表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しょぼくない  作者: 何故
11/21

ほんのついさっき考えていた事はもう忘れてて。

外気が気持ち良さを与えるなんて、僕の感性はイカれたのだろうか。寒空は気が悪くなる程晴れている。青しかない空。曇りなど一点たりとも無い。この空も、僕に対する罰なのか。吐き気を催す。朝食か夕食かが喉をせり上る。強引に飲み込む。喉が少し焼けた、この痛みも罰なのか。ただ歩くだけで気が沈む。ただのいいつもの道でさえも、知らない道の様で、進んだ先が、未知の世界にすら感じる。ああこの気持ちよ、消えてなくなってしまえ。




下らない事を考えていても、歩みを止める事はない。頭が拒否しても、体がそんな事と言って動く事を止めない。この歩いた道など、とっくに忘れてしまっていて、気付くと学校の前にいた。校門の先には二人歩いていた。一人は俯いていた。一人は口笛を吹いていた。僕はそんな二人を見ていた。その二人を追う様に校門をくぐった。

靴を履き替え、教室に向かう。四階建ての四階の端の教室が、僕の所属する教室。教室には誰もいなくて、今だけは僕だけの空間になった。別に嬉しくはないし、悲しくもない。虚しくもないし。カバンを自分の机の上に放り投げる。ドカッと鈍い音と机の軋む音がした。そして椅子に座った。カバンを横にして、それを枕代わりにして、顔をうずめた。合皮だが繊維だか知らないけど、カバン特有のにおいがした。紙のにおいもした。すぐに呼吸がしづらくて顔を上げた。パチパチと何度かまばたきをした。眼が縮んだのか拡がったのかは知らないが、眼が動いたのが分かった。こんな事は気持ち悪いだけで、特に痛みは感じないけど、気味が悪い。自分の体にすら嫌気がさして、面倒になる。諦めて目を閉じた。瞼の裏の、白いのか黒いのかよく分からない何かで想像する。自分でもよく分からない形にしてみたり、知る何かにしてみる。

そうして遊んでいると、足音が聞こえてきた。急いでるわけでもゆっくりしてるわけでもない、普通の足取りの、足音。段々近付いてきている。この教室に向かってきている。誰だろうか。そして遂に扉が開いた。

「なんだ、いたのか」

その声に合わせて目を開いた。何度かまばたきをする。狭窄した世界が少しずつ広がる。目を細めて声の主を見る。

「泉か」

「そうだよ、おはよう」

「ん」

泉、いつも思うけど、いつになったら変声するのだろうか。男のくせに未だに変声期が来ず、男児の様な高い声をしている。

「三連休何してた?」

「引きこもってた」

「もったいねー」

「良いだろ、別に。休日をどう過ごそうが僕の自由だ」

「まあね」

当たり障りのない会話をする。いつもそうだ。

「俺は家族とプチキャンプに行ってたぞ」

「あっそ」

「Ⅰ*ヶ岳に行ってきてな、シーズンはとっくに過ぎてるから全然人がいなくて、かなり占拠できたぜ」

だからその声で一人称が俺はなんか落ち着かないんだよ。僕でも私でもいいから変えてくんないかな。

「近くの沢にも行ってな、足滑らせて片足突っ込んじまってさ、すんごい寒かったんだよ」

そうですか、お前の足ねえくせによく言うよ。

「まあ足無いんだけどな、ハッハッハッ」

それもう言ったよ。自分の無い足を叩きながら笑うなよ、余計に気持ち悪い。自分の能力で自虐ネタをすんのは流行らねぇんだよ。つーか今は制服で見えないしな。

「あ、そうそう、今日って朝会あるだろ」

「あーーーーーーーめんどくせぇ」

「だよなー。この時期は寒いクセに、お気持ちのデカヒーターなんてあんまし意味感じないしなー」

「まったくだよ」

「賞状伝達とかやんないと良いなー。無駄に長いし、他人の賞なんて興味無いし」

「だよな」

「そうそう」

こういうトコだけは気が合うから、完全には嫌いにはなれないんだよな。コイツ。

いずみ駿しゅん

能力名「足踏あしぶみ」

効果:膝から下が存在しない

本人もどの様にして立って歩いているのかは不明。能力発現前と感覚は変わっておらず、ただ足が無いだけ。本人にも他者にも見て触る事はできない。だが何故か靴下も靴も履ける。

発動条件:常時発動

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ