王国騎士団員のヒストリスさんは、王国騎士団長の命を受けて国境付近の山へ調査に来たらしい。
調査隊にはヒストリスさんだけじゃなくて、他にも居たらしいんだけど、国境付近に出没する怪物に遭遇してしまい、逃亡する際に散り散りとなってはぐれてしまったそうだ。
ヒストリスさんは命辛々逃げている途中で、ブックカフェを見付けたそうで、不幸中の幸いって感じだったみたい。
離れ離れになってしまった調査隊の仲間達の捜索をしたいから、王国騎士団へ緊急報告書を今しがた──夕食前迄書いていたそうだ。
明日の朝一で≪ ケイラーム ≫から早はや馬うまを使つかって、王おう国こく騎き士し団だん長ちょう宛あてに届とどけさせる予よ定ていでいるんだとか。
仲なか間まの無ぶ事じを心こころから願ねがっているヒストリスさんの想おもいに水みずを指さして踏ふみにじって、希き望ぼうを奪うばって絶ぜつ望ぼうに落おとす事ことになっちゃうけど──、国こっ境きょう付ふ近きんから此こブック処こカフェ迄まで辿たどり着つけた事こと自じ体たいが既すでに奇き蹟せき的てきな事ことだから、ヒストリスさん以い外がいの調ちょう査さ隊たい員いんが未まだ何ど処こかで生いき残のこっているかも知しれない可か能のう性せいは極きわめて低ひくいと言いわざるを得えない。
国こっ境きょう付ふ近きんに出しゅつ没ぼつする怪かい物ぶつモンスターの強つよさ,出しゅつ現げん率りつ,遭そう遇ぐう率りつはセロに依よって上あげられているし、戦せん闘とうからの脱だっ出しゅつ率りつ,離り脱だつ率りつ,怪かい物ぶつモンスターからの逃とう避ひ率りつ,逃とう走そう率りつもセロに依よって下さげられている。
怪かい物ぶつモンスターはセロとオレに対たいしても問もん答どう無む用ようで襲おそい掛かかって来くるし、見み境さかいがないから始し末まつに悪わるい。
セロから直じき々じきに剣けん術じゅつの稽けい古こを受うけているオレですら、片かた手て剣けんで挑いどんでも強きょう化か怪かい物ぶつモンスターを倒たおせない。
双そう剣けん術じゅつを駆く使しして戦たたかって、苦くろ労うの末すえに漸ようやく倒たおせるレベルなんだ。
どんなに屈くっ強きょうな王おう国こく騎き士し団だん員いんの中なかから厳げん選せんされた精せい鋭えい部ぶ隊たいの調ちょう査さ隊たい員いんが50名めいで束たばになって相あい手てをしたって倒たおせやしない。
それだけパワーバランスが出で鱈たら目めな怪かい物ぶつモンスターがウジャウジャ居いる場ば所しょからは早そう々そう簡かん単たんには出でられやしないわけだ。
だから、多た分ぶん…………いや、絶ぜっ対たい確かつ実じつに近ちかい可か能のう性せいでヒストリスさん以い外がいの調ちょう査さ隊たい員いん達たちは全ぜん滅めつしていると思おもう。
だけど、この世よには “ 絶ぜっ対たいは無ない ” って事ことらしいから、“ 万まんが一いち ” っていう希き望ぼうも完かん全ぜんには捨すて切きれない。
確かく率りつが少すくなくて雀すずめの涙なみだにも満みたない希き望ぼうにす・が・り・つ・き・た・い・と思おもうのが現げん在ざいのヒストリスさんなんだろう。
まるで死し刑けい宣せん告こくのような真しん実じつをヒストリスさんへ伝つたえるなんて残ざん酷こくな事こと……チキン弱よわ腰ごしなオレには出で来きない……。
パワーバランスをイカれさせた当とうの本ほん人にん──諸しょ悪あくの根こん元げんでもあるセロなら、甚いとも簡かん単たんに楽らく々らくと強きょう化か怪かい物ぶつモンスターを倒たおせちゃうんだけど、お客きゃくのヒストリスさんを「 キノコドラゴンの実じっ験けんに使つかうモルモットにしちゃいましょう♪ 」なんて笑え顔がおで言いってくれるセロが、強きょう化か怪かい物ぶつモンスターを快こころよく倒たおしてくれるとは到とう底てい思おもえないわけで────。
やっぱりセロは鬼き畜ちくの中なかの鬼き畜ちくなんだと思おもう。
一いち時じ的てきに強きょう化か怪かい物ぶつモンスターの強つよさやあ・ら・ゆ・る・確かく率りつを正せい常じょうに戻もどす──なんて粋いきな事こともしてはくれないだろう。
だって、セロだからな!
別べつに決きめ付つけてないよ!!
何なにはともあれ、ヒストリスさんが捜そう索さくしたい調ちょう査さ隊たい員いん達たちの事ことに関かんしては、セロに相そう談だんしないとだ。