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海の街  作者: トキン
5/10

散歩(1)

 最初の一週間、神様は六日でこの世をいい感じに仕上げて、七日目は休みました。

 というわけで、神も休む日曜日です。きゃっほい。

 昨今の風潮か何かで、土日の片方に部活が休みのことも多い今日この頃。日曜日の一日オフは嬉しい。

 することのない休みこそ至高とはいえ、さすがに一日寝るのも無理があるし親の目も厳しい。かといって勉強なんてもっての外。居場所をなくした少女は住み慣れた街を徘徊するのです。

 暇すぎて頭おかしくなってきたかも。

 特に行く当てもなく、ふらふらと小一時間。あえて屋外ばかり歩いていたけど、長袖が当然となったこの季節。そろそろ風にあたり続けるのはきつい。

 ショッピングモールに行こう。喉乾いたし、カフェでも。

 大通りの歩行路を街路樹の数を数えながら歩く私は、ようやく目的地を決めた。

 休日の散歩に通学路をチョイスしたのは失敗だったと後悔しながら。


 モールの三階、私からすればおなじみのカフェにたどり着いた。偶然にも空いていた窓際の席に腰を下ろす。

 それなりに景観がいいといっても、見慣れた我が町。心が動かされることはない。むしろ遠目に見える学校の姿が私を憂鬱にさせる。

 普段は学校がそこまで嫌いではないとはいえ、休みの日にはあまり意識したくない。

 そういえば、ここに来るまでに聞きなれた声がした。同級生が遊びに来ているのだろう。鉢合わせても害はないが、面倒には変わりないから会いたくない。

 このモールに来たなら、十中八九このカフェにも来るだろうから、早めに出ようかな。

 かなり甘いラテをいつもよりも早いペースで飲みながら、これから何をするか考えた。

 行きつけの本屋、欲しい本の新刊がもう少しで出るから、今日はいい。文房具とかもいらない。服を買うにはお金持ってきていない。アクセサリーやグッズも今は特に欲しくない。

 カフェを出るとなると、思っていたよりすることがないな。どうしよ。

 まだ次にどこへ行くか決めていないまま、ラテのコップを捨ててしまったので、行く当てもなくさまようことになった。

 うろうろしていると、ついにカフェの反対側にまで来てしまった。電気屋の位置。正直何も用がない。

 さっきの開放的なカフェと違って、どことなく閉鎖的だ。窓も一つもないし。

 なんとなく気が滅入りそうになったから、さっさとほかの場所に行く。さっきは行こうと思わなかったけど、本屋にでも寄ろうかな。退屈は紛らわせる。

 その前にトイレに行きたくなったから、少し寄り道。この建物の西に位置していて、壁沿い。この階の四方の壁際には、カフェ、トイレ、電気屋、ゲームセンターがそれぞれ一方を占めている。

 ゲームセンターに行こうかな。でもそんなに楽しめるタイプじゃないんだよな。

 やっぱり本屋に行こうと決意しながら、目的地へまっすぐ進む。

 トイレは西の壁際の真ん中ほど。左右に女子トイレ、男子トイレに分かれている。

 その間に一つだけベンチがある。男女の一行が相手を待つとき用だろう。周りに観葉植物もある。ベンチの真後ろには小さめの窓。ありきたりなトイレだけど、さっきの場所よりも心なしか明るく感じる。

 

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