閑話 : 綺麗な王子様
スティード王子視点です
ここ数日、父は婚約者候補と面会するぞと、様々の女の子を城に呼んで、俺と話をさせた。
父が選んだ婚約者候補達は、誰もが俺の地位と容姿を求めていった。『綺麗な王子様』という上辺だけのものに憧れ、中身を見ない。
そんな女の子達から、婚約者を選ぶのは正直嫌だった。結婚すると決めた女の子にまで『王子様』を求められられたら息が苦しくなりそうだと思ったのだ。
今日来る女の子も、いつものように『綺麗な王子様』というものを求めに来るんだろうなと思っていたけど、予想は見事に外れた。その子は逆に俺から距離を取ろうとしたのだ。
部屋に入ってきた彼女は、可愛いより綺麗という言葉が似合う女の子だった。どこかで見たことがあるようなその子は、驚いた顔をして考え事をし始めた。
俺がいるのに、必死に考え事をしているのを見て、複雑な気持ちになった。いつも何もしなくても女の子の方から話しかけられ、面倒に思っていたけど、いざ何もされなくなるとなんだが寂しくなった。
とりあえず、何か話そうと思って声をかけたら無表情で挨拶をされた。無表情で挨拶されたことなんてなかったし、何が何だか分からなくなった。
でも、たぶんこれは演技だと思った。初めは、驚いた顔をしたので間違ってないはずだ。
そして、彼女の表情を変えてやろうと意気込んで色々悪戯をしたが、またしても予想は外れた。思っていたよりも彼女は感情豊かだったのだ。
彼女のせいで、素が出てしまったけど呆れたり、絶望されなくて驚いた。今まであった人に、この素を見せたら大抵そんな反応をしてきたからだ。彼らは、俺のような子供なんて求めていない。愛想よく、優秀な王子を求めるのだ。
そのあとから、俺に『王子様』を求めず、表情をコロコロ変える彼女がとても眩しく見えた。『綺麗な王子様』と呼ばれる俺よりも断然綺麗だった。
そんな彼女と一緒に居たいという思いから、気付けば婚約者になってくれとお願いしていた。
すると彼女は良いと言ってくれた。彼女は権力を求めるような感じには見えなかったので、拍子抜けした。もっと長期戦になると思っていたのだ。
でも、どんな理由であれ嬉しかった。やっと、対等に接してくれるかもしれない人に会えたのだ。これからもっと彼女と仲良くなれれば良いなと思った。




