読み込む前に、一呼吸置きましょう。
「協力?」
「うん」
「・・・協力?」
「協力」
いやいや、たかが中学生一人に国家権力サマが何をご所望だよ。確かにあのケースを預かった時点で何かしらの見返りを求められるとは考えなかったワケではないけど。でも
「協力って、何?」
「まあ、文字通り手伝ってもらう」
「だから、何を?」
「それは…」
「おい、何をしてる」
細谷が話そうとした瞬間、後ろから、ドスの効いた声がした。
「あ…センパイ…」
「先輩?」
細谷が先輩と呼んだ、声の主。外見は、ごくごく一般的なスーツの女性。妙にデカい黒サングラスが特徴的だ。ただし血管が今にも浮き出しそうなぐらい、引きつった顔をしている。サングラスの下が見えなくて良かったと思う。誰が何と言おうと、爆発寸前、いや、既に爆発している顔をしている。
「何を、している?」
細谷の顔から血の気が引いていくのが分かった。人間って本当に顔が青くなる事ってあるんだ。
「ああ、いや、先週の、続き、を…」
「はあ?」
「あっ、はいっ、すみません…」
「何が、すみません、だ?」
明らかにキレている。そして僕を挟まないでほしい。超めんどい。
「先週の件って、昨日片付いたんじゃなかったのか?」
「ああ、いや、その」
「あ?」
「あっ、すみません…」
なんかここまで来ると、滑稽って言うか、面白くなってきた?かも。
「一応、あの、報告書は、提出、したん、ですけど、も…」
「は?」
「ああ、すみません…」
今度は可哀想になってきた。報告書出してんなら問題ないんじゃないの?
「・・・ホントじゃん」
どうやら確認していなかったらしい。これが所謂理不尽?
「まあ、私に連絡していない時点で貴様は有罪だがな」
「あっ…」
撃沈、KO、GAME OVER、おしまい。どっちみち終わっていたらしい。
「まあそいつが普段から連絡クソだからな」
そうそう、そういう人間はね、どっちみち叱られるオチにあるんですよね。ってか
「え、心読んだ?」
「読んでないぞ」
嘘だ。
「嘘じゃないぞ」
「いや嘘でしょ。能力?」
「違う。これはただの読心術、技術だ。訓練すれば誰だって身に着けられる」
へ~なんか、人間として領域が違いそうな人だな。こんな感想しか出ないな。うん。
「というか君は誰だ」
「え」
ショック。この流れで分からないは、これこそ嘘じゃない?その報告書の中身大丈夫?薄っぺらくない?
「いや先輩、この子は例の」
「ああ、リストの子か」
遮ったのにも引くけど、リストってなんだよ。僕、誘拐されるの?
「安心しろ、ただの該当能力者リストだ。別に誘拐などする気はない」
へ~、っつーかまた読まれた。なんかあんまり話したくないな。いつか色々丸裸にされそう。
「まあいい。それよりも、ホラ」
一枚の紙切れを渡された。紙には、何も文字は書かれていなかった。ただでかでかと、QRコードが描かれていた。
「あやしっ」
「怪しくない」
「ほら、やっぱり怖がるでしょ。だからやめようって言ってるのに」
「うるさい。これが楽なんだ」
せめて何かしら説明文入れてくれよ。怖すぎんだよ。




