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ギフトの名は罠 その4

 前の話を少し変更しています。

 人形の名前、コハクに変更しました。


 ギフトの中には、鑑定と言うギフトが存在する。

 鑑定に関しては、得意分野が存在する事が判明している。

 たとえば、鑑定”人”と言うのは、人の情報を鑑定する。これに関しては、国に保護という名目で監禁され、特別な扱いを受けるという。

 植物、鉱物、魔物、武器、防具、魔法など、細かく得意分野が分かれていて、色々な分野で活用されている。

 その昔、迷宮に関して鑑定できる特殊な鑑定使いがいたらしい。

 この大陸にある危険な迷宮を鑑定して、その結果を後の世に残している、

 今僕のいる迷宮の情報も、しっかりと残っていた。

「1000階のダンジョン?」

「神と呼ばれる存在は、そこにいます」

「初心者の迷宮だよね?」

「この迷宮は、15歳以下の人間を排除します。成人して、基本的な戦いが出来るようなれば、排除されません」

「僕はまだ10歳だけど?」

「ダークは、この迷宮の中で何かを感じていませんか?」

「そう言えば、ずっと不安な気持ちになっていた気がする・・・」

「普通なら、違和感で直ぐに出たくなるのです」

「これも、罠だからかな?」

「恐らく、そうでしょう。この迷宮は、出たいと思えば、逆方向に進む事で外に出られます」

「そうなの?」

「魔物を倒した瞬間、次の階層に転送されます」

「もしかして、1階ではないのかい?」

「現在は、25階層になります」

「そうだったのか・・・」

 転送は、罠にならないのかな?

「迷宮の仕組みなので、罠扱いになっていない可能性があります」

「君は、人の心が読めるのかな?」

「なんとなく、感じただけです」

「・・・」

「100階層ごとに、敵の種類が変わります」

「100階までは、ゴブリンなの?」

「今回は、そうみたいです」

「毎回変わるのか・・・」

「そう記載されています。ちなみに、途中で死亡した場合、その階層の魔物が、外に出ます」

「え?」

「過去、軍隊で攻略しようとして、134階まで進んだ記録があります」

「その時の被害は?」

「この迷宮を、封印しなければいけないと、決断するだけの被害が、外で起きています」

「僕が進んでも、大丈夫かな?」

「ダーク次第でしょう。無理だと思えば、途中で引き返す事は可能です。ただ、魔物と戦闘を開始すると戻る事ができません。階層を進んだときに、判断してください」

「解った・・・」


 意識して、罠を感じてみる。ギフトを展開した結果、不安な気持ちが完全に消えてしまった。壁の中に、魔力を発生する魔法陣があった。調べてみると、これが不安な気持ちにする正体だったけど、不安にするレベルではなく、精神を呪い殺す事ができるくらい危険な罠だった。

「そんな事まで、解るんだな」

 罠を調べた結果、この罠を自分で作成する事ができるようになってしまった。

 ギフトは、使う事で成長する。1000階層を突破するためには、成長させるしかない。

 恐ろしい罠だけど、使いこなす必要がある。


「落とし穴!」

 罠の基本、落とし穴を作成する。

 迷宮の中でも、落とし泡が作れると言うのは、考えると恐ろしい。コハクの話だと、異空間を作っているらしい。

 魔物相手だから、容赦はしない。特性の落とし穴で、底には槍が上向きになっている。

「精神操作の罠」

 不安な気持ちになる罠を、そう命名した。これは、魔物にも有効だった。

 それを利用して、魔物を誘導する。

 ゴブリンは、ゆっくりと歩き出し、そして落とし穴へと消えていく。

「・・・」

「どうかしました?」

「なんとなく、命を弄んでいる気がして・・・」

 こんなのは、戦いではない問いと感じてしまう。罠と言うギフトが、卑怯者と呼ばれる原因なのかもしれない。

「そうですか?」

「慣れるしかないのかな・・・」

 今の状態だと、特に問題が無いので、同じような事を繰り返しながら、次の階層へと進んでいく。

 不思議な事に、落とし穴で魔物が死ぬと、魔石は自動で回収されて元に残る。魔物を倒すと、ドロップアイテムと言うのが出るらしいけど、それはいまだに出ていない。

「運が悪いのかな・・・」

「相当、悪いですね」

 コハクにも、そういわれてしまった。あれから、ゴブリンと倒し続けて80階層まで進んでいる。

 精神操作の罠と、最初の落とし穴の組み合わせでは、この辺りの魔物は倒せなくなっていた。

 落とし穴に落ちても、致命的なダメージを与えるけど生きていて、飛び上がってきた事もある。

 流石に、その時は剣で倒す事になった。

 繰り返し罠を使う事で、熟練度が上がり、落とし穴がパワーアップした。それ以外の罠も設置可能になった。

 拾った魔石を吸収して、自分自身を強化した。

 その結果、色々と恐ろしい罠ができた。


 精神操作の罠で、ゴブリンをおびき寄せる。

 最初の奴とは違い、地上ならゴブリンキングと呼んでもいいくらい強化された魔物だ。

「ギャウ!!」

 こちらに気づき、凄い勢いで突進してくる。落とし穴が作動しても、飛び越えてしまう。

「甘い!」

 その突進を、余裕で回避する。回避しながら、足元の出っ張りを踏みつける。

「ぐぎゃぁぁぁぁ!!」

 次の瞬間、ゴブリンの体に無数の矢が突き刺さる。

 矢の罠のスイッチを踏んで、作動させた。丁度良い位置に敵がいたから仕方ない。

「次は、これだ!」

 ダメージを受けてふらついているゴブリンを、蹴りつけて落とし穴に落とす。

 折角設置したので、使わない手は無い。

「!!!」

 落とし穴の底は、マグマになっている。

 触れた瞬間に、蒸発してゴブリンは消えてしまう。

「また魔石だけか・・・」

 ゴブリンは、立派な武器を持っていた。出来れば欲しかったけど、残念。最初に持っていた断罪は、途中で折れてしまった。

 手入れをしっかりしていなかったので、自業自得だろう。

 最初に感じていた戸惑いは、今は消えていた。

 コハクは言った。


「相手の弱点を調べて、そこを攻撃する。相手の裏を付いて、戦略を駆使して敵を倒す。自分が有利な状況を演出するのが、卑怯ですか?」


 戦いは、勝たなければ意味が無い。神聖騎士団を目指していた時、そう教わった記憶がある。

 持てる全ての力を投入して、敵に勝利する。

 まだ、罠のギフトの底が見えない。

 ゴブリンを倒して、迷宮を進む。

 次の場所は100階層。迷宮の中ボスがいると言う場所。

「準備は良い?」

「勿論」

 今までよりも、巨大な魔物がそこにいる。

 その足元には、巨大な罠が既に設置してある。

 地雷と言う罠で、踏めば大爆発を起こす恐ろしい罠。

 精神操作の罠を発動させ、その上に、ゴブリンを誘導する。

「っっ!!」

 それが触れた瞬間、世界が白くなった。

 迷宮が光に包まれ、そこにいた何もかもが、消えてしまう。

 強力な光が過ぎた通り抜け、恐ろしい量の熱が狂ったように暴れる。

 一匹で来るに滅ぼすとも言われる、凶悪な魔王。ゴブリンキングに匹敵する力を持ったゴブリンは、一瞬で消滅した。

 

「我ながら、恐ろしいな・・・」

 少し時間を置いてから、落とし穴かね這い上がる。

 敵を倒すための落とし穴だけど、自分の身を守るためにも使える。地雷が爆発する前に、落とし穴に落ちて、難を逃れたのだった。

 罠も、使い方次第で色々と出来る。

 残っていたのは、巨大な魔石と小さな指輪。

 初めてのドロップアイテムみたいだ。

「運が良くなったのかな」

「普通、中ボスを倒せば2つ以上のアイテムが出るよ。これは固定相手身の収納機能の付いた指輪だね」

「え?」

「初心者迷宮だけあって、冒険に便利なアイテムが、中ボスごとに出るよ」

「そうですか・・・」

 許容量の多いマジックアイテムだから、喜ぶべきだけど、なんとなく嬉しさ半減する出来事だった。


 週に1か2回の更新予定です。

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