三十話「憤りさえも朽果てぬ」
太陽の傾きは東南。時間的に見て今の授業は二限か三限か。
本来教室で授業を受けている時間帯、恭一は一人屋上にいた。金網越しに何処ともなく広がる建物達を視界に収めていた。
「・・・・・・」
僅かに眉を寄せる。
遅れて、金属の軋む音。誰かが屋上に来たのを知らせるドアの軋みが聞こえてきた。
ほとんど無音の足音が真っ直ぐ恭一へと近づいてくる。その他者を恭一は間合に入るなり振り向き様、有無を言わせずに拳を放った。
「よぅ、恭ぃつぉ、と!!」
初撃が空を切った事に軽く舌打ちをしつつ、自分からの踏み込みにより逃さず追い討ちに回し蹴りを放った。
相手も然る者。大きく後ろに退いていたらしく残念ながらそれも音を立てて空を切った。
「相変わらず、だなぁ」
三撃目を撃とうとして、気の抜けた声が耳に届いた。そこで初めて恭一は自分が殴ろうとしていた相手を認識した。
相手の姿を認めるなり、正確には認める一瞬前。
「何の用だ」
「っと、俺じゃなかったらどうする気だよ?」
「関係ない」
三撃目もやはり空振りに終わっていた。
一拍で仕留める事が出来る一歩前、絶妙な間合を取られて流石に四撃目は止めた。ただ相手を睨みつけるだけで我慢する。
佇んでいた和佐は一度だけ呆れたように肩を落す仕草をした。
「ほんと、相変わらずだよ、お前。まぁ、もう慣れたから気にしてないけどな」
にじり寄るも完全に一定距離を取られて手の出しようがない。
ほざく言葉は完全に無視して、恭一は微かに殺気さえ孕ませて和佐を睨みつけた。
「何の用だ、と言った」
「いや、ちょっとした文句って言うか、改めて宣言して置こうかな、とか・・・まぁ、そんな所だ」
浮かべている軽薄そうな笑みはいつも通りで、だが目だけが笑っていなかった。そんな和佐の表情をもう何年ぶりに見るのか。だがそれは恭一にとって何ら哀愁を誘うものではない。
ただこの時、恭一は和佐に対して明らかに警戒を浮かべた。それだけは確かな事。
「なあ、恭一」
「何だ」
「あの時、俺がお前に言った事を覚えているか?」
恭一はそれに反応を返さない。僅かに、和佐に哀しげな表情が浮かんだ。だがすぐにそれは笑顔の中に沈んだ。
「恭一、俺は改めてお前に言うんだ。分かるか?」
問いながら、初めからその答は期待していた様子はない。恭一も不可解そうに僅かに眉を寄せただけだった。
「俺は今よりも強くなる、絶対だ。その為に俺自身の誇りは要らない。泥を舐めようと構いはしない。どうしても強さが必要なんだ」
「だから、どうした」
聞いた事がある。全く同じ事を、自我がはっきりしないが自分は確かに聞いた事がある。その事実は恭一の胸の内の警告音を更に大きくさせた。だがそれが何故か、自覚はまだない。
「だから俺は譲らない。例え相手がお前だろうと、負ける気は更々ない。けど、な」
不意に和佐の瞳の中に明確な悲しみが浮かんだ。それを自分は知っている、よく似た瞳をした少女を知っている。
心音が一度高く鳴り、恭一は目の前の物体を敵と認識した。その意志に応えるように、緩慢な動きで和佐は背中から小太刀を片手に一本ずつ抜き取った。
「俺だけじゃ意味がないんだ。お前も一緒に、少なくとも四日前みたいな事を俺は認めない。悔しいが、俺だけじゃ駄目なんだ。俺だけじゃ、護れないんだよ・・・」
今にも泣き出しそうな色が浮かんで消え、和佐の足が一歩、前に出た。
それは戦いの合図。
互いに踏み出し前に出る。間合は当然得物を持つ和佐の方が長い。因って踏み出すのが同時なら先制は自ずと決まる。
日光を反射した刃が微かに鈍い軌跡を描いた。入り雑じるように伝わる憤り。
向かう軌線に恭一は迷わず更に踏み込んでいた。有利不利など気にすることではない。
「っ!!」
小太刀が振り下ろされるよりも先に、自分の間合へと詰め寄った恭一の瞬発力は大した物だった。
伸びきっていない腕を取り、がら空きの腹部へと蹴りを放つ。
両手で和佐を捕縛している今、避ける手段はなく確実に入ったと思った瞬間。
「!」
ふわりと和佐の身体が浮いた。
当たるはずの蹴りを踏み台に、蹴りが迫る。
身を捻る、事も出来ずに靴の爪先が喉元へと突き刺さった。仰け反った身体に更に追い討ちと、全体重をかけた膝が落ちてきた。
すかさず両手を離して、地面へと両腕を叩きつける。そのまま後転の要領で振ってくる膝を蹴り上げた。更に後転を続けて距離を取る。離脱する寸前、右腕に痛みが伝ったが気にする余裕はない。
少し離れた位置、和佐は小太刀についた血を払うところでついで冷ややかな視線を向けてきた。
「今のお前じゃ俺にも勝てない。じいさんにも同じような事を言われているだろからこれ以上は何も言わないけどな、それでもだ。俺の意志はお前も強くする事。たとえそれがお前の意志に反するとしても、な」
そう言うと和佐は両手を再び背中に回して、小太刀を背中に納めた。それこそもうこれ以上得物は必要ないと言わんばかりに。
或いは、それで初めて対等であると。
「お前は弱い。たとえどれだけ強くても、相手に勝てないんじゃ弱いのと変わらない。お前は俺に、本気になったとすれば凪ちゃんにも勝てない」
その言葉に恭一は地を蹴っていた。これだけの敵意を向けられてずっと黙っていられるほどに大人しくはない。
「違う、恭一」
力なく首を振って、その場から和佐の姿が消えた。
次の瞬間、何かに足を掬われて勢いを止める事も叶わずに体勢が崩れる。逆らわずに受身を取ろうと、足と腕に伝った衝撃によって視界が回転した。
空が見える。
「っ」
咄嗟の事に、しかし反射的に受身は取る。
だが一瞬の遅れも取らずに衝撃が腹部へと奔った。
「もっと考えて動け。そんな動きじゃ見切られるのは当たり前だ。手加減はしても良い。無意識だろうがそうでなかろうがそれはどうでもいい。だがな、そうするならするだけの思考を巡らせろ」
声は真上から聞こえてきた。
空が和佐に遮られて見えない。僅かに汗を滲ませて、微かに息を弾ませて、和佐は恭一に馬乗りになりながらその拳を振り上げた。
「まだだ。まだ全然。お前の覚悟はこの程度か?」
振り下ろされる。頬に熱い痛みが伝った。
「覚悟してその程度なら、また何も出来ずに終わる。お前は、そして俺も」
一瞬、和佐の顔に苦渋のような表情が浮かんで動きが止まった。
躊躇わず、恭一は身体を捻って馬乗りになっていた和佐を滑らせて、拘束のなくなったその場から飛び退いた。
追撃に体勢を整えて、僅かに訝しげに和佐を見た。
追ってくる気配はない。顔を歪ませて、ただその場で恭一を見詰めていた。
空いた間に恭一は体勢を、そして身体の具合を整える。右手が僅かに切れている以外は問題なく、撲られた部位も少し熱を持っている程度だった。
「ほんと、変わらないよ。昔から、なぁ・・・」
懐かしむような、そうでないような。
呟きを耳に入れつつ、恭一は三度和佐へと向かった。
迎える和佐はただ佇み、曖昧な微笑を湛えたまま何もしない。そして結局何もせず、恭一が出した拳は初めて和佐へと当たった。無防備な頬を捉える。
この機会、続けざまに媚氏、蹴りと連打を打ち込む。そのどれもが確かに和佐を捕らえ、だがそれら全てがまるで柳を撲るような手応えしか返してはこなかった。
「変わらない、じゃ駄目だ」
出した拳が和佐の掌に遮られる。初めて腕に確かな重みが掛かった。もう一方の拳も同じようにして止められる。
最後には残った足を繰り出す。だがそれも同じような動作で和佐の起こした片足に止められた。
「お前が」
呟き。
「お前がじいさんや、あの人から教わったのはこんな事だけか?こんな下らない、愚直なだけの体捌きしか教わらなかったのか?」
顔を起こし恭一を睨みつける和佐には殆ど痛手は見られなかった。
向けられた瞳は憤怒や殺気にぎらついてなどいない。勿論余裕であるはずもない。ただ苦しそうな、拳で受けた分の痛みを肉体ではなく精神で受けているような表情だった。
「視ろよ、恭一」
軸足が刈られる。
二人とも片足で立っていたのでどちらもが地面に倒れた。だから出来た差は覚悟の差か。
身を起こそうと、息が詰まった。伸びた手が喉を攫み、力任せに起こされる。
寸前には和佐の顔。逆に和佐の方が喉を掴まれているのではないかと思うほどの苦しそうな顔だった。
「俺は覚えている、忘れない。だからお前が忘れたっていうなら今度は俺が叩き込んでやる。だから見せてみろ。お前は、少なくともお前の身体は覚えているはずだから・・・応えてみせろ」
振り上げられた拳が、下ろされる。
その時、恭一の頬に何か冷たいものが落ちてきた。それに、それとも言葉に反応したのか、
――手を取って
首に掛けられた手を利き腕で握り締める。
当然その行動に何もしない相手ではない。更に喉が詰まり、拳が迫った。
――引っ張って
従って、自らの内に相手を引き入れる。
間合を外した拳が頬を掠っていくが気にしない。
引く力が弱まり自然と身体が後ろへと傾いていく。何もしなければ一秒と満たずに地面へと激突する。だから、
――うん、そこで
「――動く」
その言葉は無意識に恭一の口から出ていた。そして、それは聞こえてきた声と重なり合う。
身体を捻って右半身を犠牲にした。僅かに眉を寄せて、だが構わない。自重の勢いをそのまま続いて倒れてくる相手にも乗せて、叩き付けた。
「くっ」
咄嗟に地面に手をついて衝突を避けたようだが、再び自分の下へと引き寄せる事によって体制を崩そうと
――駄目
考えるより先に掴んだ手を払い除け、身体を転がしてその場から逃げていた。
転がる勢いに乗って身を起こして立ち上がる。そこで、恭一はぴたりと動きを止めた。いや、正確には動けないでいた。脳と身体の接続が一時断絶したように動こうとしても動かない。ただ脳に、今にも破裂しそうなほどの心音だけが届いていた。
少し離れた場所で和佐も身を起こし、少しの呆然の後に不意にその表情が崩れた。
「は、ははっ、何だよ?やれば断然、出来るじゃないか。そうだよ、今みたいな動きだ。だからお前はまだ俺よりも強いはずなんだからな」
浮かべた表情は、本当に、心の底から嬉しそうな笑顔だった。
余りに場違いのそれに、懐かしさが滲み出た。もう今は思い出せないほどに遠く感じる、一緒に鍛練に励んでいた時の記憶。
「――ぁ」
鮮明に蘇るその時の誓約。それが一体何の為だったか、何を想いそう決めたか、一切は知らないし今は知る必要もない事。だが当時自分は確かにそう決めた。約束、そんなものではなく。
強くなる事。
改めて認識したその想いに、気付くと身体が動くようになっていた。
特に構えるでもない構え、自然体。だが先ほどまでよりも全身からは余計な力が抜けている事に本人は気付かない、気付いたとしても気にしはしない。
笑っていた和佐の声が止まった。代わりに現れたのは闘争の塊のようなぎらついた瞳。
口元が僅かにつり上がる。
「いいぜ、やってやろうじゃねぇか」
制服の上着を脱ぎ捨てて、更には後ろ越しにあった二本の小太刀までを鞘もろともや下捨てる。そして和佐もまた全身から力を抜き、片腕だけを目の高さまで上げた。
小太刀二本がコンクリートの床に当たる音が屋上に響き渡る。
「さあ、久しぶりに思い切り楽しもうぜ?」
挑発するように指を引いて不敵な笑みを浮かべ、それに恭一も態度で応えを取る。
二人は同時に地を蹴っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日は大体真南にあった。
午前の終業を知らせる鐘の音が鳴ったのはつい先ほどの事。校内やここから見えるグラウンドには次第に騒がしさが満ちてきていた。
屋上にいる二人は何も喋らない。ただどちらも大の字に寝転んで青空を見上げている。
向けられた視線に気付いて、恭一は痛む身体に何とか顔だけを向けた。
「なぁ、恭一?」
「何だ」
「お前は、満足できたか?」
恭一は応えず、再び眼前に広がる清々しいまでの青空へと視線を戻した。その内に目を開けているのも億劫に、瞳を閉じた。
全身があちらこちら痛んでいた。というよりも痛くない場所の方が少ない。しかも打撲などの傷は右手の切傷以外全て服の下と、一見して分からないえげつないものばかり。それでも何故か、悪い気はしなかった。
こう思えるのは一体どれだけ久しぶりの事だったかと、考え掛けて止めた。無駄な事だと気付いたからだ。
「よっ、と」
小さな掛け声に、続いて近づいてくる足音が聞こえた。仕方無しに恭一は瞳を開く。
多分似たり寄ったりの状態、のはず、の和佐がすぐ傍から恭一を見下ろしていた。
「いやぁ、久しぶりにお前と思い切りやり合ったよな?」
「知らない」
「しかも俺が格闘戦でお前に勝てたのってこれが初めてじゃないか?」
何故か、むっと憤る自分がいた。
「負けてはいない」
「ははっ、いーや、今回は俺の勝ちだね」
実に嬉しそうに笑いながら、手を差し伸べてきた。恭一はその手を倒れたまま払い除ける。それでもまだ自力で起き上がる気にはなれない。
「なあ、恭一よ?」
「何だ」
「俺は、手段は問わないよ。強くなれるのなら地獄に堕ちたっていい。それで護りたいものが護れるのならそれで満足だ」
「そうか」
視界の中で、和佐が隣に腰を下ろしてきた。転がって何処かへ行こうと考えるも、そうするのも今は億劫なので止めた。
「なあ、恭一よ?」
「何だ」
「凪ちゃんの件、どうするつもりだ?」
何も応えないでいると、すぐ傍から漏れ出た吐息の音が聞こえた。
「俺は、凪ちゃんから教われるものは教わろうと思う。そりゃ何故か凪ちゃんがお前に対して過剰な敵意持ってるみたいだけどよ、それなら尚の事傍にいればいいじゃないか。強くなって、凪ちゃんを見張れて、一石二鳥」
ふと、恭一にとっては非常に珍しい事だが俗に言う嫌な気配を感じて和佐を見ると嫌悪が奔るほどに清々しい笑顔に迎えられた。
「いや、それに佐久弥ちゃん、だったか? 可愛かったし、凪ちゃんと合わせて一緒にいられるなら一石四・・・・・いや、俺の都合を合わせると五鳥だな。恭一、恋は出逢いだぞ?」
半ば無意識に、恭一は手を振うと和佐の腹部へと拳を叩き込んでいた。
和佐にしては予想外だったのか、恭一にしても思いのほか素早い動作で、見事に無防備な水月へと突き刺さった。
痛みに顔を顰めながら、和佐の口元が僅かに引き攣る。心なし額に縦筋があるようにも思えた。
「っ!!」
次の瞬間、問答無用で恭一も全く同じ場所に拳を叩き込まれていた。ろくに力を込める事も出来ず、正直かなり痛む。喉は息だけが漏れて、何故か頭には鈍痛がある。
「な、結構痛いだろ?」
抗議以上の意味を込めて和佐を睨みつける。今はそれしか出来ないが故に。だがそれも虚しく、本人は何処吹く風、であった。
無性に苛立ちが募る。
「・・・・・・・」
結局、何をするにも気だるいのでそのまま空を見るのを続ける事にした。
変わらない、青空。雲は僅かでそれが一層に空の青さを強調する。それは燃えるような赤ではなく、沈むような灰でもない。恵みと滅びの雨はなく、紛れもない澄んだ青空。
ただぼんやりと、恭一はその景色に魅入っていた。
隣に座る和佐は何も言わない。何を想い傍にいるのか、どんな表情を浮かべているのか、恭一には知る余地もその気もなかったが、何故か笑っているような気がした。
どれ程の間そうして空を見上げていたのか、遠くで午後の始業の音が鳴り響いた。
「さて、と」
身を起こした和佐が身体に付いた埃や砂をその場で掃う。下にいる恭一は溜まったものではなく、転がって逃げた。
粗方掃い終えたのか、笑顔を湛えた和佐が覗き込んできた。
「じゃ、恭一。どれだけサボっても文句は言わないけどせめて最後の授業には出ろよ。迎えに来た萌ちゃんが色々と怪しがるからな。それと、いい忘れてたがもう一つの用件だ」
不意に和佐の顔が再び真剣なものへと変わった。
「萌ちゃんに余計な心配を掛けるんじゃないぞ。もし泣かせたら半殺し・・・は萌ちゃんが哀しむけど、兎に角許さねぇからな!!」
咄嗟に思いつかなかった事への照れ隠しなのか、必要以上に大きく叫んで和佐は屋上から出て行った。
言われるまでもない、と心中で願いながら、気だるく温かな日差しに恭一は両の瞼を静かに閉じた。
青い景色が消えて一変、黒一色が視界を覆い隠す。
黒だけの世界、そのはず。
揺らめくように視界の端に映る赤い色、その陽炎をしっかりと見詰めながら恭一は穏やかにその意識を閉じていった。
五時間目が終わる頃には目を覚まそう、そう思いながら。
七宝殿~居間で興っている事?~
三十代「若さはもうない……?」
萌 : なんか、色々と大変なんだな~て、最近になって思ってきたよ
鼎 : それは良い事なんじゃない?
萌 : うん、だから和ちゃんや舞ちゃんが来れないのも仕方ないんだね
鼎 : ………それはどうかな?
萌 : ? それってどういう意味なの?
鼎 : ま、そんな事は如何でもいいし、ささっと解説済ませてよ、こんな所居たくないし
萌 : ぁ…うん、そうだね、今回の話は……
鼎 : 話の繋ぎ、だね
萌 : うん、そうみたい、今回で漸く二章も終わったんだって
鼎 : てか、なんだか『仲間』の意味がなってないような気もするよ
萌 : それは…作者さんも言っていたよ、『途中から内容がずれてきた』だって
鼎 : だろうね
萌 : でも…結局二章は一章の約二倍にもなっちゃったんだね
鼎 : 無駄なことを書き過ぎている所為だよ、きっと
萌 : ……でも
鼎 : ?
萌 : 今回の章、わたしとお兄ちゃんとの組み合わせが多かったよね~
鼎 : それもそうかも…後半なんて殆どそれみたいだけだったし
萌 : 作者さん、心変わりしてくれたのかな?
鼎 : 心変わり?
萌 : うん、そう
鼎 : ………聞きたくないけど一応聞いておいてあげるよ、何の?
萌 : わたしとお兄ちゃんがラヴラヴの結末になるの
鼎 : あ゛?
萌 : うん、きっとそうだよね、最初と違う結末って言うのも良いもんね
鼎 : いや、それないから
萌 : …うぅ、鼎君どうしてそんな冷たい事言うの? もしかして焼きもち?
鼎 : そこ突っ込むところなのかな?
萌 : ぁ、ううん、そうじゃないよヤキモチの相手はわたしじゃなくて…
鼎 : あの狂人? それこそそんな事あり得るはず…
萌 : 佐久弥さんだよ?
鼎 : ぶっ………だ、だからなんで僕が姉さんなんかに…ああ、今回はもう終り、終りだ
萌 : え~もう?
鼎 : そう! 終ったら終わり。一斉の、でいくよ……いっせいの~で、
萌&鼎 : 次回三章、三十一話でお会いできる事を願って………またね~