☀「 セロ 」もしも、マオとセロフィートがブックカフェを始めたら……。

【 三ヵ月後 】やっぱり客の来ないブックカフェ

⭕ 楽しいキノコ狩り ３

　キノコドラゴンを倒（たお）したオレは、キノコドラゴンに遭（そう）遇（ぐう）して抵（てい）抗（こう）していた男（おとこ）達（たち）に話（はなし）を聞（き）こうと思（おも）って後（うし）ろを振（ふ）り返（かえ）った。

マオ　　

「 ん……？

　 あれ……何（ど）処（こ）に行（い）っちゃったんだ？？ 」

　さっき迄（まで）確（たし）かに居（い）た筈（はず）の男（おとこ）達（たち）が居（い）ないぞ。

　男（おとこ）達（たち）の代（か）わりに居（い）たのは…………キノコの怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)か？？

キノコのモンスター：Ａ

「 エリギャー 」

キノコのモンスター：Ｂ

「 エリエリギャー 」

マオ

「 …………え～～～と…… 」

　何（なに）が何（なん）だか分（わ）からないオレは、取（と）り敢（あ）えず気（き）色（しょく）悪（わる）い色（いろ）をしたキノコの怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)を倒（たお）す事（こと）にした。

　何（ど）処（こ）から現（あらわ）れたのかは分（わ）からないけど、キノコドラゴンの代（か）わりに持（も）ち帰（かえ）ったらセロは喜（よろこ）んでくれる…………かな？

　オレが剣（けん）を構（かま）えるとキノコの怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)もオレと戦（たたか）う気（き）満（まん）々(まん)なのか戦（せん）闘（とう）体（たい）勢（せい）に入（はい）ったみたいだ。

　キノコの怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)へ斬（き）り掛（か）かろうとした矢（や）先（さき）、背（はい）後（ご）から声（こえ）が聞（き）こえた。

　今日（きょう）は良（よ）く人（ひと）と出（で）会（あ）うなぁ。

　オレが剣（けん）を構（かま）えたまま、後（うし）ろを振（ふ）り向（む）くと武（ぶ）装（そう）した５人（にん）組（ぐみ）の男（おとこ）達（たち）が走（はし）って来（き）た。

　随（ずい）分（ぶん）と慌（あわ）てている様（よう）子（す）に見（み）えた。

マオ

「 ──どうしたの？ 」

武装した男：Ａ

「 はぁ…はぁはぁ……君（きみ）……そのキノコ怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)を倒（たお）したら駄（ダ）目（メ）だ……！！ 」

マオ

「 はぁ？

　 突（とつ）然（ぜん）来（き）て何（なん）なの？

　 倒（たお）したら駄（ダ）目（メ）って……どゆこと？ 」

武装した男：Ｂ

「 その……キノコ怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)は……元（もと）人（にん）間（げん）なんだ……！！ 」

マオ

「 はぁ…？

　 元（もと）人（にん）間（げん）？？

　 どゆこと？？ 」

　武（ぶ）装（そう）した男（おとこ）達（たち）の２人（り）が息（いき）を切（き）らせながら必（ひっ）死（し）に説（せつ）明（めい）してくれた。

　武（ぶ）装（そう）した男（おとこ）達（たち）から聞（き）いた話（はなし）を簡（かん）単（たん）に纏（まと）めると──、男（おとこ）達（たち）は≪ ケイラーム(街（まち）) ≫にある傭（よう）兵（へい）ギルドに所（しょ）属（ぞく）している傭（よう）兵（へい）達（たち）らしい。

　傭（よう）兵（へい）ギルドに無（む）断（だん）で茸（キノコ）狩（が）り，山（さん）菜（さい）採（と）り，動（どう）物（ぶつ）狩（が）りをしに山（やま）へ向（む）かった人（ひと）達（たち）が居（い）たから態（わざ）々(わざ)パーティを組（く）んで連（つ）れ戻（もど）しに来（き）たらしい。

　パン屋（や）のヒーウイさんから聞（き）いたキノコドラゴンが背（せ）中（なか）に生（は）やしている茸（キノコ）から飛（と）んだ胞（ほう）子（し）を吸（す）い込（こ）んだ人（にん）間（げん）や動（どう）物（ぶつ）は何（な）故（ぜ）か目（め）の前（まえ）に居（い）るキノコ怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)へ姿（すがた）を変（へん）貌（ぼう）させてしまうみたいだ。

　未（ま）だ人（にん）間（げん）に戻（もど）す方（ほう）法（ほう）は無（な）いけど、キノコ怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)になってしまった元（もと）人（にん）間（げん）達（たち）を生（い）け捕（ど）りにしては傭（よう）兵（へい）ギルドの地（ち）下（か）室（しつ）で保（ほ）護（ご）しているそうだ。

　元（もと）人（にん）間（げん）だと言（い）われたら倒（たお）す訳（わけ）にもいかなくなった。

　取（と）り敢（あ）えず暴（あば）れないように峰（みね）打（う）ちして気（き）絶（ぜつ）させる事（こと）にした。

　キノコ怪（かい）物（ぶつ）(モンスター)も茸（キノコ）のカサから胞（ほう）子（し）を飛（と）ばすらしくて、胞（ほう）子（し）を吸（す）い込（こ）んだ人（にん）間（げん）は身（しん）体（たい）(からだ)中（じゅう）に小（ちい）さな茸（キノコ）は生（は）えてしまうらしい。

　人（にん）間（げん）の身（しん）体（たい）(からだ)に生（は）えた茸（キノコ）が胞（ほう）子（し）を飛（と）ばすと、茸（キノコ）が地（じ）面（めん）に落（お）ちて、地（じ）面（めん）に根（ね）を張（は）るらしい。

　人（にん）間（げん）は根（ね）を張（は）った茸（キノコ）の肥（ひ）料（りょう）になって、其（そ）処（こ）に大（たい）量（りょう）の茸（キノコ）が生（は）えて、動（どう）物（ぶつ）や人（にん）間（げん）が食（た）べるとキノコドラゴンに変（へん）貌（ぼう）するそうだ。

　その一（いち）連（れん）の現（げん）(サイ)象（しょう）(クル)が判（はん）明（めい）した事（こと）で、キノコドラゴンが目（もく）撃（げき）された山（やま）や森（もり）へ立（た）ち入（い）る事（こと）が禁（きん）止（し）されて、特（とく）に茸（キノコ）狩（が）りは全（ぜん）面（めん）的（てき）に禁（きん）止（し）になったらしい。

　キノコドラゴンの被（ひ）害（がい）は今（いま）や≪ ケイラーム(街（まち）) ≫だけじゃなくて、王（おう）国（こく）中（じゅう）に拡（かく）大（だい）しているそうだ。

　山（やま）奥（おく）に隠（こも）ってブックカフェなんてしている所（せ）為（い）で、一（いっ）切（さい）の情（じょう）報（ほう）が全（まった）く入（はい）って来（こ）ないからキノコドラゴンの存（そん）在（ざい）も脅（きょう）威（い）も深（しん）刻（こく）な問（もん）題（だい）に発（はっ）展（てん）している事（こと）も傭（よう）兵（へい）達（ちち）の話（はなし）で初（はじ）めて知（し）った。

　傭（よう）兵（へい）ギルドから来（き）た傭（よう）兵（へい）達（たち）は、キノコドラゴンの死（し）骸（がい）を持（も）ち帰（かえ）って調（しら）べたいらしくて「 譲（ゆず）ってくれないか 」と言（い）われた。

　セロに──って思（おも）ったけど、あまりにも熱（ねっ）心（しん）に頼（たの）み込（こ）まれたからキノコドラゴンの死（し）骸（がい）は傭（よう）兵（へい）達（たち）へ譲（ゆず）る事（こと）にした。

　情（じょう）報（ほう）料（りょう）だと思（おも）えば安（やす）いもんかな？

　セロなら事（じ）情（じょう）を話（はな）せば分（わ）かってくれるよな？

　傭（よう）兵（へい）達（たち）と別（わか）れたオレは、隠（かく）していた籠（カゴ）を回（かい）収（しゅう）して、セロが待（ま）っているブックカフェへ向（む）かって歩（ある）き出（だ）した。