マオ
「 …………ヒストリスさんの大事なアミュレットを何でキノコンに渡してるんだよ!! 」
オレはキノコンからヒストリスさんのアミュレットを奪い取るように取り返した。
キノコン
「 エリ!?
エリぃ~~~エリエリ~ 」
マオ
「 何言ってるか分からないけど、これは玩具じゃないんだ! 」
キノコン
「 エリっ!
エリエリぃ~~!
エリ~~ 」
オレの腰ぐらいしか高さのないキノコンは、必死に何かを伝えようとしてしているみたいだけど、生憎とオレにはキノコン語なんて分からない。
セロフィート
「 マオ、アミュレットを貸してください。
〈 テフの源みなもと 〉で構こう成せいしたアミュレットをヒストリスさんへ渡わたします 」
マオ
「 セロ!
未まだヒストリスさんじゃないってば! 」
セロに反はん論ろんしつつもオレはアミュレットをセロに手て渡わたす。
セロはアミュレットを〈 テ原げん質しつフの源みなもと 〉で構こう成せいして、構こう成せいした方ほうのアミュレットに紐ひもを結むすぶと、紐ひもを広ひろげてキノコンの頭あたまの上うえから通とおしてやった。
キノコン
「 エリ?
エリエリ~~♪」
セロフィート
「 そのアミュレットは君きみの物ものです。
ヒスさん 」
マオ
「 名な前まえ付つけんなよ~~ 」
セロフィート
「 見みてください。
アミュレットに喜よろこんでます。
これで他ほかのキノコンと区く別べつも出で来きます 」
マオ
「 区く別べつって…… 」
セロフィート
「 アミュレットは破は損そんや劣れっ化かしないように魔法マジックでコーティングしました。
切きれない丈じょう夫ぶな紐ひもを使つかってますから、他ほかのキノコンから奪うばわれる事こともないです 」
マオ
「 ………………。
セロ、これから一いっ体たいどうすんだよ… 」
セロフィート
「 どうするとは? 」
マオ
「 忘わすれたのかよ!
ヒストリスさんが書かいた緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを≪ 王おう都と ≫へクッポーに届とどけさせただろ。
≪ 王おう都と ≫から捜そう索さく隊たいか救きゅう助じょ隊たいが1週しゅう間かん後ごには来きちゃうんだろ! 」
セロフィート
「 その事ことですか。
心しん配ぱいしなくて良よいです。
≪ 王おう都と ≫から捜そう索さく隊たいも救きゅう助じょ隊たいも派は遣けんされません 」
マオ
「 どういう事ことだよ?
クッポーはち・ゃ・ん・と・飛とび立だったじゃんか 」
セロフィート
「 確たしかにクッポーは飛とび立たちましたけど、≪ 王おう都と ≫へは向むかってません。
抑そもそも最さいは初しょなからクッポーに緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを届とどけさせる気き等などありませんでした 」
マオ
「 はぁぁぁぁあ!?
≪ 王おう都と ≫に届とどけさせる気きがなかったって……どゆことだよぉ!! 」
セロフィート
「 調ちょう査さ隊たいの捜そう索さくをヒストリスさんとする気きは初はじめからなかった──という事ことです。
ワタシは人にんひ間げんと助だすけはしません 」
マオ
「 だって……そんな……。
あんなに親しん身みになって話はなしてたじゃないか!
全ぜん部ぶ…嘘ウソだったのかよ……。
優やさしいセロは演えん技ぎだったのかよ……。
ヒストリスさんを期き待たいさせて……その気きにさせといて…… 」
セロフィート
「 マオも騙だまされちゃいました? 」
マオ
「 ──セロ!!
オレは……オレは……嬉うれしかったんだぞ……。
セロが自じ分ぶんから進すすんで人ひと助だすけをしてくれるんだ──って思おもって……嬉うれしかったんだ…… 」
セロフィート
「 マオ…………。
残ざん念ねんでした♪ 」
マオ
「 ……………………はぁ……。
でもまぁ……セロらしいって言いうか…………相あい変かわらず安あん定ていしてるって言いうか……ブレないんだな……。
…………だけど…これがセロ──、だもんな…。
オレは……そんなセロも受うけ入いれるよ! 」
セロフィート
「 マオ…。
無ム理リに受うけ入いれる必ひつ要ようは無ないです。
抑そもそも『 受うけ入いれてほしい 』なんて思おもいませんし 」
マオ
「 そういう事ことを言いうなよ~~。
傷きず付つくだろ… 」
セロフィート
「 ふふふ…。
この程てい度どで傷きず付つくなら、マオはとっくに廃はい人じんになってます 」
マオ
「 廃はい人じんって…… 」
セロフィート
「 どの道みち、緊きん急きゅう報ほう告こく書しょが王おう国こく騎き士し団だん長ちょうに届とどいても此方こちらへ派は遣けんする捜そう索さく隊たいや救きゅう助じょ隊たいを編へん成せいする余よ裕ゆうはないです。
1ヵ月げつ以い上じょう経たっても≪ 王おう都と ≫から捜そう索さく隊たいも救きゅう助じょ隊たいも来きません 」
マオ
「 えっ……どういう事ことだよ?
セロ……何ど処こ迄まで知しってるんだよ! 」
セロフィート
「 ヒストリスさんの話はなしを聞きいた後あと、〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉を国くに中じゅうへ転てん移いさせました。
〈 器うつわキ人にんニン形ぎょうカ 〉からの情じょう報ほうです 」
マオ
「 セロ……。
≪ 王おう都と ≫の状じょう態たいって…そんなに酷ひどいのか? 」
セロフィート
「 相あい手ては原げん因いん不ふ明めいで大たい量りょう発はっ生せいするキノコンです。
怪かい物ぶつモンスターを侮あなどると痛いたい目めを見みますからね。
≪ 集しゅう落らく ≫≪ 部ぶ落らく ≫≪ 村そん落らく ≫辺あたりは既すでにキノコンに占せん領りょうされ、人にん間げんは1人りとして居いません。
≪ 町ちょう ≫がキノコンの襲しゅう撃げきで陥かん落らくするのも時じ間かんの問もん題だいです 」
マオ
「 そんなに?!
キノコンって強つよいのかよ?
だってさ、傭よう兵へいや冒ぼう険けん者しゃだって大おお勢ぜい居いるじゃんか 」
セロフィート
「 マオ、どんなに強つよくても人にん間げんは息いきをしなければ生いきられません。
酸さん素そを吸すえば自し然ぜんと胞ほう子しも体たい内ないへ入はいります。
人にん間げんも動どう物ぶつも知しらず知しらずに胞ほう子しを体たい内ないへ吸すい込こむのですから、キノコン化かは避さけられません。
強つよかろうが弱よわかろうが関かん係けい無ないです 」
マオ
「 そんな……じゃあ…キノコン化かは何なにがあっても止とめられないって言いうのかよ? 」
セロフィート
「 空くう気き感かん染せんは実じつに便べん利りな手しゅ段だんです。
風かざ向むきを変かえれば直すぐに国くに中じゅうへ広ひろめられますし 」
マオ
「 セロぉ~~~~! 」
セロフィート
「 どうしました? 」
マオ
「 胞ほう子しを他た国こくへ飛とばないようには出で来きないのか? 」
セロフィート
「 とっくにしてます。
一いっ国こくぐらいキノコンの支し配はいする王おう国こくがあっても面おも白しろいと思おもいません? 」
マオ
「 思おもわないよ!
セロ、キノコンが大たい量りょう発はっ生せいする原げん因いんを突つき止とめて防ふせごうよ 」
セロフィート
「 はい?
何な故ぜです? 」
マオ
「 何な故ぜって……人にん間げんをキノコンの脅きょう威いから守まもらないと── 」
セロフィート
「 嫌いやで~~~~す♪
そんな事ことしません。
ワタシは此こ処こでブックカフェを続つづけます。
ヒスさんの調ちょう教きょうと躾しつけもしたいですし 」
マオ
「 セロ!! 」
セロフィート
「 マオ──、もうジャムを売うりに行いくのは止やめてください。
良よいです? 」
マオ
「 …………セロ、知しってたのか? 」
セロフィート
「 当とう然ぜんです。
ワタシは吟ぎん遊ゆう大だい詩し人じんですよ 」
マオ
「 ………………じゃあ……知しってて知しらないフリをしてたって事ことかよ?
3ヵ月げつ間かんずっと? 」
セロフィート
「 そうですよ。
マオが何い時つ止やめてくれるのか待まってました。
結けっ局きょく…止やめてくれませんでしたけど 」
マオ
「 ………………御ご免めん… 」
セロフィート
「 マオの作つくったジャムはワタシだ・け・の物ものだと言いいました。
胸むねが張はり裂さけるように悲かなしかったです… 」
マオ
「 それは嘘ウソだろ~~ 」
セロフィート
「 ワタシ、冗談ジョーダンは言いっても嘘ウソは吐つきません 」
マオ
「 ………………平へい気きで吐ついてるだろが! 」
セロフィート
「 マオは怒おこりん坊ぼうさん~~♪ 」
マオ
「 歌うたうなぁ!! 」
セロフィート
「 ワタシは吟ぎん遊ゆう大だい詩し人じんです。
吟ぎん遊ゆう詩し人じんは歌うたうものです♪ 」
マオ
「 そだったな…… 」
セロフィート
「 マオ、夕ゆうディ食しょくナーの準じゅん備びをしましょう 」
マオ
「 分わかったよ… 」
ヒストリスさんを探さがさないで夕ゆうディ食しょくナーの準じゅん備びを始はじめて良いいのかな…。
色いろんな問もん題だいが山やま積づみだけど、取とり敢あえずオレは厨ちゅう房ぼうへ向むかった。