⭕ 楽しいキノコ狩り 2
オレの視界に入ったのは、宙に浮いて動いている沢山の茸だった。
マオ
「 ──何だ、あれ??
茸が動いてる??
………………動く茸なんて生えてたかな?? 」
オレの視界に見えたのは間違いなく茸だった。
茸が動いてるんだから、不思議に思うのは当然だと思う。
茸の不思議は取り敢えず置いといて、オレは背負っていた籠を下ろして、目印を付けて隠したら更に近付いてみる事にした。
マオ
「 ──うわぁ!
嘘だろう!
ガチで茸を背中に生やしてるよ!
ん~~~……生えてるのかな??
あれがヒーウイさんの言ってた “ キノコドラゴン ” ってヤツなのかな?
それにしても身体の色が悪いなぁ……。
──あっ、コイツを持ち帰ったらセロが喜ぶんじゃないか?
頭上に大きな茸,尻尾の先も大きな茸,背中には小さな茸が沢山生えてるし、珍種のドラゴンかも知れないもんな?
今夜はセロと『 いいこと 』出来ちゃうかも??
死体よりも生きてる方が喜んでくれるかも。
よし、コイツを峰打ちしてセロにプレゼントしよう!
お土産だぁ! 」
オレは腰に付けている鞘から剣を引き抜いて構える。
キノコドラゴンが歩いている先には人間が居て、銃を乱射して抵抗している。
オレには本当の猟師なのか猟師に扮している偽物なのかは判断が付かない。
今は助けるしかないよな……。
籠を背負ってる人はオレ同様、茸狩りをしに来た人かも知れないな。
山菜採りに来た人かも知れないけど。
先ずは話を聞いてみないとな。
その前にキノコドラゴンを峰打ちだ!!
銃を乱射していた男は弾切れして使えなくなった銃を地面に投げ捨てた。
今だ!
今ならキノコドラゴンに攻撃出来る奴はオレしかいない。
オレは剣を構えて、キノコドラゴンの前へ飛び出すと、キノコドラゴンへ斬り掛かる。
キノコドラゴンは口から黒紫先色をした息みたな何かをボブッ──と吐いたけど、オレには効かない。
正面から突っ込んで、先ずは頭の茸を斬り捨てる。
続いて尻尾の先の茸も斬り捨てる。
大きな茸を斬り落としてもキノコドラゴンはダメージを負ってないみたいだ。
キノコドラゴンの背中に生えている茸が胞子みたいなのを飛ばすと斬った筈の茸が復活している。
どうやらキノコドラゴンの再生力は高いみたいだ。
死なないなら両肩から下の腕を斬り落としてみようかな。
両腕も再生したら、セロが喜ぶかもな。
キノコドラゴンの背中に生えている茸は胞子を飛ばし続けている。
キノコドラゴンの両腕を落とすと、キノコドラゴンは緑色の息を吐いた。
どんなに斬ってもキノコドラゴンは再生してしまうから中々死なない。
生きたままの状態でセロにプレゼントしたかったけど仕方無い。
オレはキノコドラゴンの首を斬って、胴体も細かく切り刻んだ。
あぁ~~あ…………折角の珍種の怪物だったのにな……。
さっき迄キノコドラゴンだった残骸を見て、オレは両肩を落として溜め息を吐いた。