ほしいものってなんだっけ?side??
専業主婦になって何だかんだ色々あった。
育児は大変だし、旦那の転勤で上海に移り住むことになるし、でも世の中は便利にどんどんなって行く。
ネットなんて当時オタク位しかやってなかったんじゃないかな?
いまじゃそんなのは当たり前でスマホ一台で何だってできる。
献立にこまったらSMSみてみたりlineで日本の友達と相談したり
YouTubeのクッキング動画参考にしたり。
子供の成長は早く、赤ん坊のころから動画を撮った
可愛い私の天使だ。
急上昇 の動画の中に流行りのアーティストのカバーソング
不意に再生したら着ぐるみ着てて思わず笑ってしまった。
歌声を聴いたら、直ぐに真顔に戻ってしまったけど
間違いなく彼なのだろう。確信する。
「かわんないんだから。。。」
でもなんか昔と違って唄ってるって感じがするかも。
その日旦那にその動画見せると
旦那は私と同じように最初は笑いながら
歌声にきずき真面目な顔に
再生が終わると
無理矢理笑顔で
「アイツらしいなぁ」
っと口にした。
確かにと私も苦笑いした。
それから半年後
綺麗な花火は夜空に毎、息子は騒ぎ立てる。
高層マンションからの眺めは格別ででも何処か虚しい。
あの頃、河川敷で皆で見上げた花火とは違う。
想い出は遠くて切なくて
やるせない。あの頃と今の違いは何だろう?
確かに結婚して天使みたいな可愛い子、仕事が多忙でなかなか旦那は家にはかえってこないけど
とても優しく暖かい。
はたからみたら勝ち組で
でもなにか噛み合ってない現実の虚しさが胸を刺す
あの頃はよかったなってやっぱり年取るとおもっちゃうんだなぁ。。。あたしももうおばさんかも
笑っておどけて自分誤魔化して
彼の歌声を再生する。好きだった。だからこそ苦しくて辛くて楽しくて嬉しくていろんな感情が渦巻いて、アノときこーしてればとか、あーしてればとか考えてしまう。
でもそれだけだ。
私の可愛い可愛い天使がしょんぼりした顔で花火の終わりを告げる。
私は天使を抱きしめ笑う
数時間後に彼が亡くなり、旦那が出頭することなど知らずに。