☀「 セロ 」もしも、マオとセロフィートがブックカフェを始めたら……。

【 三ヵ月後 】やっぱり客の来ないブックカフェ

⭕ 楽しいキノコ狩り １

──＊──＊──＊──　山中

　≪ ケイラーム(街（まち）) ≫を出（で）て山（やま）へ入（はい）ってから、茸（キノコ）狩（が）りを開（かい）始（し）した。

マオ

「 大（たい）量（りょう）大（たい）量（りょう）～～～！

　 何（なん）でか分（わ）からないけど、彼（あち）此（こち）に生（は）えてるじゃん♪♪♪

　 これなら直（す）ぐに籠（カゴ）の中（なか）が一（いっ）杯（ぱい）になるぞ！

　 セロに怪（あや）しまれないで済（す）む！

　 よ～～し、張（は）り切（き）って茸（キノコ）採（と）るぞ～～！！ 」

　籠（カゴ）の半（はん）分（ぶん）以（い）上（じょう）迄（まで）茸（キノコ）を採（と）れたオレは、早（はや）目（め）の昼（ちゅう）(ラン)食（しょく）(チ)を取（と）る事（こと）にした。

　オレの為（ため）にセロが用（よう）意（い）してくれた弁（べん）当（とう）とパン屋（や）で買（か）った特（とく）製（せい）サンドイッチを平（たい）らげたオレは、休（きゅう）憩（けい）を済（す）ませて茸（キノコ）狩（が）りを再（さい）開（かい）させた。

　前（ぜん）日（じつ）に雨（あめ）が降（ふ）った訳（わけ）でもないのに面（おも）白（しろ）い程（ほど）茸（キノコ）が採（と）れちゃうから笑（わら）いが止（と）まらないよ！

　調（ちょう）子（し）に乗（の）って茸（キノコ）を採（と）っていたら、誰（だれ）かの叫（さけ）び声（ごえ）が聞（き）こえて来（き）た。

　「 空（そら）耳（みみ）かな？ 」って思（おも）ったけど、どうやら違（ちが）うみたいだ。

　むぅ……折（せっ）角（かく）茸（キノコ）狩（が）りを楽（たの）しんでたのに、台（だい）無（な）しじゃんか！！

　とは言（い）ってもだ、オレは元（もと）人（にん）間（げん）だからセロみたいにど（・）ん（・）な（・）人（にん）間（げん）に対（たい）しても非（ひ）情（じょう）にはなれない。

　それに聞（き）こえて来（く）る叫（さけ）び声（ごえ）の相（あい）手（て）は、どうやら１人（り）じゃない。

　銃（じゅう）声（せい）も響（ひび）いていて穏（おだ）やかじゃなさそうだ。

　叫（さけ）び声（ごえ）と銃（じゅう）声（せい）を頼（たよ）りにか（・）な（・）り（・）歩（ある）いたけど、大（だい）分（ぶ）森（もり）の奥（おく）に入（はい）っちゃったみたいだな。

　もしかしたらセロが動（どう）物（ぶつ）達（たち）を守（まも）る為（ため）に森（しん）中（ちゅう）を見（み）廻（まわ）り徘（はい）徊（かい）させている〈 器（うつわ）(キ)人（にん）(ニン)形（ぎょう）(カ) 〉かも知（し）れない。

　前（まえ）にセロと森（もり）へ入（はい）って山（さん）菜（さい）採（と）りをしていた時（とき）に、動（どう）物（ぶつ）達（たち）がセロへ助（たす）けを求（もと）めて集（あつ）まって来（き）た時（とき）があった。

　セロは人（にん）間（げん）に対（たい）しては頗（すこぶ）る容（よう）赦（しゃ）ないけど、人（にん）間（げん）に虐（しい）げられて困（こま）っている弱（よわ）い立（たち）場（ば）の動（どう）物（ぶつ）達（たち）には慈（じ）悲（ひ）神（しん）みたいに優（やさ）しいんだ。

　オレには動（どう）物（ぶつ）達（たち）の言（こと）葉（ば）は分（わ）からないけど、目（め）を見（み）れば「 必（ひっ）死（し）に助（たす）けを求（もと）めてるんだな 」ってのは何（なん）と無（な）く感（かん）覚（かく）的（てき）に分（わ）かる。

　あの時（とき）の動（どう）物（ぶつ）達（たち）は心（しん）底（そこ）切（せっ）羽（ぱ）詰（つ）まってた感（かん）じがしたから、相（そう）当（とう）困（こま）っていたんだと思（おも）う。

　生（い）きる為（ため）に行（おこな）う狩（か）りじゃなくて、剥（はく）製（せい）にしてコレクションする為（ため）に猟（りょう）師（し）に変（へん）装（そう）して、我（わ）が物（もの）顔（がお）で森（もり）を荒（あ）らして好（す）き放（ほう）題（だい）に動（どう）物（ぶつ）達（たち）を狩（か）って楽（たの）しんでる輩（やから）に困（こま）ってたんだから、心（こころ）無（な）しかセロも怒（おこ）ってたんじゃないかと思（おも）う。

　セロの無（む）表（ひょう）情（じょう）な顔（かお）を見（み）てもオレには分（わ）からないけどな……。

　そんな事（こと）があって、セロは困（こま）っていた動（どう）物（ぶつ）達（たち）を助（たす）ける為（ため）に怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)寄（よ）りの巨（きょ）漢（かん）熊（ぐま）の〈 器（うつわ）(キ)人（にん）(ニン)形（ぎょう）(カ) 〉を〈 テ(原（げん）質（しつ）)フ(の源（みなもと）) 〉で構（こう）成（せい）して、動（どう）物（ぶつ）達（たち）を守（まも）る為（ため）に森（しん）中（ちゅう）を見（み）廻（まわ）り徘（はい）徊（かい）させているんだ。

　怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)に襲（おそ）われても逆（ぎゃく）に倒（たお）せるぐらい強（つよ）い戦（せん）闘（とう）用（よう）だから、人（にん）間（げん）に倒（たお）せるわけがないんだ。

　銃（じゅう）を撃（う）っても銃（じゅう）弾（だん）なんか弾（はじ）き飛（と）ばすんだから攻（こう）撃（げき）しても無（む）意（い）味（み）だ。

　仮（かり）に〈 器（うつわ）(キ)人（にん）(ニン)形（ぎょう）(カ) 〉を相（あい）手（て）にしてるなら、止（や）めさせないとだ。

　また猟（りょう）師（し）に変（へん）装（そう）して動（どう）物（ぶつ）を狩（か）って楽（たの）しんでるような奴（ヤツ）等（ら）だったら、国（こっ）境（きょう）付（ふ）近（きん）に捨（す）てて来（き）てやろう。

　襲（おそ）って良（い）いのは、襲（おそ）われて死（し）ぬ覚（かく）悟（ご）の出（で）来（き）てる奴（ヤツ）だけだ！！

　我（われ）ながら良（い）い事（こと）言（い）ったんじゃないか？？

　そんなわけでオレは籠（カゴ）を背（せ）負（お）って銃（じゅう）声（せい）と悲（ひ）鳴（めい）の聞（き）こえる場（ば）所（しょ）へ向（む）かって走（はし）ったんだ。