乙女ゲームの世界
私は昔から人の頼みを断れない。正確には断れるほどの理由もなく、人に嫌われたくないから断れないのだ。
今回は違ったが、今までこのように頼み事を軽く引き受けていた私は、王子の要求? を深く考えずに受けてしまった。
引き受けた後に改めて思ったが、私が王妃には向いてないしなりたくない。このまま王妃になったら、ストレスで早死にする予感しかしない。
……王子には早く好きな人を作って欲しいと思う。婚約した次の日に解消に持っていこうとする。これはかなり酷い女だなと思うが、この件に関しては自重するつもりはない。
せめてものお詫びとして、全力で王子の恋愛をサポートしていこう。頑張れ王子!
今回の事を教訓にして、次は失敗しないようにこの世界……乙女ゲームの記憶を整理しようと思う。また間違えて、人様に迷惑をかけるつもりはない。今回だけで充分です。
さて私の頭では、この世界とイコール関係になっている乙女ゲームの基本情報から話そう。
名前は「secret love days」通称シーラブデだ。もっと良い略称なかったの? と思うが皆そう呼んでいた。
そのシーラブデは、絵師さんと声優さんが豪華なのに、シナリオがベタ過ぎで発売当初は、勿体無い作品と言われていた。
しかし全てキャラを攻略したら異変が起きた。ホームページにも載ってない攻略キャラが突如出てきたのだ。彼らのストーリーの内容は、とても濃くて、勿体無い作品から良い作品だと評価が変わった。
シーラブデのsecretは、隠しキャラを指していて、彼らがこの作品の本命だったのだ。隠れていたキャラとは思えないほど力が入っていた。
この隠しキャラにより、ゲーム界は大盛り上がりだった。その後シーラブデは一躍有名になり売れに売れた。
私も、この隠し要素に惹かれ購入を決めた。それから私の好きなゲームの1つに仲間入りしたのは記憶に新しい。
ゲームの人気までの道のりを語ったので、今度は中身について触れよう。
今のは基本情報ではなく、完全に蛇足情報だったが気にしないで次にいこう。
ではゲームの攻略対象の話だ。攻略対象はスティード王子を除いてあと5人だ。今回の婚約みたいに、また何か起こるのではないかと思うと不安で夜しか眠れない。つまり不安だが、なんとかなると思っているということだ。
とりあえず彼らの事を軽く確認しておこう。
まず、悪役令嬢の義弟。弟が欲しかった私としては是非仲良くしたい。ゲームでは険悪な仲だったが、あんなに可愛い義弟を邪険にするなんて勿体ないと思う。
次は、学園で会うであろう女好き教師、お馬鹿な同級生。この2人は言葉通りなので、特に言うことはない。
残りの2人は例の隠しキャラにあたる人物だ。
1人目は、あの都市伝説フィリップさんだ。彼は、魔術師として非常に優秀なので研究の手伝いをするのが普通に楽しみだ。
思い出す前は、彼に会えるか不安だったけど、なんとか見つけ方を覚えていたので、学園に行く際の不安が1つ消えた。悩み事は早く消費するに限るので、月並みの表現だが凄くほっとした。
隠しキャラ2人目は、ヒロインの執事。私がシーラブデの購入の決め手となった人だ。外見と声と性格がすごく好きだった。
『ヒロインの』という言葉から分かる通り、彼はヒロインのマリアンナちゃんサイドの人間だ。
シーラブデの事を思い出し、スティード王子と婚約するまでは、彼と会って仲良くしたいなと考えていたが、今回の件で私はフラグを折るのが下手くそだとわかり、迂闊にマリアンナちゃん周辺に近づけなくなった。
マリアンナちゃんに、近づくとしても必要最低限にしておくつもりだ。死亡フラグをたてて面倒に巻き込まれるのはごめんなのだ。
彼と会っても話せないのは凄く残念だが、心の平穏を考えるならばこれが1番だと思う。
私の脳内会議の結果、マリアンナちゃんや攻略対象には極力関わらないことに決定した。スティード王子と、義弟アルトくんと、フィリップさんは関わらざるを得ないのでそこは除くが。
これで問題は起こらない……と願いたい、切実に。




