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都市伝説さん

 

「シェリー、後で私の部屋に来なさい」



 朝ごはんを食べている時に、現在関係が良好の父様からお呼び出しを受けた。

 一体なんだろうか。





「どうしました? 父様」


「瞳の色を変える方法の話だ。忘れていたとは言わせないぞ」


「見つかったのですか?」


「正確に言えば作ってもらったのだが、方法が見つかった」


「作ってもらった? それってお金的に大丈夫ですか」


「それなんだが対価を要求された。シェリー、お前は魔法の研究とかに興味はあるか」


 対価か、なんだか面倒な予感がする。

 それにしても、最近色々あり、忙しくて忘れていたがこの世界には魔法があったな。

 前世になかった魔法…。魔法自体に興味はあるが研究か、頭を使いそうだ。


「魔法は、知識として知ってますが、使ったことはないので研究と言われてもいまいちピンときませんね。その対価とはなんですか?」


「…瞳を変えるアイテムを作った彼の手伝いをすることだ。正確には研究の助手だな」


「私がですか?」


「そうだ。悪いがこれは決まったことだ」


 何故このような要求をしてきたのだろうか。私のアイテムだからだと言えばそうなのだが、対価はそれでなくてもよいはずだ。

 魔法を使ったことのない少女を助手に要求するには不確定要素が多すぎる。

 そして父様は勝手にそれを決めないでください、困ります。あと、研究の興味ある無し関係ないじゃないですか。


「何故私なんでしょうか。まだ魔法を使ったこともない子供ですよ?」


「…面白そうだからだそうだ」


「へ?」


 え、今なんて言った? 面白そう?


「面白そうだから瞳の色の変化したお前を要求するらしい」


 どういうこと瞳の色? それって…


「それって実験台ってことですか」


「違う、私がそんなことさせるわけないだろう。ただ面白そうだから一緒に研究したいらしい」


 今、さりげなく父様のデレが発動した。

 でも、今の父様の言い方は誤解を招くと思うし、ビックリするからやめて欲しい。


「いつからですか」


「悪かったから、そうふて腐れた顔で事務的に聞くな。時期は学園に入った時でいいらしいぞ」


 学園……10歳から通う前世でいう学校のようなものだ。違う点は魔法の科目があること。

 あとはこの世界には身分があるのでそこらへんのシステムの違いだろう。

 まぁここらへんは、また今度詳しく調べておこう。


「学園? その方は学園にいらっしゃるのですか?」


「学園の何処かにいるらしい」


「…らしいとは?」


「彼は滅多に人前に出ない。学園の何処かにいるらしいのだが、特殊な仕掛けのある場所にいるらしくてこちらからは会いに行けないのだ。いるかどうかもわからない都市伝説に近い類の人物だな。彼に場所を教えてもらうように頼んだ人が何人もいるらしいが、もう何年も出てなくて場所なんか忘れたよと言われたらしい」


 なにその人、ネッシーか何か? そんな人にアイテム作ってもらって、助手頼まれてるの?やだよ…。

 あれ? でも会えないのになんでアイテム頼めたのだろうか。


「会いに行けないのにどうしてアイテムを作ってもらえたんですか?」


「彼のアイテムで、連絡をとりあえるんだ。それを利用して今回依頼した」


 連絡をとるアイテム…携帯電話みたいなものだろうか。

 そんなアイテムを作る人の助手だ。少し助手が楽しみになってきた。


 ……いや、少し待ってほしい。気付いてはいけないことに気付いてしまった。

 でも、聞かないわけにはいかない。


「助手って直接会わなきゃできませんよね…。どうするんですか?」


「探しに来いとのことだ」


「探しに来い?都市伝説の人物を?正気ですか?」


「私も正気かと聞いたが、なんかその子ならできそうな気がする。僕は勘がよく当たるから間違いないと言っていた」


「……」


 すごい無茶振りだ。どうにかして断れないだろうか。


「私も何かあったら手助けするから、とりあえず学園で探してみてくれないか?」


 あの父様が手助けする…? 今日は父様がよくデレる日らしい。普段なかなかデレない父様に、ここまで言われたら断れない。

 でも、もし行けなくてもその人の勘が外れたってだけで済むだろう。もともと無謀だし。


「わかりました。やってみます」


「そうしてくれ。あと、アイテムを作る為に本人の魔力が必要らしいのでこれに魔力をこめてくれ」


 そう言って父様は、ガラスでできた、手にすっぽりと収まるくらいの丸い玉と、眼鏡を差し出してきた。

 都市伝説さんが凄すぎて忘れていたが、まだアイテムをもらってすらいなかった。


「…これでどうやってこめるんですか?」


「この眼鏡で魔力を見てこめるんだ」


 よくわからないが、とりあえず眼鏡を掛ければ魔力が見えるらしいので、父様から眼鏡を受け取り掛けてみた。



「ふおぉ」


 眼鏡をかけると視界がモノクロになり、父様と私の体の周りにある、赤と青のオーラがはっきり見えた。

 部屋を見渡せば、本やペンなどの道具の周りが、小さな宝石を散りばめたかのように様々な色で光輝いていた。オーロラが見える夜空を見上げたかのような幻想的な景色だ。

 実際は父様の書斎なので幻想でもなんでもないのだが。


「自分の周りの魔力が見えるか? それをどこか一箇所に纏めて放出するか、ガラス玉に触れ、それを体の一部として魔力を這うか…まぁやり方はなんでもいい。やってみろ」


 私は、手に魔力を集めてガラス玉に触れて流しこむ方法がイメージしやすかったので、それを実行した。

 ガラス玉は、透き通った透明から青色に変わった。





「そろそろいいだろう」


「はぁぁぁ」


 父様からやめの合図をいただいたので力を抜くと、どっと疲労感がやってきた。

 魔力を動かすのは想像以上の運動になるようだ。


「明日にはアイテムができると思うので、その時また呼ぼう。あとその眼鏡はおまけであげるそうだ」


 都市伝説さんは仕事が早いらしく、こんな凄いアイテムを普通におまけにしてしまうような人物らしい。

 都市伝説さんの助手の件は不安過ぎるが、アイテムができるのは凄く楽しみだ。

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