セロフィート
「 ヒストリスさん、≪ ケイラーム ≫で1番ばん速はやい早はや馬うまに緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを届とどけさせても、≪ 王おう都と ≫への最さい短たんルートを選えらんでも4日かは掛かかります。
緊きん急きゅう報ほう告こく書しょが無ぶ事じに王おう国こく騎き士し団だん長ちょうの手てに渡わたったとしても、騎き士し団だん長ちょうの独どく断だんで捜そう索さく隊たいや救きゅう助じょ隊たいを編へん成せいさせて、派は遣けんの準じゅん備びを整ととのわせる事ことも出で来きたとしても、騎き士し団だん長ちょうの権けん限げんで≪ 王おう都と ≫から派は遣けんさせる事ことは出で来きないでしょう。
王おう国こく騎き士し団だんの主あるじは国こく王おうです。
国こく王おうから許きょ可かが下おりなければ、捜そう索さく隊たいや救きゅう助じょ隊たいの派は遣けんは叶かないません。
仮かりに国こく王おうから派は遣けんさせる許きょ可かが下おりたとしても≪ 王おう都と ≫から≪ ケイラーム街まち ≫へ到とう着ちゃくする迄までに費ついやす日にっ数すうは早はやくても1週しゅう間かんです。
7日か以い上じょう経たって到とう着ちゃくしては生せい存ぞん者しゃの捜そう索さくは出で来きません。
調ちょう査さ隊たい員いんの遺い体たい回かい収しゅう作さ業ぎょうをする事ことになります。
違ちがいますか? 」
王国騎士団員:ヒストリス
「 ………………確たしかに……その通とおり…だな…… 」
マオ
「 ヒストリスさん…… 」
セロフィート
「 緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを届とどけたいなら早はや馬うまより確かく実じつに速はやいワタシの伝でん書しょ鳩ばとを貸かし出だしましょう。
伝でん書しょ鳩ばとなら≪ 王おう都と ≫迄まで4日かも掛かかりません 」
ヒストリス
「 あ……有あり難がとう!
それは助たすかる!! 」
セロフィート
「 伝でん書しょ鳩ばとを連つれて来きます。
専せん用ようの筒つつも用よう意いします。
緊きん急きゅう報ほう告こく書しょは筒つつの中なかへ入いれてください。
足あしに付つけて飛とばしましょう 」
そう言いったセロは一いっ旦たん店てん内ないから出でて行いったセロは、真まっ白しろい伝でん書しょ鳩ばとを連つれて戻もどって来きた。
伝でん書しょ鳩ばとと言いえば、当とう然ぜん普ふ通つうサイズの小ちいさな鳩はとだと思おもっていたけど、セロが連つれて来きた伝でん書しょ鳩ばとは人ひとが背せ中なかに乗のれるぐらい大おおきかった。
見みた事ことない大おおきさの伝でん書しょ鳩ばとを見みて、ヒストリスさんも言こと葉ばを失うしなうぐらい驚おどろいている。
確たしかに幸しあわせを象しょう徴ちょうする白しろい鳩はとではあるけれど……デカ過すぎぃ~~~!!
セロフィート
「 伝でん書しょ鳩ばとのクッポーです。
クッポーと言いう珍ちん種しゅの鳩はとです。
首くびに伝でん書しょ鳩ばとだと分わかるメダルを付つけてます。
流石さすがに攻こう撃げきはされないでしょう 」
王国騎士団員:ヒストリス
「 あ……あぁ……。
それなら多た分ぶん…大だい丈じょう夫ぶかと思おもう…… 」
マオ
「 セロ……仮かりにだけどさ、王おう国こく騎き士し団だんがクッポーを怪かい物ぶつモンスターだと判はん断だんして攻こう撃げきして来きたら……どうなるんだ?
クッポー、緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを届とどける前まえに死しんじゃうんじゃ…… 」
セロフィート
「 クッポーは死しにませんよ。
メダルにはあ・ら・ゆ・る・攻こう撃げきを無む効こう化かする魔ま法ほうマジックを掛かけてます。
受うけた攻こう撃げきは10倍ばいにして跳はね返かえすようになってます 」
マオ
「 攻こう撃げきを跳はね返かえす必ひつ要ようはないんじゃないかな? 」
セロフィート
「 マオ、防ぼう御ぎょは最さい大だいの攻こう撃げきですよ。
あらゆる障しょう害がいを排はい除じょし、安あん全ぜん且かつ速すみやかに緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを届とどける為ためには必ひつ要ようです。
クッポーを攻こう撃げきしなければ良よいだけですし 」
マオ
「 不ふ安あんしかないんだけど…… 」
セロフィート
「 ヒストリスさん、この筒つつに緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを入いれてください 」
そう言いったセロはクッポーの足あしに付ついている丸まる状じょうの筒つつのフタを開あけた。
賞しょう状じょうを丸まるめて入いれるみたいに、ヒストリスさんは緊きん急きゅう報ほう告こく書しょを筒つつの中なかへ入いれた。
ヒストリスさんも不ふ安あんそうな表ひょう情じょうをしている。
セロが筒つつのフタを閉しめて、フタが開あかないように閂カンヌキ状じょうの鍵カギで施せ錠じょうした。
伝でん書しょ鳩ばとは一いっ般ぱん的てきな鳩はとと同どう様ようの声こえで「 クルッポー 」と鳴なきながら毛け繕づくろいしている。
可か愛わいいちゃあ…可か愛わいいんだけどなぁ……。
セロが店てん内ないの両りょう扉とびらのドアを開あけると、伝でん書しょ鳩ばとは左さ右ゆうの翼つばさをバサッ──と広ひろげると力ちから強づよく翼つばさを羽はばたかせながら夜よ空ぞらへ飛とび立たって行いった。
デカいのにち・ゃ・ん・と・飛とべるんだな~~。
伝でん書しょ鳩ばとを見み送おくったセロは両りょう扉とびらのドアを閉しめると鍵かぎを掛かけた。
セロフィート
「 順じゅん調ちょうなら明あ日すの夕ゆう刻こくには≪ 王おう都と ≫へ到とう着ちゃくします 」
マオ
「 明日あしたの夕ゆう刻こくって、速はやいじゃん!
早はや馬うまの立たち場ばがないじゃん… 」
セロフィート
「 地ち上じょうと上じょう空くうの違ちがいです。
地ち上じょうでは怪かい物ぶつモンスターとの遭そう遇ぐうは避さけられませんし、盗とう賊ぞくに襲おそわれるデメリットもあります。
訓くん練れんされている早はや馬うまでも途と中ちゅうで休やすませる必ひつ要ようもありますし、食しょく事じと睡すい眠みんは欠かかせません。
天てん候こうにも左さ右ゆうされ易やすいです。
地ち上じょうはイレギュラーの宝ほう庫こですからど・う・し・て・も・時じ間かんが掛かかります 」
マオ
「 でもさ上じょう空くうでも怪かい物ぶつモンスターと遭そう遇ぐうするじゃんか。
天てん候こうにも左さ右ゆうされるんじゃないか? 」
セロフィート
「 その為ためのクッポーです。
クッポーは危き険けん感かん知ち能のう力りょうが異い様ように高たかい鳥ちょう類るいです。
安あん全ぜんで最さい短たん航こう路ろを飛とんでくれます 」
マオ
「 そうなんだ…。
クッポーって凄すごい鳩はとなんだな 」
セロフィート
「 ──ヒストリスさん、調ちょう査さ隊たい員いんの捜そう索さくなら、マオとワタシが協きょう力りょくします 」
王国騎士団員:ヒストリス
「 良いいのか?! 」
セロフィート
「 勿もち論ろんです。
マオとワタシは地じ元もとの人ひと達たちより森もりと山やまに詳くわしいです。
マオは剣けん士しで怪かい物ぶつモンスター退たい治じに慣なれています。
ワタシも魔ま法ほうマジックを使つかえますし、ヒストリスさんを護ご衛えい出で来きます 」
王国騎士団員:ヒストリス
「 それは……有あり難がたい申もうし出でだが…。
其そ処こ迄まで甘あまえても良いいものか…… 」
セロフィート
「 ヒストリスさん、困こまった時ときは御お互たがい様さまでしょう?
一いっ刻こくを争あらそう緊きん急きゅう事じ態たいなのですから、頼たよれる相あい手てが傍そばに居いる時ときは素すな直おに頼たよって良よいのです。
先さき程ほども言いいましたけど、≪ 王おう都と ≫から捜そう索さく隊たいや救きゅう助じょ隊たいの到とう着ちゃくを待まっていては手て遅おくれです。
面めん子つやプライド,沽こ券けんや威い信しんを優ゆう先せんして拘こだわっていては、助たすけられる筈はずの大たい切せつな仲なか間まも助たすけられません。
時ときには差さし伸のべられた手てを掴つかむ勇ゆう気きも必ひつ要ようです。
ヒストリスさんは調ちょう査さ隊たいの仲なか間まを助たすけられるかも知しれない可か能のう性せいとチャンスを自みずから底そこ無なし沼ぬまへ捨すてるような愚ぐ者しゃですか? 」
マオ
「 セロ…… 」
おぃおぃおぃ!!
一いっ体たい全ぜん体たいどうしちゃったんだよ、オレのセロはぁ!!
人ひと助だすけするのが誰だれよりも嫌きらいなセロが、ヒストリスさんを助たすけようとしてくれている??
あのセロが──、自みずから人にんヒストリ間げんスさんに救すくいの手てを差さし伸のべてるよぉぉぉぉお!!
セロぉ~~~~~~!!
オレ……泣ないちゃう程ほど、今いま猛もう烈れつに嬉うれしいよぉ!!
感かん激げきしてる…………セロの優やさしさに感かん動どうしてる……。
因ちなみにセロの言こと葉ばを聞きいたヒストリスさんは、素す直なおにセロが差さし出だしている手てを取とってくれた。
セロが嬉うれしそうにヒストリスさんへ微ほほ笑えんでいる。
セロの背はい後ごに後ご光こうが輝かがやいて見みえてるのは、目めの錯さっ覚かくなのかな??
セロが此こ処こ迄まで御お膳ぜん立だてしてくれたんだから、生いきてる状じょう態たいで調ちょう査さ隊たい員いんの救きゅう助じょが出で来きたら良いいんだけどな……。