第2話:死
「一撃で群れを壊滅させるなんて…」
並大抵の術師じゃないな、少なくともBランクはくだらないだろう。
「こんな無能な獣なんて、手こずりようがないじゃない?」
少女は、さも当たり前のように言うと西洋刀を鞘へと納めた。
態度からして嘘を言っているわけでもなさそうだが、素で言っているのが逆に馬鹿にされてるようで少しムカつくな。
「ところで、あんたはなんで本気で戦わないの?危うく死にかけてたじゃない?」
「才能があるお前にはわからんだろうがな、あれが俺の全力だ!お前基準で物事を考えるな」
「嘘、あんたの全力はそんなもんじゃないわ!!」
お前に俺の何がわかるんだよ…。
「私は全力を出さない人は嫌いよ!」
「別にお前に嫌われてもどうとも思わん、まぁ助けてくれたのには感謝するが…」
「褒めても好きにならないわよ!」
なに言ってんだ?
っておい、後ろにまだ魔獣がいるじゃねぇか!
「おい、後ろ!」
声に気づいて振り返るが、ダメだ…!間に合わない!
鮮血が美しい銀髪と白い肌を紅く染め上げる。
驚愕の目で見つめる先には、内蔵ごと腹を食いちぎられた俺の姿が映っていた。
「いや…、いやよ死なないで!!翼ァァァ!!!」
そういえば、前もこんなことあったな…。
まだこの街にから引っ越す前…、6年前のあの日…。
1人の女の子を守って…
血塗れになった俺を見てその娘が泣いてて…
そして、俺は死んだんだった…。
to be continue…