⭕ 創作料理には御用心 2
オレは創作料理を作っている最中に、睡眠効果が強力なグルモスの実をうっかり擂り潰して使ってしまったみたいで、厨房の調理台の上に涎を垂らしながら眠っていた。
幸いにもコンロの火は消えていて、コンロの上に置いていた小鍋の中身も焦げていなかった。
不幸中の幸いと言うべきかな。
読書をしていた筈のセロに聞いてみたけど、中庭で毒草と毒花の手入れをしていたらしく気付かなかったみたいだ。
毒草と毒花に負けたのオレ!?
肝心な時に居てくれないのな、セロは!!
序でと言っちゃなんだが、セロは素ん晴らしい笑顔で「 毒茸も育てたいです 」とか言い出したから強く却下しといた。
毒草と毒花だけで十分だろ?
中庭に危険物を増やすのは勘弁してくれよ…。
自分の涎で汚した調理台を綺麗に拭いたら、創作料理の続きを再開する。
マオ
「 う~ん……こんな食材、調理台の上に置いてあったかな?
…………頭の中に霧が発生してるみたいにモヤモヤしてる……。
爆睡してたみたいだし……記憶があやふやなのかも……。
いいや、取り敢えず使ってみよう 」
──とは言ったものの、使うったって名前も知らないし見た事のない食材なんだよなぁ……。
怪しい??
使い方が分からない食材については、使う前に世界一物知りなセロに聞いた方が早い。
いや、世界一は語弊があるかも……。
オレは小鍋の上にフタを置くと名前の知らない食材を手に持って厨房を出た。
──*──*──*── 店内
マオ
「 ──セロ、教えてほしい事があるんだけど、良いかな? 」
セロフィート
「 はて?
改まって何です?
毒茸の件です? 」
マオ
「 違う!
毒茸の栽培なんて許さないからな! 」
セロフィート
「 残念です…… 」
マオ
「 地下の実験室も駄目だからな! 」
セロフィート
「 マオ!
幾らなんでも酷いです…。
毒茸の何がいけません? 」
マオ
「 存在自体がアウトだろ!
毒茸は横に置いてくれよ。
それよりも、この食材の名前と使い方が分からないんだ。
セロなら知ってるだろ? 」
セロフィート
「 何故疑問系です?
勿論知ってます 」
マオ
「 流石セロだな!
教えてくれよ 」
セロフィート
「 マオ──、君は名前も使い方も知らない食材を創作料理に使うつもりです? 」
マオ
「 何だよ……駄目なのかよ? 」
セロフィート
「 ワタシが渡した秘薬は使ってくれました? 」
マオ
「 原料が分からないのに使うわけないだろが! 」
セロフィート
「 原料が分かれば使ってくれます? 」
マオ
「 ………………今は秘薬も横に置こう 」
セロフィート
「 ……………… 」
マオ
「 ……………… 」
セロフィート
「 ……………… 」
マオ
「 ……………… 」
オレとセロは暫く無言で見詰め合った。
セロフィート
「 それはレモニンと言う名前の野菜です 」
マオ
「 レモニン?
檸檬の仲間? 」
セロフィート
「 違います。
皮を剥かず、そのまま使います。
とろろ芋のように擦ってから裏漉して使います 」
マオ
「 裏漉すの?
手間が掛かるんだな 」
セロフィート
「 裏漉した方を味付けに使います。
野菜ですけど、擦って裏漉す事で調味料とし使えます 」
マオ
「 へぇ~~そうなんだ?
残った方は捨てちゃうのか? 」
セロフィート
「 野菜サラダに混ぜて食べれますよ。
水分の多いサラダに困ったら入れるとドレッシング要らずです 」
マオ
「 有り難な、セロ!
早速使ってみるよ! 」
セロフィート
「 ワタシの秘薬も忘れず使ってください 」
マオ
「 使わないよ! 」
セロから教えてもらった方法で創作料理に使ってみようと思う!
店内から厨房へ戻ったオレは、先ずレモニンを擦る事にした。
マオ
「 ──うん、バッチリ味が決まった!
レモニンって凄いじゃん!
名前も知らないのにチョイスするなんて、オレも意外と凄いのかも? 」
朝から始めた創作料理が、やっと完成した!
マオ
「 今晩の夕食は、これで決まりだな♥️ 」
◎ 訂正しました。
野菜ですけど、─→ 野菜ですけど、