあ相当失礼な事言わなければ大丈夫だから」
「はあ…」
「先輩はどうします?」
「いい。私はデスクに戻る」
そう言って野上は自分のデスクの方向と思われる方向へと向かった。ここまで来たなら、最後まで一緒してくれたら良いのに。
「あの」
「ん?」
「その班長さん、ってどんな人ですか?」
「どんな人か…」
細谷はう~んと腕を組んで悩みこんでしまった。時折首をひねりながら考えている。そんなに悩む人なのか、その班長とやらは。
「まあ、ウチ、というか政府内でトップクラスに強い人、かな」
「政府でトップクラスって、相当じゃないですか」
「しかも能力に頼る頼らないどっちにしろ強い」
なにそれ、その人人間?人の皮を被ったゴリラとかいうオチじゃないよね?
「まああと信頼出来る、良い人だよ。それは保証出来る」
「はあ」
なんか今度は一気に不安になってきた。この人と少しだけど話して分かった事がある。正直言葉が薄っぺらい。なんとか取り繕うとする感じがとてつもなく強い。だから所々信じられない節がある。
「まあ、とりあえず会ってみようか。連絡はしてあるから、アポ取れやって怒りはしないだろうから」
てことは前に怒った事があるのか。余計心配になってきた。
「じゃあ着いて来て。班長の部屋は隣だから」
細谷に連れられて、部屋の隅へと連れられる。
「ここ、元は壁だったんだけど、なんか前の利用者が強引に穴開けて隣と繋げたらしい。んで、直すのも面倒だから、こうして利用されてるの」
いやその豆知識はいらないんだけど。
「さておいて、班長とこ行こうか」
「はあ」
「まあそんな気張んなくても」
「いやそんな言われ方されてたらもう、怖いイメージしかないんだけど」




