⭕ お客様は実験台? 7
マオ
「 セロ……王国中で起きてるキノコンの大量発生事件の原因を突き止められないかな?
大量発生する謎──原因を解決する事は出来ないのかな?
大量発生するキノコンを減らす事は出来ないのかな?
出来るなら、キノコンと人間の関係性もハッキリさせたいし……。
セロになら出来るだろ? 」
セロフィート
「 マオ……。
あまりワタシを買い被らないでください。
ヒストリスさん、大量発生しているキノコンを殺害──いえ、倒した自分を責める必要はないです。
止むに止まれぬ事情の末の対処です。
ヒストリスさん達の非道な──いえ、国民達を守る為の決断を責める人は居ません 」
セロ……然り気無くヒストリスさんの心の傷口を抉ってるなぁ……。
ヒストリスさんなんて両手で顔を覆っていて、全身をプルプルと震わせているし…。
マオ
「{ セロ!
ヒストリスさんにチクチクとダメージを与えちゃ駄目だろ~~ }」
セロフィート
「{ ダメージなんて与えてません。
ワタシは励ましているだけです }」
マオ
「{ 傷口に山葵や辛子や塩を擦り込むような事を言っといて何が『 励ましてる 』だよ…… }」
セロフィート
「{ 酷いです……マオ }」
マオ
「{ 酷いのはセロだろ…… }
──ヒストリスさん、明日は早いんだし、そろそろ休んだらどうかな?
明日の捜索に差し支えても……ね? 」
王国騎士団員:ヒストリス
「 …………そう…だな……。
明日の捜索に差し支えないように…………うん……そうするとしよう…… 」
ヒストリスさんは弱々しい声で呟くと椅子から腰を浮かせて立ち上がると、不安定な足取りでフラフラと歩きながら階段へ向かって歩き出した。
途中で倒れやしないか心配だよ……。
ゆっくりだけど1歩1歩とヒストリスさんは階段を上がって行った。
フラフラなヒストリスさんの背中を見送る事しか出来なかったオレは、テーブルの上に並んでいる空になった食器類と食具類を丸盆の上に乗せて厨房へ運んだ。
彼処で駆け出して、ヒストリスさんのフラつく身体を支えながら個室へ向かう手伝いをしても良かったけど、そんな事をするとセロが何を仕出かすか分からない。
ショックを受けて落ち込んでいる傷心なヒストリスさんに対して、一切の容赦もなく “ 何か ” をする事を躊躇ないのがセロだ。
セロにとっての人間なんて、暇潰しに遊ぶ為の玩具だ。
人間の尊厳なんて無視した──、幾らでも替えの利く壊れ易い玩具でしかないんだから……。
マオ
「 …………大丈夫かな、ヒストリスさん… 」
セロフィート
「 マオ、明日は森へキノコドラゴンを捕まえに行きましょう 」
マオ
「 は?
何言ってるんだよ。
明日はヒストリスさんと一緒に調査隊員の捜索をするんだろ。
キノコドラゴンなんて捕まえてる場合じゃ…… 」
セロフィート
「 マオ、この山で人間が無事に一夜を凌げると本気で思ってます?
この山と森は他の山と森とは明らかに違います。
何故か分かります? 」
マオ
「 …………セロが……好き勝手に弄くってるから……だよな? 」
セロフィート
「 そうです。
この山も森も謂わばワタシ専用の実験場です。
王国騎士団員がどんなに屈強で強者でも所詮は人間。
とっくの前に帰らぬ人となってます 」
セロ……、否定しないんだな……。
マオ
「 だけどさ、ヒストリスさんみたいなケースだって── 」
セロフィート
「 ヒストリスさんが無事にブックカフェ迄逃げ延びる事が出来たのは、これのお蔭もあります 」
そう言ってセロが見せてくれたのは、破損してしまっている魔法道具……かな??
マオ
「 魔法道具を持っていたから無事だった? 」
セロフィート
「 壊れてますけど、強力な魔除けの一種です。
これを持っていなければヒストリスさんもブックカフェへ辿り着く前に帰らぬ人でした 」
マオ
「 …………じゃあ、本当にヒストリスさん以外の調査隊員の人達は── 」
セロフィート
「 捜索するだけ無駄です。
肉体も残ってないでしょう。
怪物はマオに負けない食いしん坊さんばかりですから 」
マオ
「 おい、オレは食いしん坊じゃないからな! 」
セロフィート
「 ふふふ。
自覚のないマオも可愛いです♪ 」
マオ
「 “ 可愛い ” って言うな!
頭を撫でるのも止めろ!(////)」
セロフィート
「 嬉しいくせに。
マオは照れ屋さん~~~~♪♪ 」
マオ
「 もうっ、歌うなってば!
──じゃあ、ヒストリスさんには明日の事は何て言うんだよ? 」
セロフィート
「 何も。
ヒストリスさんには丸1日眠ってもらいます。
命からがら逃げ延びて、捜索する程の体力は残ってません。
今のヒストリスさんに1日中歩き回るのは体力的にも精神的にも無理です 」
マオ
「 肉体は既に限界を超えてるって事か…。
精神的なダメージを負わせたのは間違いなくセロだけどな 」
セロフィート
「 マオ……心外です 」
マオ
「 笑ってるじゃんか。
確信犯だろぉ~~~ 」
セロフィート
「 はいはい。
今回もマオに免じて、そう言う事にしときましょう 」
マオ
「 セロ! 」
セロフィート
「 ヒストリスさんには薬膳料理を食べてもらいましたから、明日1日はグッスリです。
キノコドラゴン探しに丸1日使えます 」
マオ
「 …………分かったよ。
明日はキノコドラゴン狩りな… 」
セロフィート
「 はい♪
楽しみですね、マオ 」
マオ
「 …………そだな… 」
キノコドラゴン狩りが楽しいのは、セロだけだよ!!
◎ 訂正しました。
実験場です。─→ 実験場です。




