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1話 最初の依頼

1話です。よければ読んでください。

地面に立つと、いつも通りの仄暗い視界、漂う異臭が"ゴースト"にいることを実感させてくれる。正面で武器を構え、今まさにこちらに襲いかかろうとしているのはよくいる盗人だ。薄汚れた服に身を包み、下卑た笑みを浮かべている。

対する俺は小綺麗なシャツとズボンという、外界の人間が好んで着る服装を着ている。


たぶん、外界から来たカモぐらいに連中は思ってるんだろう。俺も住んでいたから分かるが、正直外界から稀に興味本意でやってくる連中はいいカモだ。殺しはしないが、食料を拝借したりは俺もよくやったものだ。


「今先ほど言った通りだ。痛い目を見たくないのならひいておけ」


ゴロツキに向かって歩きながら、再度警告を行う。強気で言ったつもりだが、連中は警戒を解かずなおもニヤニヤと笑みを浮かべている。


格下と思っていても警戒を続けるところは流石と言ったところだろう。


笑いが治ると、中心で銃を構えている体格の良いリーダー格らしき男が嘲るように逆にこちらに対して警告をしてくる。


「その自信、外界の人間の割にはそれなりの腕なのだろうが、甘く見過ぎだな。平和ボケしているお前達とは違い、我々は強い。お前のような外界で護衛をやってる男は何人も殺してきた。ククク…女は何人も犯して壊したさ」


仄暗い顔で下卑た笑みを浮かべるゴロツキ達。


「おいおい、リーダーそれ言ったらダメだろう。車内の女に逃げられちまうぜ、あの装甲車は頑丈みたいだしよ」


リーダーと呼ばれた男の横にいた若い小柄の男が言う。


なるほど、既に雅が"ゴースト"に入っていることを知っていたわけか。まあ、一度も誰にも襲われずに外界へ出ると言うのは甘い考えだろう。むしろ、この辺りを縄張りにしているであろうコイツらが目をつけたからこそ、今まで襲われなかったのかもしれないな。


そう分析していると、リーダーの男が溜息を吐きつつ若い男をフォローする。


「大丈夫だ、逃げるつもりならとっくにそうしてるさ。第一、外界の人間は甘っちょろいからな、仲間を置いて逃げたりはしないだろうよ」


成る程、正確な分析だ。リーダーの男は余程外界の人間を狩ってきたのだろう、よく外界の人間の特徴を捉えている。余裕な態度からも経験値が高い様子が伺える。


「というわけだ、若造。女と金目のものを置いていくなら逃がしてやるぞ。ほら、尻尾巻いて逃げるんだな」


リーダーの男が哀れむように俺に言うと、周りの連中も笑いながら囃し立てる。


まったくもって目の前の男の言うとおりだ。()()()()俺がただの外界の護衛なら、いちかばちか逃げるべきだったろう。この男の言うとおり、"ゴースト"の人間は強い。


ただ、奴らにとって不幸は、俺が"ゴースト"出身でかつ、ゴロツキ程度であれは複数人相手にする程度の実力を持ってることを知らなかったことだろう。


これ以上は時間の無駄だな。


「悪いが、金を貰って仕事をしている以上引くことはできない。あと…見くびっていたのはお前達の方だ」


そう言うと、今なお笑い続ける男達を尻目に、俺はリーダー格との距離を急速に詰める。警戒心の隙を縫うように足を運ぶ。


ほんの数メートルの距離。その距離を一瞬で詰められたように連中は感じられたのだろう。


驚愕したように目を見開き、リーダー格の男は銃を構えようとするが、それでは遅い。


「ぐが、、、はっ」


銃口より敵内側に身を寄せ、リーダー格の男の喉に手刀を叩き込み、銃を奪いとって無力化する。


「な、貴様!」


銃を構えた左右のゴロツキが素早く反応する。

瞬時に状況把握に努めるが、武器を携えているのは銃を構えている残りの2人のみ。

警戒すべき対象を絞り、優先的に無力化していく。


「うが、いだいぎゃああ!」


一番反応の良かった向かって左側の男の腕の関節を取る。動きを封じたところで銃を奪い、そのゴロツキを盾にしながら敵の殲滅にかかる。


「だから言っただろう、油断しすぎだ」


「くそ、散らばれ!」


もう1人の銃を構えた男が叫ぶがもう遅い。今の状況だと敵の懐に入るのが正解だ。


残りの銃を構えた男の体に発砲する。殺さないように足を狙う。


「ぐああっ…!」


足を押さえて男がうずくまる、当たりどころが悪くない限り死ぬことはないだろう。


あとは残り4人、リーダー格が全員やられたため統率は取れていない。勝負あったとみていいだろう。


関節を取っていた男の意識を奪い残党を倒そうとした直後、倒したはずのリーダー格の男が起き上がり、眉間に皺を寄せて苦しそうに呻く。


「貴様、何者だ。もしや…異能持ちか?」


そのセリフと同時に警戒心を強めるゴロツキ達、心なしか怯えのようなものも見られる。


()()()()。遺伝、もしくは遺伝子の突然変異で特殊な能力を宿して生まれてきた人間の呼び名のことだ。

能力者の絶対数は少なく、表に出ることも滅多にない。不用意に目立ちたがる人間は少ないからだ。


「よくわかったな、特に異能持ちだとわかりやすい行動は取っていなかったはずだが。知り合いに似た系統の異能者がいたか?」


「ごほ、ごほ。あまり舐めるなよ、お前の状況把握能力、戦闘力もただの人間では説明がつかない。身体強化かそこらの能力が必要なはずだ!どんな能力を持っている!?」


咳き込みながらリーダー格の男が感情を露わにまくしたてる。

周囲のゴロツキの様子も不安げだ。まあ、それも当然だろう。能力者の平均戦闘技能は()()()()無能力者の30人相当と言われている。

そしてその常識は外界はもちろん、"ゴースト"においても通用するものなのだ。この能力の恩恵を受けて今まで生きてきた身としては、異能持ちの理不尽さは誰よりも理解していた。


ただ、だからといって正直に答えてやる義理はない。目の前の連中は敵なのだから。


「さあな、どうせ結末は変わらない。さっさと腹をくくってくれ、人を待たせているんだ」


さっさと終わるかもしれないだなんて雅に言ってしまった手前、早く決着をつけたい。今後の信用に関わるかもしれないからだ。それに、俺が受けた命令は「敵の無力化」。1人たりとも敵を逃がしていいわけがないのだ。


敵が冷静さを失ったところで、俺は先ほどと同じようにリーダー格の男へと迫る。逃げようと後ずさるが、先ほどの一撃が利いていたのであろう、動きが鈍い。顎に蹴りをいれ、周囲の残党の掃討にかかる。全力で逃げようとするものには銃で、及び腰の敵は素手で対応していく。


そして襲撃を受けてからものの10分で雅からの依頼通り敵の無力化に成功し、初の仕事を無事に終えたのだった。


小説書くのって難しいですね。仕事と同時に続けるのも…。温かい目で見守っていただけると幸いです。

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