第6話:ボッチはつらいよ
ボッチってのはリアルが充実してる奴らからしたら考えられないくらい辛いんだ。
この破紋高校は、1限から4限までは自分のクラスの教室で授業を受けるんだが…。
紋章術の勉強ばっかすると思ってたら、案外現文やら日本史やらの普通のお勉強もするんだ。
いや、普通じゃない。
ありえんくらいレベルが高い。
俺が前に通ってた一般高校の範囲なんて、中等部で習うらしい。
なんでも、頭がよければ柔軟な発想や高等術式の理解などいいことづくしなんだそうだ。
ここで話を戻すが、なぜボッチが辛いか?
教師は、わからない問題は周囲の友達と相談しても構わないって言うんだが…。
友達いねぇぇぇぇぇ!!!!!!
友達どころか完全初対面だろうが、話しかけるのにいったいどれだけの勇気いるとおもってんだよ!?ミジンコの心臓舐めんな!!
休み時間。
担任の先生が親切とおせっかいを履き違えたらしく、俺の席はほぼ真ん中。
違うだろー!!
最初は後ろの窓際Lv.1だろ?
クラスの中心Lv.MAXは初見じゃ無理だよ。
前の奴と後ろの奴が俺を挟んで会話するんだよ!?
どうもできないじゃん!
ふて寝するしかないじゃん。
でも10分間の休み時間じゃ寝れないから教師が引き戸を引く音と同時に顔あげるやつだよ。
影で絶対寝てないよなwって言われるやつ。
だがこれはまだ序の口。
そう、昼食の時間だ。
俺は前後の2人によって休み時間は動くことすらままならなかった。
そのため、尿意がかなり溜まってた。
トイレに行って帰ってくると、俺の椅子と机が女子に使われてた。
女子の集団がそこを中心にして領域を展開しているため、机の横に掛けてあるバッグに近づくことすら至難の技。
無言でいって女子が食べてるとこにしゃがんでバッグの中から弁当を出そうものなら、変態扱いされてしまうかもしれん。
ボッチ飯?
甘いな!!
飯はない、ただのボッチだ。
便所飯?
甘いな!!
洋式の個室でスマホ弄ってるだけだ、飯はない。
極めつけは、移動の時間。
5限,6限は体育館に移動して、戦闘の実技を教師相手に行う。
つまり体育館への移動が伴う。
選択肢は2つ、誰よりも早く移動し準備運動も済ませる優等生だと自分を慰めるか、1番最後のグループの近すぎず遠すぎない距離でついていく金魚のふんのふんタイプ。
俺は後者になりたくはないので早く移動することにした。
体育館の形状は1階部分が戦闘スペースになってるみたいで、様々な障害物が点在してた。
2階はVIPルームみたいになっていて耐魔ガラス越しに1階の戦闘スペースを見ることができる。
うん、体育館じゃないね。
ウロチョロしたり座って待ってると、続々と同じクラスの面々が入ってきた。
見たことないやつもかなりいるから多分2クラス合同でやるのだろう。
その中に、あの娘がいた。
見とれるほどに美しい銀髪に白く透き通った肌、間違いない。
俺を魔獣の群れから救おうとしてくれたあの娘だ。