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王子様といえばイケメン

 

 唐突だが、私は、これからこの国の王子に会いに行くらしい。なぜこうなったかというと、時は昨日まで遡る。



「シェリー、明日スティード王子に会いに行くぞ」


「王子にですか? 何故?」


「お前が王子の婚約者候補だからだ。知らなかったのか? まぁいい、とにかく明日行くので準備しておくように」






 このように、どうやら私は王子の婚約者候補らしい。なぜ前日に伝えるのだ父様。


 なんだか父様は、いつも無茶振りをしてくる気がする。いつか慣れそうで怖い。

 それは良いとして、いや良くはないが置いておいて、問題は王子だ。

 所詮私は候補なので、そんな関わらないだろうが、イケメンなら友達くらいにはなりたい。子供なのでそれくらい許して欲しい。イケメンは目の保養なのだ。


 ……いや待て、一旦冷静になろう。現実はそんなに甘くない。

 きっと、王子は見た目が結構やばかったり、性格が悪かったり、権力争いが激しくて関わるのが危険のどれかだ。希望を持って会った時に絶望したくない、保険をかけておこう。



 王子に対する保険をしっかりかけて対面する準備ができたので、父様と共に城に向かう事にした。






 城はとにかく大きくて、煌びやかだ。そして城内は、1人じゃ迷う自信があるほど入り組んでいた。

 新しいものに目を輝かせながら歩いていたら、あっという間に目的の場所に着いてしまった。


 父様は終わったら迎えに来ると言って何処かに行った。

 ここからはもう1人だ……いやメイドや執事がいるので、本当の意味でそういうわけではないが、1人みたいなものだ。



 呼吸を整えて、準備万端になったところで隣のメイドに、扉を開けていいよと頷いた。





 扉が開けば、ピンクに近い赤色の髪に金色の目をした王子が、こちらに笑顔を向けていた。


 その姿を見た私は既視感を覚えた。前世の記憶を思い出した時と同じだ。

 知らないはずなのに知っている。そうだ彼は…



「初めまして、スティード・ビザリタです。どうぞよろしく、シェリー嬢」



 そう彼はスティード・ビザリタだ。知っている、悪戯好きだけど寂しがりやな王子様。私は画面の向こうにいるこの王子のギャップに、何度も胸を射抜かれたのだ。

 そう、これは前世の乙女ゲームをやった時の記憶だ。彼の既視感……それは乙女ゲームの攻略キャラだったからだ。






 この世界は乙女ゲームの世界だった。そして私シェリー・アルバートは、ゲームのヒロインの恋路を邪魔する、悪役令嬢という驚きの事実が発覚した。突然すぎる。


 悪役令嬢といえば、ヒロインをいじめて断罪されるものが定番だ。

 このゲームも例に漏れずハッピーエンドになると、悪役令嬢は断罪されたり、殺されたりする。慈悲なんてものは存在しない。


 でも、ヒロインをいじめなければ、死なないかもしれないという点は喜ばしい……いや普通は死ぬ可能性なんてものはないから、喜ぶのはおかしい。死亡フラグを目の当たりにして、思考がおかしくなったようだ。


 でも、悲観してもしょうがないから、喜ばしいと考えた方が幸せなのかもしれない。ポジティブにいこう。


 喜ばしいといえば、この乙女ゲームは私が生前凄く好きだったゲームなのだ、嬉しい。



「あの……大丈夫ですか? シェリー嬢」


 ゲームの攻略対象達に、会えるかもしれない喜びを噛み締めていると、スティード王子の声で現実世界に戻された。

 そういえば現在、王子との挨拶途中なのを忘れていた。


 このスティード王子は攻略対象で、とても綺麗な顔をしてるので仲良くしたいが、性格と立ち位置的に仲良くしたくない。複雑だ。

 まず性格、彼は悪戯好きだ。画面越しだと可愛いなで済むが、現実だとただの厄介な奴でしかない。

 そして、立ち位置だ。彼は、ゲームで悪役令嬢である私の婚約者になっていた。これは、彼女が無理矢理婚約者にさせたものなので、今のままだと婚約者にはならないかもしれない。

 でも、ゲームの強制力とかがある可能性を考えて、関わりたくない。王妃になるなんてごめんです。



 様々な事を考えた結論として、怪しまれない程度に距離を取っていこうと思う。





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