──*──*──*── 森の中
朝食を終えて、装備を整えたら早々にブックカフェを出て、セロと一緒にキノコドラゴン狩りへと出掛けた。
装備を整える──って言っても、オレの場合は愛剣を腰に装着するだけだ。
オレには防具類を身に付ける必要がないから軽装だ。
セロフィート
「 ──マオ、キノコドラゴンは何処に居ます? 」
マオ
「 セロが恐いんじゃないか? 」
セロフィート
「 ワタシは人畜無害な吟遊大詩人です。
恐いなんて…… 」
マオ
「 キノコドラゴンも怪物だからな~~。
本能的にセロを避けて隠れてるんじゃないか? 」
セロフィート
「 隠れているなら炙り出しましょうか 」
マオ
「 炙り出すって何をする気だよ? 」
セロフィート
「 ふふふ。
餌を撒きます 」
マオ
「 餌ぁ?
…………何でかな……嫌な予感しかしないんだけど?
因みさ、どんな餌でキノコドラゴンを誘い出す気だよ? 」
セロフィート
「 当然、キノコドラゴンの大好物を使います 」
マオ
「 大好物ぅ?
セロはキノコドラゴンを見るのは初めてだろ?
大好物なんて分かるのかよ? 」
セロフィート
「 ドラゴンですよ。
人間を使うに決まってます 」
マオ
「 鬼畜! 」
セロフィート
「 マオ!
褒めないでください♪ 」
マオ
「 褒めてないだろ…。
──で、人間を餌にするっても何処から調達するんだよ? 」
セロフィート
「 そうですね……。
≪ ケイラーム ≫に居いるゴロツキを使つかいましょうか。
沢たく山さん居いますし、キノコドラゴンも沢たく山さん出でて来きてくれると思おもいません? 」
マオ
「 …………ゴロツキが一いっ瞬しゅんで居いなくなったら治ち安あんも良よくなるだろうな。
直すぐに新あたらしいゴロツキが出でて来くるだろうけどさ 」
セロフィート
「 その時ときはま・た・餌エサに使つかえば良よいです 」
マオ
「 そだな~~ 」
セロフィート
「 餌エサを転てん移いさせます。
物もの影かげに隠かくれて見み守まもりましょう 」
マオ
「 そだな~~ 」
セロと一いっ緒しょに物もの影かげ── 木き々ぎや草くさしかないけど ──に移い動どうして身みを隠かくすと、セロが転てん移い魔ま法ほうを発はつ動どうさせた。
如い何かにも人にん相そうが悪わるくて色いろ々いろとや・ら・か・し・て・そ・う・なゴロツキ共どもが森もりの中なかに大おう勢ぜい出しゅつ現げんした。
誰だれも彼かれもが素すっ裸ぱだかの丸まる裸はだかのスッポンポンなのは言いう迄までもないけど、キノコドラゴンが餌エサを喰たべ易やすいように──ってセロが配はい慮りょしたからだ。
怪かい物ぶつモンスターに配はい慮りょする必ひつ要よう無ないと思おもうんだけどな!
丸まる裸はだかの男おとこに混まざって女おんなも居いる。
悲ひ鳴めいを上あげて地じ面めんに座すわり込こんでるよ……。
街まち中なかで悪わるさをして善ぜん良りょうな街かい民みんを困こまらせているゴロツキだって、突とつ然ぜんスッポンポンの状じょう態たいで森もりの中なかへ転てん移いさせられたらパニクるよな。
誰だれの仕し業わざかも分わからないし、何なんで森もりの中なかなのか、何なんで転てん移いさせられたのか、これから何なにが身みの上うえに起おこって振ふり掛かかるのか一いっ切さい分わからない状じょう態たいだ。
可か哀わい想そうではあるけれど、セロにしてみればゴロツキ達たちはキノコドラゴンを誘おびき寄よせる為ための餌エサでしかないのだから、助たすけてあげる事ことは出で来きない。
オレはセロを愛あいしちゃってる訳わけだから、惚ほれた弱よわ味みってヤツもあってか、セロの邪じゃ魔まを本ほん気きでするつもりはないんだ。
セロフィート
「 マオ、これだけ餌エサを用よう意いすればキノコドラゴンの胞ほう子しでキノコンへ変へん貌ぼうする人にん間げんを直じかに見みれるかも知しれません 」
マオ
「 そうだといいな……。
でもさ、こんなに居いても逃にげられたら意い味みないんじゃないか? 」
セロフィート
「 逃にげられないように結けっ界かいを張はってます。
餌エサは出でられませんけど、キノコドラゴンは結けっ界かいの中なかへ入はいれます。
キノコドラゴンも中なかへ入はいれば出でられません 」
マオ
「 抜ぬけ目めないのな 」
一いっ方ぽうのゴロツキ達たちは見みえない壁かべを叩たたいては騒さわいでいる。
そりゃね……丸まる裸はだかな上うえに見みえない壁かべに阻はばまれて閉とじ込こめられてたらパニクるよな。
十じゅう分ぶんな餌エサは用よう意いした訳わけだし、後あとはキノコドラゴンが餌エサを求もとめて来くるのを静しずかに待まってるだけでいいんだけど、その時ときが来くる迄までは隙ひまだよ。
──っていうか、本ほん当とにキノコドラゴンの大だい好こう物ぶつって人にん間げんで合あってるのかな?
“ ドラゴン ” とは呼よばれてはいるけど、“ ドラゴン =イコール 人にん間げんが大だい好こう物ぶつ ” ってのは安あん直ちょく過すぎやしないかな?
決きめ付つけない方ほうが良いいと思おもうんだけど……セロの言いう事ことだからなぁ……態ワザと人にん間げんを餌エサに使つかってるのかも知しれないよな…。
来らい店てん客きゃくのヒストリスさんを実じっモル験けんモ台だいットにしたいセロに反はん対たいして止とめちゃったしな……。
1人りヒストリスさんの尊とおとい命いのちは守まもられたけど、その代かわりに大おお勢ぜいのゴロツキ達たちがセロの犠ぎ牲せいになっちゃったな……。
まぁ、ゴロツキ達たちは迷めい惑わく極きわまりないが悪あく人にんの集あつまりなわけだし、別べつに良いいんだけどさ……。
マオ
「 セロ、キノコドラゴンが来くる迄までは暇ひまだけど、他ほかにも何なにかする? 」
セロフィート
「 特とくに何なにも。
マオはしたい事ことでもあります? 」
マオ
「 オレ?
オレは……セロとイチャイチャしたいかな? 」
セロフィート
「 マオのお・ま・せ・さ・ん・♪ 」
マオ
「 うぅ…(////)
良いいだろ、別べつに!
オレはセロが好すきなんだから、セロとイチャイチャしたいの!
悪わるいかよ? 」
セロフィート
「 嬉うれしいです(////)
有あり難がとう、マオ 」
マオ
「 う、うん…(////)」
セロフィート
「 最さい中ちゅうにキノコドラゴンが来きても困まりますし、イチャイチャはベッドの中なかでするとしましょう 」
マオ
「 えぇ~~~~ 」
セロフィート
「 マオも人にん間げんがキノコンへ変へん貌ぼうする瞬しゅん間かんを見みたいでしょう? 」
マオ
「 オレは別べつに興きょう味みないよ……。
キノコンも捕つかまえるのか? 」
セロフィート
「 当とう然ぜんです。
何な故ぜキノコドラゴンの胞ほう子しが、人にん間げんをキノコンへ変へん貌ぼうさせるのか──、胞ほう子しのメカニズムと謎なぞを解かい明めいしたいでしょう? 」
マオ
「 キノコンもセロの実じっモル験けんモ台だいットになるわけだ。
不ふ憫びんだな… 」
セロと他た愛あい無ない話はなしをしながらキノコドラゴンを待まっていると、ゴロツキ達たちの方ほうから悲ひ鳴めいが上あがった。
セロフィート
「 マオ、キノコドラゴンが来きたみたいです! 」
マオ
「 そだな…… 」
セロ……メッチャ嬉うれしそうだな。
オレとイチャイチャするよりキノコドラゴンを選えらぶなんて──、薄はく情じょうな実じっ験けん狂きょうめぇ!!