迫真錬金術部 辺境調査及び開発業務遂行の裏技.mp1
初投稿なので失踪します
翌日以降。より上等な成熟した火竜を適当に用意してぶつけると、程よく覚醒してくれて育成が捗るようになった。
何段階か踏まえてから元の若い火竜を群れでぶつけても捌けるようになっている。やれば出来るじゃないか。
随分と「もう無理!」だの「死んじゃう!」だの言っていたが、為せば成るものだ。
滞在日程は二週間程な為、ドラゴン狩りを慣らす程度になってしまったがこれでも十分見違えた程変わった。
死線をいくつも潜り中央地域でもモブ狩人並にはやっていけるだろう。(モブが弱いとは言っていない)
そうしたらあっという間に二週間の滞在期間が終わってしまった。
これ以上引き延ばすと、食物連鎖の競争が悪化しより凶悪な魔獣しか残らなくなってしまう。そうなると滞在が危険になる。
「お世話になりました狩人殿。出来れば二度は勘弁願いたいですが・・・」
「しばらくドラゴンは見たくないぜ。それ以外は結構楽しめたんだがな」
「自分にまだ伸びしろがある事は良かったけど。出来れば穏当に知りたかったわ」
「もう生きているだけで幸せです・・・」
なぜなのか。
最大限彼らの実力が伸びるよう配慮してあげたというのに。
「皆様の強さの位階が大きく伸びて公王陛下もお喜びでしょう。僭越ながら私も協力出来て嬉しくございます」
ヒカセン達の修行イベントとして頑張ってあげたではないか。
「これからの旅路に私からも健やかなるよう祈らせていただきます」
そうして彼らは西部へと帰っていった。ちょっとばかりくたびれていたが。
国からの仕事を終えた私には次の仕事が待っていた。泡沫国家の人材に遊ばせておく余裕はないそうで。
次の命令はなんだろうか。無ければ狩人としての日常が戻ってくるんだが。
翌年。光の戦士達の登場を待っていたかのように魔王の復活が大陸国家の全てに響き渡る。
人類はまだ文明の暴力を制御できておらず、また力も弱い。
社会制度の変革による混乱の只中の時代。それを正確に認識できている国家たちは決断を迫られた。
無理矢理にでも統一して戦うか、分断され死ぬかを。
彼らは決断した。
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大陸歴1880年。
中央国家連盟は西部の列強ガリア王国に宣戦布告しこれを僅か半年で陥落させる。
更に相次ぎ国境を接する全ての西部国家に征服を目的とした宣戦を告げた。大陸争乱の始まりだ。
魔王率いる魔獣達との最前線は中央地域。
その彼らからの宣戦布告など常識的に考えればありえない。
しかし彼らは決断した。自由主義・民主主義・王政・帝政・共産主義・社会主義。
あまりにも政治的に混乱し戦争するに足りえない西部等必要無いと断じたのだ。
そして狂気の二正面作戦を敢行し、それを成し遂げている。
魔導と科学の融合で文明強度を高めた中央国家連盟は、政治的・軍事的・経済的に統合されアドラー中央帝国を名乗り、西部地域全てを征服するために進撃を開始した。
対するは西部列強シングランド連合王国とカリスタル共和国。他の弱小国家は既に消えると目されている。
お互いに海外植民地の取り合いで火花を散らす間柄だが、ここでは一度休戦し共闘する事に。
しかし真っ当な陸戦では投入された鉄量・魔導量・強化兵に圧殺され連戦連敗。
一部の英雄が立ちはだかろうとも他で敗れれば孤立するのみ、囲んで棒で殴るは原初にして必勝の戦術。勝てるはずも無い。
戦場になった中小国家に戦火が吹き荒れ、年を越せば本土も間近というところ。
1880年 冬 対カリスタル共和国戦線。都市ル・ベルティ
なんの因果か私は都市制圧ユニットとしてカリスタル共和国国境の街ル・ベルティに駐留していた。
『各強化兵は都市内部で抵抗している敵兵を制圧せよ』
「「「了解」」」
魔導通信越しに司令部からのオーダーを聞いて街中を駆け抜け始める。
他の強化兵も建物や壁を走って伝いながら高度を取り、生命反応がある地点を強襲し始めた。
強化兵は魔導の力によって重力制御を受け自重を自由に制御でき、グラップリングワイヤーを装備し都市を駆けまわり、最近正式化した短機関銃や散弾銃を左腕に装備。
都市制圧だけでなく会戦においても主力として積極的に活用されている。
未だ混乱期を無為に過ごした西部列強とは隔絶した戦闘力を発揮できていた。
「正面の教会、反応多数!強襲包囲!」
「「了解!」」
配下に着けられた強化兵はいずれも中央地域で魔獣と相対するには不安が残るメンバー。
しかし人間相手を殺すなら十分な適性と力がある。
立て籠もった相手を潰す為に散開させてから同時に突入を掛けた。
集中力が研ぎ澄まされ、それぞれがステンドグラスと正面扉から突入する。
景色と敵がスローモーションに見え、左腕に構えたSMGを発射し鎧姿の敵兵が着弾の衝撃でのたうちながら倒れていく。
1.2.3.4四体の敵が倒れた時点でSMGの弾が切れ、右手に握ったノコギリ鉈を振るい首を飛ばす。
残心と共に周囲を確認すると部下も同様にSMGやSGで敵兵を片付けていた。
SMGのマガジンを交換すると敵兵を蹴りどけながら次の反応を探しに教会を全員で飛び出す。
「ついてこい。司令部からの命令あるまで残党狩りだ」
カリスタル共和国は本土での戦闘を厭い、旧ガリア王国領内にゲリラ的攻勢に出ている。
勝てないなりの遅滞策と言う奴だ。
それでも人的資源は無くなっていく。こういう遭遇戦ではやはり強化兵が圧倒的に優位だからである。
私の所業は今日も血に濡れて汚れていく。
「本当に嫌気が差すよ・・・。・・・全くな・・・」
カリスタル共和国は今日も負け星を更新した。
何が書きたいのかわかんないので失踪します