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序章

学級委員長とは、学校のクラスにおいてリーダー的な立場であり、その役割に就いている生徒のことをいう。

クラスのみんなをまとめる誇らしい役割かと思えば、現実は雑用が多く面倒くさいもので、学級委員長を決めるとなるとジャンケンや押し付け合い等生徒たちの争いの元となることが多い。

そんな学級委員長を、今まさに決めている真っ最中なのだが・・・。


「他に立候補いないな。それじゃあ学級委員長は、大和、よろしく頼むぞ」


「はい!」


巻き起こる拍手、一斉に集まる視線。

この瞬間が、俺はたまらなく好きだ。


「今年も学級委員長は太一かあ」


「よくやるよほんと。俺等的にはありがたいけどさ」


「なあ、なんで毎年学級委員長なんてやってんの?」


「なんでって、決まってるだろ?カッコいいからさ!」


そう、学級委員長はカッコいいのだ。

確かに雑用は多いしやることも山積み、責任だってある。

でもそれをひっくるめてなお、クラスの皆の上に立つ存在であり、リーダーである学級委員長というものがたまらなくカッコいいと俺は思っている。


「変わった奴だなあ」


なんとでも言えばいいさ。

この魅力に気づかないなんてもったいない奴らよ。

小学1年生から高校3年の現在に至るまでの12年間、学級委員長になり続けた俺、大和太一やまと たいちは、慣れた手つきで学級委員長としての最初の仕事、委員会決めを始めるのだった。



○●○●○



今日も今日とて委員長として立派に責務を果たしたぞ。

先生に頼まれたプリントを配り、先生に頼まれた教材を運び、先生に頼まれた教室の片づけをし・・・って、ほんと雑用しかしてないけども・・・これが委員長の仕事なのだから仕方ない。

達成感に包まれながら家へと帰宅する俺。

信号待ちをしながら帰ってからのスケジュールを立てていると・・ん?おいおいおい、待て待て!

横断歩道の向こう側、何か考え事をしているのか考えるポーズのままこちらへと渡ってきている小学校ぐらいの女の子。

いや、赤だから!信号赤だから!


「そこの子!止まって止まって!車きちゃうよ!」


俺の声なんて聞こえてないのか赤信号なんてなんのそのと歩みを止めない。

ここは車の通りが少ないからいいものの・・・って車きてるし!!

しかも運転手さんスマホいじってこっち見てない!違反だろそれ!!


車はもう間近に迫っている。

女の子はそれでも気づいていない、わたり続けている。

俺が行くしかない!


「くそっ!」


横断歩道に飛び出し女の子の元へ。

手を出して女の子を突き飛ばす。

女の子の驚いた顔を見た次の瞬間には、凄まじい衝撃が体の横から襲ってきた。


車に轢かれるのって、すっごく痛んだね。

何メートル飛ばされたのかもわからないけど道路に体が打ちつけられた所が痛いし、車がぶつかったところはもっと痛いし、もう体全部痛い!


「おい!おい!大丈夫かよ!!」


車の運転手さん、死にそうな顔で俺のこと揺らしてるけどやめてー。

そうやって揺らされることによって痛みくるんだからやめてくれー。


「救急車!?警察!?えっと110番?119番?」


よっぽど動揺してるのかスマホ持ってうろうろ。

ぜひ救急車を呼んでほしいんだけどこの人警察に電話かけやがった。

おいおい勘弁してくれよ、ほんとに死んじゃうって・・・え?死なないよね?俺まだ死なないよね?痛みでわけわかんなくなってきたけど死なないよね俺?

なんか体がすっごい寒いし瞼が重くなってきたし痛みが遠のいてきたんだけど、え?嘘でしょ?

だってまだ俺高3だよ?人生まだまだだよ?

恋愛だってしてないし親孝行も全然できてないし、やりたいこといっぱい残ってるし!

そして何より・・・俺まだ学級委員長として高校3年生をやり遂げてない!!

嫌だ!ほかの奴に委員長の座を渡すなんて嫌だ!!

こんな死ぬかどうかの瀬戸際に学級委員長かよってあきれるやついるかもしれないけど、俺にとっては重要事項なんだ!

死んでなるものか!って思いとは裏腹にもう瞼は開かなくなっちゃったし音も聞こえなくなってきた。

体は冷水浴びたように寒いし意識も遠くなってきた。


そっか・・・もう、死ぬのか俺・・・。


人生何が起こるかわからないな。

母さん、父さん、兄ちゃん、姉ちゃん、ごめんよ。

俺はここまでみたいだ。

悲しませちゃうことになっちゃったけど、どうか俺の分まで元気に生きてくれ。


さようなら、だ。


こうして、俺の18年の人生は幕を閉じたのだった・・・。




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