三十二話「無礼者の再来」
時間はほんの少し戻る事になる。
その日の放課後、恭一はいつもと変わらずに教室の中ただ一人、窓から見える景色を呆と眺めていた。既に同級生の姿は部活、帰宅の理由で一つもない。
少し前に萌と舞が訪ねてきたがそれは「先に帰れ」の一言で追い払っていた。何故そうしたのか、理由は本人も分かっていない。
自覚がなかったのか、ふと萌の浮かべていた哀しげな表情を思い出したのはつい今。脳裏に焼きついたそれは今更どうしようもない。
やりきれない小さなため息に鞄を取ると教室を後に、そして自宅へと直行。すぐにでもその顔を見て。
浮かんだ想像を断ち切って、恭一はもう一度窓の外へと視線を向けた。
何か気を引くものがあるか、と問われれば何もないと答えるだろう。空と街程度しか映ってはいない。
それでもまだ恭一は何かに拘るように窓の外を見続けて、ふと視線を外して教室の入り口へと視線を送った。
まるでその動作に合わせたように、実際には事前に恭一がその気配に反応して、教室のドアが開いた。
「よ、恭一。そろそろ行こうぜ」
ドアの向こうから姿を見せたのは和佐。ただ約束をした覚えはなければその予定も未来永劫、恭一にはなかった。
和佐から視線を外してもう一度、窓の外へと向ける。今度はやや上、茜がかった空へと向いた。
僅かに雲が入り雑じる。雨雲も彼方に見えた。近く、雨が来るのかもしれない。
「何だ、まだ決心してないのか? だとしても、さっさと行くぞ。凪ちゃんが待っている」
その声に従って、では確実になく、恭一は腰を上げた。机の横の鞄を手に廊下へと向かう。
入り口の手前、少しだけ立ち止まって
「それが、必要なら」
「ああ、必要だよ」
恭一は教室を後にした。
遅れて、和佐が後からついてくる。背後で浮かべていた笑顔を恭一は、振り返らない。そのまま階段を降り昇降口へと向かう。
辿り着いた下駄箱で靴を履き替え、玄関を後にする。丁度同じ頃、自分の靴を履き替えに行っていた和佐も同じように出てくるが当然視線も向けない。
帰宅にも部活にも中途半端な時間帯。周囲には二人以外誰の影もなかった。だからこそか、尚更校門の傍に立っていた一人の姿が非常に目に付く。
遠目でも誰かを判別できた。もっとも例え人がいようともそれが誰であるかは判別できたであろう。そんな鋭い視線を向けられる相手など草々いるものではない。
「おーい、凪ちゃん。待った?」
爽やかな笑みに、凪は僅かに視線を向けただけ。すぐに恭一へと戻った。
「それほど待ってはいない。それにこれは約束だ。例えお前達がどれだけ待たせようとも私は待っていた。ただそれだけだ」
「・・・あの、凪ちゃん?」
「何だ、上柳」
「怒ってる? ってかやっぱり待ったよな。いや、恭一の奴がいつもの場所にいなかったから探して探して、でこいつ教室なんかにいてさ、」
軽薄な口調で、ただ少しだけ早口のそれに凪は遮るように、
「私は待ってないし怒ってもいない。それに無駄話を聞く気もない。来たのならすぐに行くぞ。時間が勿体無い」
いつもと変わらぬ口調で鋭い視線を恭一に向けたまま、つまりは和佐には一度も視線を向けないままでその言葉を言い終えた。そしてすぐに身を翻し、進んでいく。
恭一はそのまま凪の後に続き、和佐もその後ろでため息を一つ漏らしてから小走りで付いてきた。
「凪ちゃん、行くって何処に行くんだ? 今から俺等に修行を付けてくれるんだろ。何処か人気のない場所?」
「佐久弥の・・・今私が厄介になっている、お前たちも先日行った水月の家だ。あそこなら人の目を心配する必要はない。それに・・」
「ん? それに、何?」
「いや、何でもない。気にするな」
それっきり凪は何も喋らず、和佐も話しかけようともせずにただ黙々と歩き進んでいった。
恭一は、何故かほんのりと赤が浮き出ていた凪の表情を特に気にするでもなく、いつもと変わらずただ無言で歩いていた。
◆ ◇ ◇ ◇ ◇
着いたのは先の言葉の通り水月の家。実は地元では少し有名な道場であったりもするが、それは完全な余談である。
「居候の私が言うのも何だが・・・まあ、遠慮せずに上がれ」
一度だけ振り向いて一瞥、それっきり凪は振り返りもせずに家に上がり進んでいった。少し遅れて二人も後に続く。
そして辿り着いたのはやはりというか、家の奥の道場だった。
簡易のつっかえ棒を外して戸を開き、中へと入る。入ってすぐに凪が「着替えてくる。少し待て」と姿を消していたが然程気にする事でもない。
何をするでも見るでもなく、恭一は入り口付近で佇む。道場の中では和佐が泥棒のように色々と何かを漁っているがこれも気にする事ではない。
「ん、やっぱ水月は違うな。俺の所とは違って色々と揃って、ちゃんと立派な道場になっているようだな。隠し扉もないし」
ぽつりと漏らした言葉の通り、和佐の両親がしている道場には何故か隠し扉があったりする。昔は恭一もよく使ったものだった。それを今の恭一が思い浮かべようとするかどうかは別として、だが。
ちなみに和佐の実家は剣術で、この水月の家は槍術を教えている道場である。
一通り探り回して満足したらしく、和佐もすぐに沈静化した。二人並んでただ呆と凪を待つ。
佇むのも恭一にとっては大した暇でもなかった。
いつかの夜に見た服装の凪が姿を現した。構造自体は胴衣に似た、ただ明らかに素材が違い表面積もより少なく体に張り付いている物。間違いなく自家製の類で、だが街に出て行けるような私服かと問われれば首を縦に振るのはやや難しそうではあった。
腰元に差してある短剣だけがやや違和感をかもし出している。
ただ、凪がどんな恰好をしていようとどんな物を持っていようと恭一には関心のない事。だが隣の和佐は違ったようで。
「待たせたな」
「いや、そんなに待ってはないよ」
「そうか」
「で、凪ちゃん。その服って、確か夜に会った時も着てたよな?」
率直に言葉に出して聞いていた。
返ってきた答えは首を縦に、肯定。
「ああ。これは私の正装のようなものだ。だからあのような夜に着ていくのは当然の事だ」
「へぇ・・・っと、そう言えば今はあの千代ってばあさんはいないのか?」
一度周囲を見渡して、それは恭一も僅かに気に止めていた事だったので視線を凪へと向けた。
僅かな間を置いての答えは同じ、肯定。
「・・・ああ、千代様は不在だ。だが教えるのは私だ。だからといって何か変わるわけでもないだろう。気にするような事ではない」
「まあ、確かに、そうだな」
「兎に角今は今だ。時間が勿体無い。早速始めるぞ」
その言葉にやっと、恭一は道場の端から動き凪たちへと近寄っていく。和佐は当に、というよりも凪と一緒に先に動いている。
二人が寄ってきた事を確認してからか一度ずつ恭一と和佐に視線を送ってから、凪は口を開いた。
「最初に確認しておくが私がお前達に教えるのは色の」
眼前まで上げられた片手、其処から伸びた一本の指の先に前触れなく小さな火が灯る。
「つまりこういった事でいいな?」
「ああ、それでいいよ。で、その火ってやっぱり本物・・だよな」
「いや、厳密に言えば本物とは言えないな」
試しに、と凪は無造作に火を和佐へと押し付け、触れる寸前に和佐の腕が凪の腕を掴んで止める。すると責めるような目が返ってきた。
「えっと、凪ちゃん?」
「何だ。それと腕を離せ」
「でも離したらその火を押し付けるだろ? ってか何燃やそうとわっ!?」
瞬間的に指先に灯っていただけの火が一気に燃え上がり、舐めるように腕全体を包み込んだ。当然、凪の腕を掴んでいた和佐の手も炎に包まれる。
僅かに離れかけた手に、和佐は奇妙な表情を浮かべた。そして火に包まれた手を離す気配はない。
「・・・あれ? この火、熱くないな」
「今は私が燃えない熱くないように押さえ込んでいるからだ。それで如何だ、燃えない火など本物であるはずがないだろう?」
「確かに、そりゃそうだ」
「だがな、上柳・・・」
すっと凪の目が細まった。それに本能的に危機を感じ取ったのか、掴んだ手を離そうと
「熱っ!!」
まるで熱いように言葉が漏れて、和佐は素早く手を離した。そして冷やすように何度も手を振る。それを後目にして凪の視線は次に恭一へと向かった。
「千里、お前も触れてみればいい。その方が実感出来るぞ?」
出された腕とまるで挑発のような言葉に、恭一は無造作に炎へと手を伸ばす。
次の瞬間、何の躊躇いもなく恭一は炎へと手を突き入れた。
「・・・・・・それでどうした」
伸ばした手は確かに炎に覆われていたが、それでも恭一の表情に変化はない。逆に凪の方が怪訝な表情を浮かべたほどだ。
「千里、お前・・・熱くはないのか?」
「熱くない」
「いや、まさか。我慢などは」
「していない」
「・・・そうか。もういいぞ」
言われたとおりに恭一は炎の中から手を出す。やはり表情に変化はない。
僅かに何かを思案するように、それから腕を一振りすると包んでいた炎はまるで霞だったように消えうせた。
「で、一体どういう事だ? 恭一は熱くなかったのに俺だけ、それも行き成り熱くなるなんて」
まだ熱いのか、結局は片手で手を押さえる形に止まったようだった。
凪は視線を和佐からもう恭一へ一瞥だけして、また戻す。
「図らずとも分かったとは思うが色によって私たちが出来るのはあくまで“現象”という事だ。決して、起こる事ではない」
言葉を噛み砕くのに所要する時間、一秒弱。
「それってつまりは自己の認識の世界、って事か?」
「そうだ。ただし何であれ、自己にとっては認識が全てだ。真実に変わりはない」
「へぇ、成る程ね」
「そしてこれは絶対に心に留めておかなければならない事だが色とは構成する力、分かりやすく言うと一種の生命力のようなものになる。この世のあらゆる所、今触れている空気にさえ存在しているが外から補充は出来ないと考えろ。自己はあくまで自己のものであり、遣えば疲れ、遣い過ぎれば衰弱死も有りうる、そういったものだ」
「生命力、ね。成る程、燃料だと思えばいいのか」
「ああ、そして色の扱い――私たちはこの事を彩と呼んでいるが――はその存在の実感にある」
その言葉に意外そうに和佐は目を見開き、凪を凝視する。補足として恭一が無反応なのは言うまでもない。
「実感、ってそれだけでいいのか?」
「そう、というよりも私たち人間に出来るのは精々が色を感じ、その流れにほんの少しの後押しを加える程度でしかない。だがそれだけで十分事足りる。このようにな」
もう一度腕を上げて、指を鳴らす。すると指先から炎が溢れる。
「これはほんの少し密度を高めただけで出来る、基礎の基礎だ。密度が上がればこのように具現化するようにもなる」
掴むように炎を握る。再び手を開いたとき、炎はもう消えた。
「先ほど彩は色の実感にあると言ったな? だから上柳と千里には最初に色を実感してもらう事から始める事になる」
「実感、って言われてもなぁ。んなものどうやって感じろって?」
「それは私が先導する。お前達の色の流れを強調して、それで違和感として程度には感じられるようになるはずだ。そこから手綱を辿っていく」
そう前置きして、凪は二人に対して両手をそれぞれに突き出した。
眼前に在るのはただの手の平。それだけでしかない。それは分かっている。そして言われるまでもなく危険であるとも全く思ってなどいない。
だがしかし。
恭一は今にも後ろへと飛び退きそうな身体を必死に押し留めていた。手の平を向けられてから、否、正確に表すならばあの炎の中に手を突き入れた時からだろう。訳もない警告がずっと逃げろと、この場にいてはいけないと訴えかけていた。
それでも退くわけには行かない。第一今から始めるものが危なくない事は“知って”いる。だから、何を逃げる理由があるというのか。
「今から私の色をお前達の身体の中で暴れさせる。本当に微量だから弊害はないし、体内の色もそれで活発に動くようになる。すぐに元に戻るだろうが・・・その間に色の流れを感じ取れ。後は思うとおりにすれば良い。内の色が導いてくれる。そしてそれから先はお前達次第だ。
では、行くぞ。なるべく体の力を抜いていろ」
何かを言っているようだが全く気にならなかった。今は自分を制する事だけで精一杯。
不意に。
ぞっとするほどの静けさがその場を覆った、ように少なくとも恭一は感じ取った。
何が怖いというのか、そんな事分かりはしない。ただ、その静けさが、いつ、壊れて、しまうのか、そんな、事。
体が震えるのが自分でも分かった。
初めに感じたのは身体の内部へと浸蝕をしていく実に不快極まりない違和感。僅かなはずの異物に、全身から拒絶を起こしてしまっている状態。
違和感は蟲のように体内を蠢いていく。
内への強奪は止まる事を知らないように、治まる気配はない。むしろより一層身体を蝕み、犯していく。反抗する拒絶さえ自身を侵す。
和佐も同じようなものかと、全くそんな事はなかった。もう虚ろな瞳が映したのは極めて平穏なその表情。苦痛や苦悩を感じてそれに我慢し表情に出さないように、などは一切ない。明らかに何も感じていない、表情。
「・・っ」
ついには立っているのも辛い状態になり足も震え出し、思わず千鳥足の様に後ろへと数歩下がってしまった。
と、その瞬間に今まで気分が悪かったのが嘘だったかのように不快感が一掃されていく。内に巣食っていた蟲どもも次第に死体へと変わり、拒絶感も収まりを見せていった。
「千里?」
気がつくと、凪が不思議そうに見てきていた。隣の和佐も同様に。
「・・・恭一、お前、どうしたんだ?」
「何の事だ」
「何の事って・・・お前顔真っ青だぞ。汗だって酷いし、気付いてないのか?」
「・・・・・・・そうか」
道理で不快感が引いた割には吐気が治まらないわけだ、と納得する。だがそれは本人だけで向けられる瞳には当然変わりはなかった。和佐には今にも詰め寄って来そうな勢いが見られる。と、言うか実際に詰め寄ってきた。
「そうか、じゃないだろ恭一!!」
掴んだ両肩を軽く揺さ振ってくるが、今はそれさえ振り払う気が起きてこない。それでも弱々しく肩に乗った手を除ける。
「っ」
瞬間襲われる吐気に思わず手を口へと当てて、やり過ごす。
「ほら見ろ、全然大丈夫じゃないじゃねえか。それに・・・凪ちゃん、これって一体どういう事だよ?」
責めるような瞳を凪へと向けるが、返ってくるのは困惑に近いものだけ。
「いや、こんな事私も見た事が・・・上柳は如何ともないのだろう?」
「あ、ああ。そう言えば確かに」
軽く自身の身体を動かしてみて、確かめている様子。
一方で恭一の方は吐気も次第に治まりを見せて、口元に当てていた手を下ろした。だが胸の中にはまだ一つ、去来し続けるものがある。いや、むしろ強まったといってもいい。
頭の中に鳴り響く警告音、逃げろという想いが一層重みを増した。だがそれも。
意地と呼ぶには余りにも重いもの。
決意と呼ぶには余りにも軽いもの。
恭一の頭の中に逃げるという選択肢は存在しない。念いに焼かれるくらいなら己の命を落とす方を取る、それだけの事。
落ち着いてきた恭一の隣ではまだ言い争いじみた事をしている二人。
「でも実際恭一は、こうなったんだぞ?」
「ああ、それは認める。だが先も言ったように色とは一種の生命力だ。害意もないのに人体に悪影響を与えるとはとても思えない。むしろ逆なら分かるのだが・・・・・・・ぁ」
考えるように俯いていた凪が何かを思いついたように顔を上げる。それを見て探るように、やや和佐の瞳が細くなった。
「どうした、やっぱり何か心当たりでもあったのか?」
「ああ。余り気にしないような事なので忘れていたが、色には属性という一種の組分けのようなものが存在する。火・水・風・地・闇・光・無と、まぁ五行のようなものだと思えばいい。属性同士には相性があり、悪ければ反発しあう事もありうる。ちなみに私の属性は火だ」
「つまり、凪ちゃんの属性と恭一の属性の相性が悪くて偶々反発しあった、って事?」
「・・・そうだと思う。稀に相性の良し悪しだけで体調を崩す者もいる、と聞いた覚えがある。だから千里は私の属性に“呑まれて”体が過剰反応を起こしたのだろう」
「ふぅん、つまりはアレルギーのようなものか・・・って、すると恭一にはこの色を送り込んで云々って奴は無理って事か?」
「そうなる、な。私の属性が不味いとなると相手役は私ではだめという事か。そうすると、一体どうするか・・・・・・、?」
凪の言う内容は大凡解った。ただ、だからといって恭一にはどうという事もなかった。自己の嫌悪に焼かれる程度、然程でもない。それが必要なら焼かれる事にも耐えるだけ。
実際深くは考えていないが、そのように二人の様子を傍観していた恭一だったがその時、僅かに物音を聞いた。
同時に考えているようだった凪が突然顔を上げる。見せたのは何かを思いついたような表情。
「少し待て。私では駄目というのなら他をつれてくるまでだ。丁度一人、帰ってきたようだから頼んでみる事にする」
言うなり、二人が口を挟む間もなく凪は身を翻して道場から出て行った。
◆ ◇ ◇ ◇ ◇
凪が姿を消してから数分後。
「待たせた」
短い言葉とその背後に一人、水月佐久弥を連れて凪は道場へと戻ってきた。
七宝殿~居間で興っている事?~
三十には「無礼者の名言」
萌「………」
萌「………」
萌「えっと、大変言い難い事なんだけど今回、舞ちゃんと和ちゃん、二人とも休みだって」
萌「それで、二人の血闘の結果は…」
真衣「ストォォォォォォォォップ、ですぅぅぅぅぅ!!!」
萌「ま、真衣さん?!」
真衣「背走です、皆の操り人形(I'm doll)、つまりアイドル真衣ちゃんで~す、お久~」
萌「お久~…じゃなくて、どうかしたの、真衣さん?」
真衣「はっ! …そうでした、萌さん}
萌「はい?」
真衣「二人の事についてはこれ以上深く突っ込まない方が賢明ですから、話さないように」
萌「……よく分からないけど、そうなの?」
真衣「はい、そうです」
萌「う~ん、そう言うなら……そうするよ」
真衣「はい、それが良いと思います」
萌「うん、それじゃ、気を取り直して今回の話の事だけど…」
真衣「はい、ふむ、今回は……前話のちょっと前、の事ですね」
萌「うん、お兄ちゃんがちゃんと出ているね」
真衣「で、今回はこの話に重要になる(らしい)用語説明が多く出てきていますね」
萌「そうなの?」
真衣「はい、そうですよ、例えば『色』や『属性』がそれにあたります」
萌「ふぅん、そうなんだ」
真衣「ちなみに言っちゃいますと、わたしも色を使えるんですよ」
萌「ええ、そうなの?」
真衣「はい、まず、対抗者として出てきた人は全員使えると思って間違いないでしょうね」
萌「ふぇぇぇ、そうなんだ」
真衣「あ、でもこれはあくまでわたしの意見ですから、もしかしたら違うかも…」
萌「あ、うん……でも、それならお兄ちゃん、『呑まれてる』って、大丈夫なのかなぁ」
真衣「ふむ、これは身体に異常があるわけじゃないですから、大丈夫ですよ………多分」
萌「多分、なの…?」
真衣「い、いえ、そういうわけで言ったのでは…」
萌「うう、お兄ちゃん」
真衣「ああ、また萌さんが少し壊れてしまいましたか、まあわたしには関わりないですが」
萌「うぅ」
真衣「それでは時間という事で、次回三十三話で、お会いする事があれば会いましょう~」