表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

第8話:敵襲

全く、えらい転校生が来たもんだ。

策略、戦闘センス、紋章術の腕。

どれも他の生徒より頭ひとつ飛び出てる。

これで一般校から来たって言うんだ、笑わせるなっつーの。


放課後の教官室。

今は私以外誰もいない。

手に取って見ているのは彼の、綾辻(あやつじ) (つばさの履歴書。

これといって不自然な所はない。

むしろ不自然なまでの自然さだ。


普通科のとこじゃ、術式までは習っても戦闘訓練なんてまずやらない。

本業じゃないからだ。

あくまで護衛術どまり、そんな考えのはずだ。


でも…、

あの動きは、一朝一夕で身につくもんじゃなかった。

あきらかに慣れている。

魔術、体術を扱うこと。

拳銃の扱いもこなれていた。


そして、炎柱罠(フレアトラップ)…。

あんな使い方をしたら間違いなく自分もただでは済まない。

あいつから逃げる気配は感じられなかった。

あの年で命すら惜しくないなんて…。


一体何者なんだ?

あいつの過去に何が?



「こそこそしてない出てこい」


気づかないと思ったのか?

扉の前に、明らかな敵意が2つ。


「流石ですね」


扉を開けて現れたのは、若い男。

メガネを掛けた男と大柄なマッチョの2人。

それぞれハンドガンを1丁ずつ携えてやがる。


「手を頭の後ろに組んでください」


一応従っとくか、詠唱させてくれるような雰囲気でもないし。


「本校には、生徒以外の人物は厳則入っちゃ行けないんだが、お前らの目的はなんだよ?」


「あなたの質問に答える気は無い」


右脚に痛みが走るのと同時に銃声がなった。

撃たれた。

そう感じた瞬間には、髪を留めていたピンをマッチョ男の銃を持つ手に投擲していた。


ピンが男の手に刺さり、銃が手から滑り落ちる。


負傷してない左脚で地を蹴り、マッチョとの差を一瞬で詰める。


メガネの第2射が左脚も撃ち抜く。

倒れ込む寸前に両手を地面につけ、前方へのエネルギーを生かして一回転の踵落としをマッチョの顔面に決める。


まず1人、このマッチョはもう戦闘不能だ。


マッチョが落とした銃でメガネの銃を狙う。

が、狙いを定めようとした瞬間に相手の銃で破壊される。


「お前、銃の腕チート級だろ」

「否定はしませんが、あなたの身のこなしも充分チート級ですけどね」


私に銃を向けたまま、扉を睨む。


「銃声を聞きつけて来ちまったみたいだが、あいつは一筋縄じゃいかないぜ」


「苺ちゃん!!大丈夫!!」

「下の名で呼ぶなぁーー!!」


入ってきたのは、神楽坂(かぐらざか) 琴音(ことね)

この高校の最高戦力、六柱将(ろくちゅうじょう)の1人。


入ってすぐに状況理解して居合を構えるとは頼もしいねーまったく。


「琴音、君が来るのは予想通りだ」

「だれ、何故私の名前を知ってる?」

「もうすぐここに翼も来る。そしたら君たちをここから救い出す」

「意味がわからない、翼は私が守る」

「君が2回も殺したのにか?」


!?

2回も殺した?

綾辻の過去に神楽坂とこいつは関係してるのか?


青年がメガネを外して、琴音を見据える。

「琴音、僕だよ。(けい)だよ」


その名に心当たりがあるらしく、驚きの感情が琴音の表情から見て取れる。


「我は赤の眷属なり、力を欲する軍神なり」


扉の前から聞こえるのは火の体術の詠唱。

扉が開き、その奥から花瓶を持った翼が現れる。


花瓶は鈍器にも使われる。

それを通常の何倍もの力で投げるのだ。

雷の体術でも使ってない限り耐えられないだろうし、避けるのも不可能。

()った!


一瞬で神無 苺はその判断をくだした。

だが、京と名乗った男はその上をいく。

投げられるはずだったその花瓶を撃ち抜いた。

扉を開けてから投げるまで一切無駄な動作はなかった。

だがこの男は、まるで投げられることがわかってて、投げられる前に対処した。

そんなさも当然のように処理した。

体術や魔術の気配も全く感じない。

素の状態で対処したのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ