⭕ 創作料理には御用心 1
マオ
「 ──う~~~ん………………何か一味足りないんだよなぁ……。
何を入れたら良いかなぁ~~ 」
オッス、オレはマオ・ユーグナル!
セロの起こした発作が切っ掛けで、山奥で始まった隠れ家的な目立たない “ ひっそりブックカフェ ” を開店させた日から2年が経った。
開店日から客らしい真っ当な客なんて1人も来やしないから困ったもんだ。
ログハウス風ブックカフェに続く道だって作っているのにマトモな客は一切来ない。
夜でも安心して辿り着けるようにって、セロに懇願して発光する特殊な煉瓦を使った黄色い煉瓦の道を作ってもらったって言うのにだ。
煉瓦の道付近には、ブックカフェへ案内する看板だって立ててあるんだぞ。
ちゃんと親切だろ?
追い剥ぎとか盗賊とか山賊とか悪徳冒険者とか柄の頗る悪い傭兵とか──、全然来なくても良いような奴等ばっかりが金銭目的でゲスくて厭らしい顔をして、やって来やがるんだ。
もう、いい加減にしろ!!
ちゃんと大きめの馬車も余裕で走れるように横に広く作っているし、馬が足を痛めない素材の創作煉瓦でもある。
奴隷商人もブックカフェには、お呼びじゃないんだけど!!
何が駄目なんだよ?
ブックカフェって店が、何を楽しむ事が出来るのか紹介する内容の宣伝用のチラシを作って配る事は “ ひっそりに反する ” って事でセロから禁止されている。
看板を見たぐらいじゃあ、善良な一般人は此方に来ないっつーーーーのぉ!!
──で、そんな不満を抱きながらオレが何をしているのかと言うと、創作料理を作っている真っ最中だったりする。
一味足りない所為で、完成しないんだ。
マオ
「 …………うぅ~~ん…… 」
セロフィート
「 マオ、ワタシの作った秘薬を入れてみません? 」
マオ
「 秘薬ぅ?
思いっ切り怪しい響きがするんだけど?!
オレの気の所為じゃないよな? 」
セロフィート
「 マオの気の所為です 」
マオ
「 ……………………。
因みにだよ、その秘薬の原料は何?
何を使ってるんだ? 」
セロフィート
「 知る必要あります? 」
マオ
「 あるだろ!
オレの創作料理なんだよ!
そげな怪しい薬なんか入れられるかよ! 」
セロフィート
「 “ 怪しい ” なんて酷いです…。
マオを想って作った秘薬ですよ? 」
マオ
「 『 ですよ? 』って何だよ。
疑問系じゃんか!!
益々怪しい! 」
セロフィート
「 マオは疑い深い~~♪ 」
マオ
「 歌うな! 」
セロフィート
「 コチスの実を擂り潰した粉末を入れてみてはどうです? 」
マオ
「 コチスの実?
──おい、それって超絶苦い実じゃんかよ! 」
セロフィート
「 マオ、創作料理に必要なのは意外性です 」
マオ
「 何処で仕入れた情報だよ!
オレの創作料理に意外性なんか要らないんだよ! 」
セロフィート
「 面白い味付けになります 」
マオ
「 ならなくていいよ!!
邪魔すんな!
あっち行って本でも読んでろ! 」
セロフィート
「 マオ………… 」
マオ
「 ……そんな残念そうな顔しても、オレは騙されないからな! 」
セロフィート
「 秘薬、使ってください 」
笑顔で微笑んだセロは調理台の上に怪し気な秘薬の入った小瓶を置くと厨房から出て行った。
…………意外と寸なり引き下がったセロが不気味でならない。
セロ……、怒っちゃったのかな??
………………罪悪感に押し潰されそうだ。
だからって──、原料が不明の頗る怪しい秘薬を素直に使う気には流石にならないけどな…。
オレは引き続き創作料理作りに没頭する事にした。
大鍋に入っている未完成の料理をオタマを使って小鍋に入れたら、最後の決め手になる味を探す事にした。
セロフィート
「 マオ、マオ──、起きてください 」
マオ
「 ………………ふぇ…?? 」
セロフィート
「 何が『 ふぇ 』ですか。
火を付けたまま居眠りするとは……。
困った子ですね… 」
マオ
「 ………………寝てたぁ……?? 」
セロフィート
「 あぁ……グルモスの実を使いましたか。
マオ、グルモスの実は料理に使ってはいけません 」
マオ
「 グル……のみぃ~~?? 」
セロフィート
「 実だけを擂り潰して使いましたか。
殻は眠気を無効化してくれます。
料理に使うなら、殻も擂り潰して使わなければ…… 」
マオ
「 ……………………うん……うん…………うん…… 」
セロフィート
「 量が多過ぎましたか。
──君は時々愉快なポカをしてくれるよね。
まぁいいさ、未だ昼時だからね。
日が暮れる迄ゆっくり眠れば良いよ。
涎を垂らして寝転ける君の寝顔は実に愉快だよ、マ~~オ♥️ 」
マオが好いているセロフィートの演技を止めたセロフィートは、スヤスヤと眠り転けているマオの頭を愛しそうに撫でながら本来の素で言葉を発した。
セロフィート
「 あ~あ、折角の創作料理が台無しじゃないか。
仕方無いなぁ。
元に戻してあげるよ、マオ。
優しい僕に感謝しなよね 」
セロフィートは焦げて台無しになってしまったマオの創作料理を魔法で元に戻す。
“ 戻す ” と言うのは、創作料理の時間を焦げる前へ “ 巻き戻す ” と言うことだ。
セロフィートは『 天候を操る魔法は使えない 』とマオに伝えているが、『 時間を操る魔法も使えない 』とマオに伝えている。
吟遊大詩人にも『 縛りがあり、不便な面もある 』という設定にしている為、マオの前では極力使わないようにしてはいるが、実際には好きなだけ自由に使いたい放題だったりする。
セロフィート
「 ──このぐらいで良いかな?
マオは “ 一味足りない ” って言ってたね。
決め手が見付からないならヒントを残して置こうかな?
寝顔が面白いからサービスだよ、マ~~オ♥️ 」
とある食材を〈 テフ 〉で構
セロフィート
「 マオ、この食
涎