第3話不安と不満
(メガトロン)「それで四人の容体はどうなのだ?メディックノックアウト。」メガトロンはディセプティコン騎士団の軍医のメディックノックアウトにリペア台に横たわるスタースクリーム、バリケード、ブラックアウト、スコルポノックの容体を尋ねた。(メディックノックアウト)「何とかオールスパークの数値は安定値に戻りました。しかし体への負担が大きかったためしばらくは安静にした方がよいでしょう。」(メガトロン)「にしてもあの光は何だ?我ら種族の源オールスパークに悪影響を及ぼすとはこの星の原始文明の住民が作れるとは思えん。」(ショックウェーブ)「よろしいでしょうかメガトロン様。」すると紫色の体と単眼の顔を持つディセプティコン騎士団の戦士にして科学者のショックウェーブが進言してきた。(メガトロン)「ショックウェーブ、言ってみろ。」(ショックウェーブ)「恐れながら申し上げます。おそらくあの剣はこの星のものではなくなんらかの原因でこの星に流れ着いたサイバトロン星のものだと思われます。」(メガトロン)「何だと!?」(ショックウェーブ)「はいそれも最初の十三人のプライム、つまりプライム王朝の時代のものと技術が合致します。」(メガトロン)「バカな…だとするとあの剣はあの戦争のころから存在していたのか?」(ショックウェーブ)「はいおそらくは。」(メディックノックアウト)「いかが致しましょうメガトロン様。」(メガトロン)「この事は内密にしておけ下手に他のものに言えば混乱を招くあの戦争は我らの歴史上タブーなものだ。」その頃オートボット一行のキャンプではホイルジャックとラチェットはティラとエドの剣を調べていた。(ティラ)「ねぇまだ~?私達剣がないと困るんだけど。」(ホイルジャック)「そう急かすな。もうすぐ終わる。」(エド)「で何か分かったの?」(ラチェット)「ああ、どのような経緯で作られたかは分からなかったが作られた時期はプライム王朝時代のサイバトロン星のものだということは分かったよ。」(ティラ)「プライム王朝時代?」その時オプティマスがやって来た。(オプティマス)「プライム王朝、我らの種族を生み出した我々のすべての親で最初の十三人のプライムと呼ばれている。」(エド)「なあオプティマス、あんたが名乗ってるプライムって何なんだ?」(オプティマス)「プライムというのは我々の言葉で王という意味だ。」(ティラ)「ええ!じゃあオプティマスは王様だったの!?」(ホイルジャック)「まあそんなあわてんでもいいよ。確かにプライムは王という意味だったけど今は名誉な地位という側面もあるのじゃよ。」(エド)「どういう意味だ?」(オプティマス)「その昔サイバトロン星がなにもない星だったころ最初の十三人のプライムは突然空から落ちてきたオールスパークにより産み出されその後自らの手で次々と子供たちを作りその子供達はサイバトロンの住人になりプライムたちは彼らを統治するプライム王朝を作りあげ十三人はその王位につきサイバトロン星の文明の始まりの基礎を作った。だがある時そのうちの一人メガロトロナス・プライムが徐々に不足していった我らの栄養厳であるエネルゴンの新たな生成場所をめぐり他のプライム達と対立し反逆を起こして残りのプライム達との間で戦争が起きた。激しい戦いの後メガロトロナスは敗れ彼はプライムの地位を剥奪されザ・フォールンと我らの言葉で堕落せしものという名を歴史に刻みこんだ。」(ラチェット)「だけどこの戦いでプライム達の大半が戦死して生き残った最後の一人も仲間を失った喪失感からその後すぐ亡くなりプライム王朝の時代は終わりを告げたんだ。」(オプティマス)「だが彼には弟子がいて彼がプライムの地位をついだ。以後プライムが弟子を育てその弟子がプライムになりその者が指導者になるという師匠から弟子にプライムの地位を託す時代に突入した。歴代のプライム達はサイバトロンをよく治め長い平和と繁栄の時代を作り上げて来た。私の師匠ゼータ・プライムも歴代のプライム達に恥じず実直で立派な人物であった。私を育ててくれた義理の父親もそれを見込んでか彼に私を紹介し私を弟子として色々な事を学ばせてくれた。」(ティラ)「その育てた人の名前はなんていうの?」(ホイルジャック)「アルファトライオン、偉大な歴史学者じゃよ。ここにいるオプティマス、ラチェット、エリータワン、ジャズ、そして他の部隊にいるアイアンハイドを育て上げたのじゃよ。」(ラチェット)「いやいや懐かしいよ。小さい頃は喧嘩早いアイアンハイドがお調子者のジャズといつも喧嘩して意地っ張りで男勝りのエリータワンが二人を説教して勉強好きだった僕はそれを見て呆れていた。そしてそんな皆をまとめたのがオプティマスだったな。よく5人でいたずらしたりしてその度にアルファトライオンに怒られてたよ。」(オプティマス)「お、おい!何もそこまで言わなくても…」(エド)「へぇー、オプティマスにも可愛い頃があったんだな。」(オプティマス)「…父上は今もサイバトロン星に残って生き残りのもの達と共に星の復興を模索している。」(ティラ)「いつか会ってみたいな…」その頃ミラとエドはオートボット騎士団達と今後の方針を決める話し合いを終え自分のテントに戻ろうとしたが大柄な体に髭の生えヘルメットをしているハウンド、頭にゴーグルを着け緑色のコートをしているクロスヘアーズ、青色のサムライ姿のドリフトが武器を手入れしながら何かを話していたのに気付き二人はその話しをこっそり聞いてみた。(ハウンド)「なあ、お前ら今回の戦いどう思ってんだ?」(クロスヘアーズ)「いくらディセプティコンが絡んでるとはいえ地球のためなんかに戦いたくねぇよ。」(ドリフト)「拙者も同感だ。国を失った王族になぜ我々が手を貸せねばならんのだ。」なんと二人は地球に対する嫌悪感とティラとエドに対しての恥辱を話していた。ミラはそれに我慢できなくなり三人に突っかかった。(ミラ)「貴様ら!今の発言今すぐ撤回しろ!」(クロスヘアーズ)「おうおう、あんた確か陸の王国の騎士団長の女団長だよな。そんな偉い人が他人の話しを盗み聞きするとは感心しないなぁ。」(ミラ)「今なんと言った…国を失った王族にみすみす手を貸せねばならかった…地球のために戦いたくないだと!」(ドリフト)「そうだ、我ら金属生命体はお主達有機生命体と関わること自体があり得んのだ。」(ミラ)「このような大事な時にそんな事を言ってる場合か!」(クロスヘアーズ)「なら自分達の手で取り戻せるのか?足手まといのくせによく言うぜ。」(ドリフト)「お主達のような敗者に関わるほどこちらは人手が足りておらん。」(ミラ)「貴様ら…!」(ウィル)「よしとけミラ!」(ハウンド)「お前らその辺にしておけ!」その時オプティマス、バンブルビー、ティラ、エドが駆けつけた。(ティラ)「ミラ!やめなさい!」(ミラ)「王子様、王女様!」(オプティマス)「一体何があったのだ?」(クロスヘアーズ)「どうもこうもねぇこの女騎士さんが俺達に喧嘩をふっかけてきたんだよ。」(ミラ)「ふざけるな!貴様達地球のために戦いたくないだとか国を失った王族に手を貸せねばならんのだとか愚痴を言っていたではないか!」ティラとエドはあまりのことに絶句した。まさかドリフトとクロスヘアーズがそんなことを言うとは思わなかったからだ。(オプティマス)「本当なのか?ドリフト、クロスヘアーズ。」(ドリフト)「…」(オプティマス)「本当のようだな。以後そのような会話をするな。」オプティマスに言われてドリフトとクロスヘアーズはティラとエド、ウィルとミラを睨みながらその場を去った。(ハウンド)「すまねぇな。俺もあんな話題を出すべきじゃなかったよ。」そういってハウンドもその場を後にした。(ティラ)「あの二人何であんな感じなの?」(バンブルビー)「うん…元々あの三人は地球の向かうのに反対だったんだ。オプティマスが何とか説得してハウンドは納得したみたいだけどあの二人は昔から有機生命体を嫌ってるからむずかしいよ。」後から分かったのだがサイバトロニアンには有機生命体に対する嫌悪感を持つものがいてディセプティコン騎士団はそういった者で構成されている。オートボット騎士団も少数ながらそのような思想を持つものがいるらしい。翌日オプティマスは皆を集めて今回の作戦について説明した。(オプティマス)「この近くに村がある。そこの村人達の戦う意思のある者を仲間に迎え兵士として迎えよう。」(ミラ)「共に連れてきた兵だけではディセプティコンとは相手にならない。そこで戦力強化のために同士を募ることにしたんだ。」(クロスヘアーズ)「そんなディセプティコンと戦うために集まるヤツがいるもんかね。」(ドリフト)「正直あまり期待していない。」あれ以来ティラとエドとドリフト、クロスヘアーズはギクシャクした関係にある。(オプティマス)「…まず村への使者だがこれは王子のエドと王女のティラが妥当だろう。次に二人の護衛だがエリータワン、ドリフト、クロスヘアーズにしてもらう。」(エリータワン)「御安いごようよ。」オプティマスにはこの任務を機にドリフトとクロスヘアーズの偏見を改めさせる意味合いもあり万が一のお目付け役のためにジャズと共に部隊のまとめ役のエリータワンも同行することになった。道中ディセプティコンの襲撃を警戒しながら進んだ。(エリータワン)「敵の姿は見えないから進んでいいわよ。」(ドリフト)「了解した。」(クロスヘアーズ)「なぁあんちゃん達よ本当に国民達はお前らのことを歓迎すると思うか?」(ティラ)「何よ急に。」(ドリフト)「これは重要な話だ。逃げた王族のことを憎んでいる可能性だってある。」(エド)「だからってなんたっていうんだよ!」(ティラ)「私達がディセプティコンと通じてて奴等を手引きしたとでも言うの!」(クロスヘアーズ)「そうとはまで言わねぇ。だが下手したらそう思うやつもいる可能性があるって話だ。」(エリータワン)「やめなさいよ!ドリフト、クロスヘアーズ!」その時村が見えてきた。(エド)「見えてきたぞ。」(ティラ)「あの村は確かディセプティコンに対し反感を持つ人達が住んでるわ。」(エリータワン)「まずはこの村の村長に話しを聞いてみましょう。」ティラとエドたちは村に入ったがみな怯えている様子であった。(クロスヘアーズ)「何だ?ずいぶんとびくびくしてるようだが。」(ドリフト)「おかしい、敵の姿は見当たらないのだが。」その時年老いた犬族の村長がやって来た。(村長)「それはサウンドウェーブという奴のせいです。」(ドリフト)「サウンドウェーブだと!?」(ティラ)「誰なのサウンドウェーブって?」(エリータワン)「サウンドウェーブというのはディセプティコン騎士団の三大参謀と言われている奴の一人よ。」(クロスヘアーズ)「航空参謀スタースクリーム、科学参謀ショックウェーブ、そして情報参謀サウンドウェーブで構成されている。」(ドリフト)「恐ろしい奴だ感情を捨てただ任務の遂行のために動く男だ。」(エド)「じゃあこの村にいるのはここを押さえつけるために…」(村長)「左様ですサウンドウェーブは至るところで目を光らせております。普段は村にいませんが奴の部下である機械仕掛けのタカやジャガーがそこら辺をうろついて監視しています。」(エリータワン)「部下のレーザービークとラヴィッジね。」(クロスヘアーズ)「あいつならやりかねないな。」(村長)「どうか我らを解放してください。このままではわしたちはあやつの操り人形になってしまう。」その時人族の子供がやって来た。(子供)「大変だよ!サウンドウェーブがこっちに来るよ!」(村長)「なんじゃと!」(エド)「なら隠れた方がいいな!」ティラとエド、オートボット達はそれぞれ身を隠せるところに隠れた。その5分後エイリアンジェット機が現れ胸にカセットラジオのあり表情の伺えない顔をしたロボットに変形した。彼こそが情報参謀サウンドウェーブである。(サウンドウェーブ)「ココニオートボットハキテイナイカ。」(ティラ)「な、なんなのあのしゃべり方…」(エリータワン)「あれか奴なの。感情何一つない陰険な奴よ。」(サウンドウェーブ)「コタエロココニオートボットタチハキテイナイカ。モシカクマッテイタラドウナルカワカッテイルカ。」(村長)「わ、わかっております。」(ティラ)「あの野郎ああやって皆を抑えつけやがって!」(ドリフト)「ふん、これがまさしく国を奪わたために関係ない国民が背負った不幸だな。」(ティラ)「何ですって!」(サウンドウェーブ)「ヨロシイタダシコレダケハワスレルナコノクニノシハイシャハメガトロンサマダ。」(村長)「は、はいメガトロン様万歳!」そういいサウンドウェーブはその場を去った。(クロスヘアーズ)「変だなあのサウンドウェーブが俺達に気づかないって…」(レーザービーク)「ばーか、気付いてるよ!」すると後ろを見るとサウンドウェーブの部下のレーザービークがいた。(ドリフト)「しまった!奴は探しに来たんじゃない!このままだと村が危険だ!」レーザービークはティラとエドに噛みつこうと襲って来た。(ドリフト)「せや!」しかしドリフトの刀によりそれは防がれた。すると再びサウンドウェーブが戻って来た。(サウンドウェーブ)「オートボットメオトナシクトウコウシロ。」(エリータワン)「そうすると思う?」(サウンドウェーブ)「デハオマエタチヲコロス。」(クロスヘアーズ)「はん!そんな簡単に殺させるかよ!」クロスヘアーズは短機関銃でサウンドウェーブを攻撃するがサウンドウェーブはそれを軽々と避けていった。(エド)「くそ!図体のわりにすばやい動きだ!」(サウンドウェーブ)「オマエタチニワタシハタオセナイ。」するとサウンドウェーブはエイリアンジェット機に変型し砲撃を喰らわせた。オートボット達は何とか避けたが爆風の衝撃により倒れてしまった。(ドリフト)「ぐ!まずい…!」するとサウンドウェーブはオートボット達にとどめを誘うと手から短剣を出したすると剣を構えたティラとエドが立ち塞がった。(クロスヘアーズ)「お前らなにしてんだ!?速く逃げろ!」(サウンドウェーブ)「ソコヲドケ。」(ティラ)「退くものですか!オートボット達は私達の希望なの!彼らを殺すなら私達と戦ってからにしなさい!」(エド)「さあ来い!」(サウンドウェーブ)「デハノゾミドウリニシテヤル。」(エリータワン)「そうはさせないわよ!」オートボット騎士団一の狙撃主であるエリータワンの正確な射撃でサウンドウェーブは一瞬怯む。(ドリフト)「チェストー!」その隙にドリフトはサウンドウェーブの右手を切り落とした。(クロスヘアーズ)「これでも喰らいやがれこのクソッタレ!」そしてクロスヘアーズの機関銃の攻撃によりサウンドウェーブは徐々に後ろに下がった。(レーザービーク)「サウンドウェーブ!このままだと…」(サウンドウェーブ)「コレイジョウハタタカッテモムイミ。ダガコノセンソウカツノハメガトロンサマダ。」そういってレーザービーク、ラヴィッジを胸のカセットにしまいエイリアンジェット機になりその場を後にした。(エリータワン)「行ったわね…」(クロスヘアーズ)「今のは負け惜しみか…」(ドリフト)「いや負け惜しみを言うような奴じゃない。おそらく何かしらの確信があるのだろう。」(エド)「とりあえず勝つには勝てたな…」(クロスヘアーズ)「おいお前ら。」(ティラ)「何?」(クロスヘアーズ)「次からは無茶なことするなよ。」(ドリフト)「拙者達も完璧ではないからな。」そういってクロスヘアーズとドリフトはその場を後にした。(エリータワン)「あの二人…本当はありがとうって言いたいのに意地を張っちゃって…」(ティラ)「ううん、いいんだよ多分私達のことを認めたと思うから。」(エド)「これ以上揉めても仕方ないしな。」その後ディセプティコンに反感を持つ男達が志願兵として加わりオートボット陣営の戦力は増強した。またその任務以来ドリフトとクロスヘアーズは少しずつだが人間に理解を示すようになっていった。
ディセプティコン騎士団
ショックウェーブ
ディセプティコン騎士団の科学参謀。ビーグルモードは紫色の戦車。戦士としても優秀でメガトロンに絶対的な忠誠を誓い彼からも信頼が厚い。興味本位で生き物や捕虜を実験材料にしているためオートボット騎士団からはメガトロンの次に危険視されている。
メディックノックアウト
ディセプティコン騎士団の軍医。ビーグルモードは赤色のスポーツカー。医者としての才能はラチェットにも劣らないが医療の知識を使い拷問するので非常に周りから恐れられている
レーザービーク
ディセプティコン騎士団の斥候兵。タカの姿をしたサウンドウェーブの部下のカセットボット。人口的に創られたカセットボットの中で言葉を話せるのはレーザービークだけである。
ラヴィンジ
ディセプティコン騎士団の潜入兵。サウンドウェーブの部下のジャガーの姿をしたカセットボット。その俊敏さを生かし潜入兵としての才能を開花させている。