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しょぼくない  作者: 何故
12/21

寒空の下と体育館の中の気温差っていくらぐらいかな。

ああ、退屈だ。何回も何回も聞いても出てくる感情はそればかりだ。どうしても校長の話というものは、誰も彼もつまらない話しかしない。いっつもつまらない。まだこの気温の低さについて語った方がマシかもしれない。いや、それもつまらないか。

あくびをする。吐いた息が白くなる。上を見る。照明を囲う鉄柵に挟まったバレーボール、いつになっても取られない。空気が抜けるまで待つつもりなのだろうか。というか取るにしてもどうやって取るのだろうか。どでかい脚立?クレーン車?それとも長棒?いずれにしても面倒そうだ。ああ、面倒だから取らないのか。前を見る。校長の話が雑音に感じたのは久し振りだな。頭を動かさずに、眼球だけを動かして周りを見る。目を閉じている者、下を見ている者、あくびをする者、手で遊ぶ者、色々といるが皆退屈そうだ。教師陣も壇上を見てはいるが、何も考えていなさそうな目をしている様に感じた。皆つまらないんだな。




話も終わり、大した連絡事項も無いクセに、何でこんな事するんだろうな。毎度毎度思うが、これに意味はあるのだろうか。まあ形式的なものなのだろう。わざわざ一時間目を潰す程の理由も無いだろうしな。

体育館を出て、教室に戻りながら考える。冬場が近付くと階段の手すりが冷たくなるから嫌いだ。あと何で四階に教室があるんだ。わざわざ一学年を三階と四階に分ける理由が分からない。改装しろ。それともなんだ、当初はこんなに生徒を抱える気がなかったのか?だから縮こまった校舎を建てたのか?なんにせよ大人は馬鹿だ。ちょっと考えれば分かるような事も考えられずに、いつも突っ走る。どっちが子供かよっていつも思う。あのスーツもそうだ。なんでこんな人間に託すんだ。馬鹿だな。


今日の授業は妙に入らなかった。いや、いつもそうか。こんな気分だからそう感じるだけで、いつもまともに授業を受けていた記憶はあまりない。点数目的だけのヤツが積極的に手を挙げて、教師はそれを強要する。面倒なんだよ。消えてしまえ。あと珍しく早く帰れた。そういや先週もそうだったな。なんだ?最近は早く帰そうとでも考えてんのか?それは評価出来るがな。

帰路も珍しく誰ともすれ違わなかった。普段なら数人とはすれ違うのに。まあこの道狭いからその方が楽で良いんだけど。つーか狭くて車に当たりそうなんだよ。なんならぶつかって慰謝料でも請求してやろうか?いやただのヤンキーだな。違うな、何だっけ。ああ、そうそう当たり屋だ。あんな低俗な人間にはなりたくないな。

そろそろあのスーツと出会った場所に着く。何だろうな、僕は期待しているのか?もう一度出会いたいと思っているのか?まああんなものいつまでも持ってたくないし。ケースの処分の仕方とか知らないし。中身ももっと知らないし。勝手に使うのはなんか申し訳ないし。

「あーあ、出会いたくなかったな」

そうつぶやいてみた。あの男がいたら、気付いてくれると、勝手に期待して。どうせ実らないと分かってるのに。

「そうか?」

一度だけ聞いたあの声が、聞こえた気がした。

後ろを振り向いた。辺りを見回した。もちろん居なかった。知ってたさ。思い過ごし、幻聴、願望。ありえない事を望んで悪いとは思わないけど、これは高望みだったよな。

勝手に期待して、勝手に落胆した。俯いた所で、何も変わりやしないのにな。

「何勝手に落ち込んでんだよ」

顔を上げた。

「よっ」


眼球が震えた気がした。

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