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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
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【7】ヒューマノイド・サクラ

シンヤとカズだ。ちょっとしてアツシも加わった。


シンヤ「固まっちまったよ」

カズ「俺もーw」

アツシ「いつ?」

シンヤ「今」

アツシ「カズは?」

カズ「今だよw」

シンヤ「アツシは固まってねーの?」

アツシ「固まってる」

シンヤ「まー、いいや、3時から初めっか」

カズ「おっけーw」


「オッケー」俺


アツシ「なんか、変わったことなかった?」


カズ---退出しました。


シンヤ「なにが?」

アツシ「固まった後に」

シンヤ「今だよ」

アツシ「いやいや、今の前に」

シンヤ「意味わかんねー」


シンヤ---退出しました。


「アツシ、あいつらは、放っとけ」俺


アツシ「分かった」


俺は、あらためてスマホを見てみた。

特に、電話帳やアドレス帳、スケジュールやメモを。

あった。電話帳に。不審な連絡先が。

「HD」とある。電話番号は、空欄だ。


今は、2時半だ。

2020年5月18日。一応、年月日も確認した。

俺は、とりあえず、おやつを食った。


で、アツシに電話した。

「俺、ちょっと、行ってみるわ」


「そっか、俺は、もう少し落ち着いたらな」

アツシは、すぐに行く気は無いらしい。


俺は、HDに電話した。

「はい。ご用件をどうぞ」

呼び出し音もなく、HDの声が出た。


ウチの居間は、カレンダーやら食器棚やら、

いたる所にシールがペタペタ貼ってある。

妹が小さかった頃、おふくろと一緒にあちこちシールを

貼りまくったんだ。おやじは嫌がったけど。


「そっちへ行きたいんだけど」

俺は、居間を見回しながら言った。


今は、もう、家具や冷蔵庫にシールが貼られることはなくなったが、カレンダーには使ってるようだ。


「いつ、いらっしゃいますか?」

HDは聞いてきた。


「んー、今でもいいかな」

「では、電話を切ってから、10秒後に」

サイドボードの小物入れに入っていた、花のシール帳をパラパラと見ながら、

「分かった」

と言って、俺は電話を切った。


時計の秒針が進んでいく。

あれ?外に出なきゃ、ドローンに乗れなくね?

あ、どーすりゃいいんだ?

靴、履かなきゃじゃね?


* * *


気が付くと、白い部屋で、

クルマのシートのような椅子に座っていた。

そう、前にウチへ戻るときに座った椅子だ。


部屋も、たぶん同じだろう。

歯医者の椅子ように上の方を向いて座っていたので、

ふと視線を落とすと、HDが立っていた。


「おかえりなさい」

HDが挨拶してくれた。


「さっき帰ってから、どのくらい経ったの?」

「約1秒です」

「え?」

俺は、理解できずに聞いた。


「時間を接続させましたので」

HDは説明した。


「いや、意味分かんない、って意味なんだけど」

「空間転移接続を実行しました」

HDの説明というのは、難しい熟語をひけらかすだけのようだ。


「それは、どういうこと?」

俺は、中身を知りたかった。


「2020年5月18日14時12分35秒にあなたのご自宅へお返しし、14時27分21秒にあなたからご連絡をいただき、14時12分36秒にここへお連れしました」

俺は、目をつぶって、しばらく考えた。


月面からウチへ帰って、みんなとしゃべって、

おやつを食って、HDに電話して、

ここを出た1秒後に、ここに戻った。


ウチにいた時間は、どうなったんだ?

そんなことを考えながら、ふと腹を見ると、

ウチから持ってきてしまったのか、

シール帳が乗っていた。お花のシール帳だ。


「君は、俺専属のHDなの?」

俺は、確かめた。


「はい」

「俺の、召し使い?」

「その表現は、適切ではありません」

「あ、失礼しました」

「いいえ」

HDは、律儀だ。


「あのさ、名前がさ?難しいじゃん?」

「そうでしょうか?」

「でさ?他のHDと、見分けがつかないじゃん?」

「あなたはそうでしょうね」

こいつの、こういう言い方がちょっと嫌なんだよね。


「で、思ったんだけど、これ、貼っていい?」

俺は、シール帳から、桜の花のシールをはがした。


「それは、なんですか?」

HDは聞いてきた。


「桜の花の絵が書かれたシールだよ。桜は知ってる?」

「地球上に存在した植物です」

存在した?まあ、いいや。


「そう、そう。

で、このシールを君に貼っておけば、君だということが一目で分かるわけだ」

俺は、とびっきりのアイデアを披露した。


そして、HDの左胸に、桜のシールを貼った。

「もしかして、迷惑かい?」

俺は、礼儀として、聞いた。


「迷惑ではありませんが、必要性が疑問です」

「可愛いし、いいじゃん」

俺は、HDが照れることを期待した。


「可愛いとは、どういう意味ですか?」

HDの答えは、期待外れだった。


「で、君をサクラと呼ぶことにする。

だから、本来のMHD-なんたらかんたらと、サクラ

という名称をリンクさせてくれ」


「サクラが、私の固有管理番号ということですか?」

「サクラと呼ばれたら、

君だけが反応すればいいということだよ」

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