剣山の剣と紅
紅い山の上で時を刻む苦しさ
酸素の薄い頂上で静かに涙を流す
疲れ切った足を投げ出して剣山に座る
ひんやりとした石の温度が心地良い
剣を研ぎ鞘に納めてお茶を飲む
冷えた体が芯から温まる
耳に届いた木霊の軽やかさに浸る
剣を掲げて光を反射させる
この光は地上に届いているのだろうか
地上にいる人々はこの光を見て何を思うだろうか
光の中に映された山は暗闇に包まれる
紅だけは隠れず存在感が増す
紅い木々が生い茂っている
それを眺めながらお茶を飲む
隣に転がる紅を突き落とす
偶然それが剣山に突き刺さる
涙を拭いて立ち上がり飛び降りた