ポンコツ父様と厄介な王様
「スティード王子との婚約についてどう考えている、シェリー」
夕食の時、父様は仕事でいなかったのにも関わらず、どこかで今日のスティード王子の一件を聞いたのか私にこう尋ねてきた。
「光栄なことだとは思いますけど…」
「まぁ、彼の性格は難ありらしいからな」
難あり…? スティード王子は、あの腹黒ドSの性格を隠してるとばかり思っていたが、実は有名な話なのだろうか。
「王子のことをご存知で?」
「あぁ、彼の父親から聞いた」
「父親ってもしかして王様ですか?」
「この国の王だが、なにか変か?」
変だ、凄く変だ。何故そんな知ってるのが当然みたいな態度なのだろうか。そんなの初耳だ。
「いつも思うのですが、父様は大事な話をしなさすぎです」
「そうだろうか? 話すべきことは話しているはずだぞ」
父様は全く覚えがないようできょとんとしていた。
話しているかいないかで言うと、話してはくれるがいつも直前だから全く意味がない。それに…
「わたくし、父様の仕事を知りません」
「宰相だ」
「…それは話すべき事です」
この人は、宰相の仕事を大事な話だとは考えていないらしい。ダメだ、この父親を早くなんとかしないと大変なことになる。
「なるほど、これは報告事項なのだな。では、私がスティード王子との婚約に反対しているのも報告が必要か?」
「反対なんですか?! 婚約しそうだとお話しした時なんの反応も示さなかったので、賛成なんだなとばかり」
「あれは事前に聞いていたので、驚かなかった」
驚いたかどうかは問題ではない。そうかとしか言わなかったあなたの態度が問題なのだ。
「はぁ…誰から聞いたんですか?」
私は、疲れと呆れから溜息を吐きながら聞いた。これからこの人を、ポンコツ父様と呼びたい。
「セドリックからだが?」
セドリックは、王様の名前だ。そうか王様に聞いたのか…。ってあれ? おかしくない?
「わたくしが父様に婚約することになりそうだとお伝えしたのは、初めて婚約者候補として、スティード王子と会った日の帰りだったと思うんですけど、その時すでに知っていたのですか?」
「そうだが?」
え? まってどういうこと? 私の婚約は決まっていたという事だろうか。
「どういうことですか?」
「どういう事と聞かれても、その日あいつと会ったら『多分俺の息子が婚約を申し込むと思うからよろしく』と言われただけだが?」
「え? なんで王様は、スティード王子が私と婚約するだろうと思ったのですか?」
これは、私がおかしいのだろうか。実はこの世界では未来が見える人がいて、それが当たり前だったりするのだろうか。
「さぁ? よくわからんが、あいつは『スティードがシェリー嬢の性格に触れたら婚約したくなるだろうな』と言っていたな」
私の性格のどこかが、息子のツボにハマると王様は予想したそうだ。そうかあの王子は運命だとかなんとか言ってたが、性格で選ばれたのか。運命なんてよくわからないもので選ばれてなくて良かったと少し安心した。
それにしても、王子の好みを把握する王様……実はスティード王子よりも、王様の方が厄介なんじゃないかとこれからの未来に不安を抱えた。




