二十三話「歩み寄る目覚めの時」
目の前に広がるのは赤、あか、アカ。
周囲からは物の焦げる臭い。頭の中は警告を発するが身体は指先すら動く事を拒絶する。
焦げる臭いと共に黒煙が充満していき、それが更に行動を妨げる要因となっていくのがぼんやりとだが感じられた。
「お兄・・・ちゃん?」
声がした方を見る。
炎の海の中に一人の少女が立っていた。それは自分の事を兄と呼ぶ少女、何処か何時かに見覚えがあった。
少女の隣に陽炎のように揺らめく影がもう一つ現れる。少女と同じ歳ほどの少年。
「恭一?」
少年が誰かの名を告げる。その名前は何処かで聞いた事のあるはずの名だった。だがどれだけ考えてもそれが誰を指すのかを思い出せない。
最後に一人。
少女や少年にしてみれば大人と言って差し支えないような女性が同じようにして二人の後ろに現れた。
「恭・・ちゃん?」
告げたのは少年と同じもの。だが決定的に何かが違っていた。
彼女の声に、言葉に、理由も知らずにこみ上げるものを感じて胸の辺りが幽かに傷んだ。そして涙が溢れ出るのを自分でも止める事が出来ない。
ようやく、何の根拠も必要なく。
言われた名は自分を指していたのだと言う事を朧気ながらに直感した。
何かを訴えるような三人の、六つの瞳が見つめる中、唐突に炎の勢いが増す。煙が肺に入ったのか、呼吸の最中に少しだけ咽た。
それは咳に瞳を閉じた一瞬の事だった。三人の頭上の建物が崩れ落ち、現実は死を容赦しない。
(危な・・・・・!)
声を上げかけて、初めて動けないどころか声も出せない事に気がついた。
何も出来ぬまま、直視を避ける事も出来ずに存分に炎を纏った板が三人へと、落ちた。
周りにも煙が充満した所為か、自分の意識も急速に薄れていく。
(萌!! 和佐! ひー姉ぇ!!!)
あきらめるなど選択に無い。
声に成らない声で必死に三人の名を叫ぶ。先ほどまで全く思い浮かばなかった三人の名を知らずの内に呼んでいる事に気付くこともなく、やはり叫びは空気を震わせることはない。
(―――――! ・・・?)
炎の中、意識も薄れてはっきりとしないというのに。
一人。
炎の向こう側にまだ誰かが、笑って、立っていたような気がした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
誰かが近づいてくる気配に恭一はその瞳を開いた。
何か夢のようなものを見ていた気がして頭の中が重く感じられた。気を晴らそうと頭を振って感じた鈍い痛みに顔を顰めてその動作を止めた。
気配の元がたどり着いたのを感じ、ドアの開く音がした。
「お、恭一。もう起きたのか」
声の主を見ると和佐だった。何故か手に服とタオルを持っている。
そして、改めて気付いた。長椅子の上に寝かされている自分の姿、見覚えどころか毎日見ている風景。
「ここ、は」
「お前の家だよ。それと萌ちゃんも自分の部屋に寝かせてある」
和佐の言葉を聞きながらぼんやりと辺りを見回して、それが目に入った。冷え切った手付かずの料理が恐らく二人分。
瞬間、思い出した。
「萌・・・は!」
身を飛んで起こすが、重い頭痛と軽い眩暈を感じて全身の力が抜けた。お陰で膝が崩れて長椅子の上に逆戻りする。
「萌ちゃんは部屋に寝かせてあるって言ったろ。だから安心しろよ。それと恭一、お前も疲れてんだからちゃんと休め。尤も、俺も本気でやったから草々自由にも動けねぇだろうけどな」
和佐の顔を見て、力が抜けた。萌が部屋で寝ているのなら今は何でもいい。
気だるい体に小さく息を吐いて、ようやく自分の身体に関心が向いた。
気付くと裸同然の姿だった。下着と身体に掛かっている毛布以外意は何もない。だからといって何ら束縛がある訳でも行動に支障がある訳でもなく、気にしない。
だが唯一、先ほどから続いている頭痛だけが気に障った。濡れた頭に手を当てると一ヶ所だけ、じわりとした熱を持っている部位があった。
触れた瞬間、鈍い痛みが伝わる。
「っ」
「お、おい大丈夫か?」
「問題ない」
痛みは一瞬。それも分かっていればたいした事は無かった。取り敢えず他の部位も触診をしてみると、左手に包帯が捲かれている以外は問題ない事を確認する。
「まぁ、取り敢えずこれ着ろ。その恰好じゃまだ寒いだろ。それと髪も拭いておけ」
放られた服とタオルを受け取って、先ずはタオルで頭を拭いた。その間に和佐は傍の椅子へと腰を下ろしていた。
少しだけ感じた寒気に、髪も程々にして服を着た。それからもう一度濡れた髪を丁寧に拭きなおす。
「お前、どこまで覚えてるんだ?」
不意に語りかけてきた和佐に恭一はタオルを置いて視線を向けた。
「どういう意味だ」
「記憶に切れた箇所はないか、って意味だよ。あるだろ?」
思い出し、いや、言われるまでもなく記憶には途切れたところがあった。水月家で佐久弥に食い掛かり、ぷつんと途切れていた。後は泥まみれの萌の姿、それからこの場所だった。
改めて頭の中で確認して、和佐を真っ直ぐ見る。
そういえばぼんやりとした記憶の中に和佐もいたような気がした。
「何があった」
「やっぱり、覚えてないのか」
大きなため息を一つ。
何処か寂しそうに、安堵していたように見えた。それが唯一ある泥まみれ、萌の泣きそうな表情を思い浮かばせて、不安に襲われる。
「何を・・・した」
「俺を襲った」
どうでもいい、そんな事。
「他に」
「それだけ、だ」
和佐の答えはどれも即答だった。ただ、最後の一瞬の躊躇い。
触れるものに恭一は問いただそうと、口を閉じて後ろへ振り返った。和佐も遅れてそれに気付いた様子。
開いたままのドアから舞が姿を見せた。そして恭一を見るなり微笑む。
「あら、お兄さん起きられたんですか?」
「ああ。ついさっき、な」
恭一は何も言わない。代わりに和佐が言ってから、その視線は恭一に向いた。
「ああ、こいつな。俺一人じゃ色々とまずいから舞にも来てもらった・・・ってか、勝手に来ただけだけどな」
「何ほざいているの。私がいなきゃどれだけ困ったかをその低能で理解できないのね、哀れな男」
「ぐっ・・それは感謝している。けど、どうしてあんな時間あんな場所にいたんだよ?」
「ふっ、萌ちゃんに危険が迫れば私がそこにいるのは必定。理由なんて萌ちゃんへの愛だけで十分よ」
何処まで本気なのか分からない台詞を掃いて堂々と胸を張る舞。それに和佐は諦めたようにため息を一つついて、
「で、終わったのか?」
「ええ、ちゃんと寝巻きに着替えさせてきたわ」
「おーおー、ご苦労様で」
「まさか。十分に堪能させてもらったわ〜」
「・・・・・・」
二人には一切の興味はなかったが、その会話の中の一言にひきつけられて恭一は舞の方を見た。
着替えさせた、と言えばこの場に居ない者、萌の事を指す他はない。だが着替えさせると言う事は自分では出来ない、という事になる。
恭一の視線に舞は和佐を睨み見た。自然と恭一の視線も和佐へと移る。
「お兄さんに説明してなかったの?」
「本当に今起きたところなんだよ」
「あ、そうなの」
「・・・何の事だ」
「全身雨と泥でびしょ濡れ。だから風呂で洗い流して着替えさせた。それだけだから深く気にするな」
泥だらけの萌の顔が思い出される。そしてなるほど、と納得できた。
だから、次の行動に出る。
「あ、お兄さんどこへ?」
当然のように応えはなく、恭一は舞が退いたその場所から居間を出て、脇目も振らずに階段を上った。後ろからは二人が付いて来ているようだったが気にする事はない。
目的地はすぐに着いた。
立ち止まった瞬間に軽い頭痛と眩暈が襲ったが、気に入れずに目の前のドアを数度軽く叩いた。
「・・・・・・」
少し待っても返事はない。
「あ、萌ちゃんは・・・」
追いついてきた舞が何かを言いかけていたが構わず、恭一はそのドアを開いて中に入った。
最初に目を送ったのは部屋の右端においてあるベッド。すぐに目的の、この部屋の主の少女の姿が見えた。
音を立てないように、ベッドに近づいていく。
「も・・・」
言いかけた残りの言葉は寝ていた萌の顔を覗き込む途中に呑み込んだ。その理由は少し苦しげに、萌は寝息を立てていたから。
だから恭一は、ベッドのすぐ傍へと腰を下ろすとそっと自分の手を萌の頭へと添えた。
「萌」
「んっ」
小さな呼びかけと異物の感触に応えるように萌は少しだけ身動ぎをする。その動きに逆らう事はせずに、指で髪を梳くようにして萌の頭を撫でる。
「お兄さ・・・」
後ろで上がりかけた声も途中で止まり、消える。
少し後にドアの閉まる小さな音と共に後ろにいた二人の気配が部屋の中から消えた。
その頃には苦しげだった萌の表情は心底安心したような、本当に安らかなものへと変わっていた。
恭一は静かにその行為を続ける。まるでそうする事でそのひとが其処に在ると、そのひとが生きていると、温もりを確かめているようでもあった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ぅ・・ん・・・」
どれ程同じ事を繰り返していたのか、手の下で萌が身動ぎをしたかと思うとその瞳がゆっくりと開いた。
「萌」
最初と同じ呼びかけに、萌の瞳が恭一を向く。
「お兄、ちゃん? ここ、は」
まだ意識が完全に覚醒しきっていないのか、萌はぼんやりとした様子で辺りを見回す。
恭一は極めて簡潔にその問いに答えた。
「家だ」
「いえ・・・・・ぁ、わたし・・の、部屋?」
「そうだ」
「帰って、きたんだね」
喜びを噛み締めるような、弱々しい声。
何も応えず、恭一は再び頭に乗せていた手でゆっくりとその頭を撫でた。
萌が微笑みを浮かべ、完全に覚醒した瞳が恭一を見る。
「お兄ちゃん、わたしね・・・怖い夢、見たよ」
「そうか」
「お兄ちゃんが何処かに行っちゃうの。可笑しいよね、お兄ちゃんはここにいるのに」
「そうだな」
「だから、わたしね、悲しくて、いっぱいいっぱい叫んだよ。それにお兄ちゃんは振り向いてくれて、そこで怖い夢はおしまい」
「そうか」
「目が覚めたらお兄ちゃんが傍に居て、ずっとわたしの頭を撫でていてくれた」
「ああ」
「嬉しい、なぁ・・・」
いつのまにか萌の瞳から滲み出ていた涙が一滴、伝ってそのまま枕へと流れ落ち、その直前に恭一が指でそれを掬い取った。だが溢れ出た涙は一向に止まらず、流れ出てくる。
「でもね、お兄ちゃん。寂しかったよ、怖かったよ」
涙を掬う事は諦めて、恭一は涙を流し続ける萌の頬へと手を当てた。
「わたしをひとりに・・・しないで、お兄ちゃん」
「ああ」
その言葉は普段感情を見せない恭一にしては力強く、はっきりと。
「萌を置いて、何処にも行かない」
だが感情は一切篭っていない、その言葉、その姿に、萌は涙を止める事もせずにただ小さく頷いた。ただ、酷く悲しそうに。
萌は添えられた手を自分の両手で包み込んで、まるで幸せを噛み締めるように瞳を閉じた。恭一は何も言わずにその様子をただ眺め続ける。
沈黙が流れた。
「ご飯、温めなきゃ・・ね」
思い出したように、瞳を開けた萌がそんな言葉を漏らした。
名残惜しそうに包んだ手を介抱して、その身を起こし
「ぁ・・」
途中で揺れた身体は結局再びベッドの中へと戻った。
「あは・・は。ちょっと、失敗しちゃったね」
半身だけをゆっくり起こして、明るく振舞う萌の姿。だが恭一にでさえそれが演技と見て取れる。
だから恭一は萌の頭を両手で挟み込み、そのまま近づけた。
「ぉ、兄ちゃ・・」
有無を言わさずにおでことおでこを重ね合わせる。
「・・・・・・・」
しばらく密着したまま体温を測り、自分と然して変わりない、強いていうならまだ萌の方が冷たいその温もりを確認してから顔を離した。
それでも、力ない様子の萌に恭一はその両肩を押してもう一度ベッドへと寝かせた。それから毛布を身体に被せる。
「疲れたなら休め」
熱が出たように顔を真っ赤にさせていた萌はしばし惚けたように、即座に顔まで隠すように毛布を被ってから、静々と顔半分だけ出した。
「・・・・・・うん、そうする」
聞き違いかと思えるほどの小さな声。
萌が目を閉じて、疲れていたのだろう、すぐに安らかな吐息が聞こえてきた。それを聞いてから恭一はベッド際から立ち上がり、静かに部屋を後にした。
音を立てないようにドアを閉める。
すぐ傍に、何処か落ち着きのない様子で和佐と舞の二人がいた。
二人にしては珍しく揃っていても言い争っていない、がそれを当然無視して通り過ぎ、軽い眩暈と共に身体が揺れて思わず壁に手をついていた。
「恭一!?」
慌てた様子で和佐が駆け寄ってくる。
伸ばされた和佐の手に、振り払おうとするが上手く手に力が入らずに空振った。
「どうした、何だか調子がよくないみたいだが・・・・・・もしかして」
伸ばされた手が額に当てられる。その感触は酷く冷たく、気持ちよかった。だがすぐに手が離される。
「熱あるな、お前」
その言葉に、力が入らない事も無視して和佐の手を払い除けると恭一はつい先ほど出てきたドアを勢いよく開いてその中へと戻った。
「あれ・・・どうかした、お兄ちゃん?」
開いたときの音が五月蝿かったのか、ぼんやりとだが萌の目が開かれていた。いつのまにか萌の傍らには舞の姿もあった。
恭一は無言で萌へと近づいていき、もう一度額同士を合わせて体温を比べる。
やはり先ほどの認識に違いがあるはずもなく、やや恭一の方が熱いくらいの体温だった。
額を離し、萌を見つめる。
「熱が、あるな」
「え、そんな事・・・・」
言いかける萌に、素早く横から手が入り込んできた。
「・・・・ちょっと熱い」
「ま、舞ちゃ・・・」
すぐに額に当てていた手を引いて、珍しく萌の戸惑いの声にも耳を傾けず、難しい表情のまま部屋から出て行った。
身を起こそうとしていた萌を引き留め、恭一は再び布団を正してから先ほどと同じようにベッドの傍へと腰を下ろした。
「診ているから、ゆっくり休め」
「で、でもわたしお兄ちゃんと同じくらい」
「休め」
恭一の強い言いように萌は口を噤んで、行き成り閉じていたドアが勢いよく開いた。部屋に入っていた和佐と萌はびっくりしてそちらを見て、恭一は一切無視。ただ身を乗り出しかけた萌を押し留める。
勢いよく入ってきた主、舞は大股でベッドまで直進して、恭一のすぐ傍へと同じように腰を下ろした。
片手には二つの小さな紙包み、もう片手には器用に水の入ったコップが二つ。一つを萌へ、もう一つを恭一へと差し出した。
「萌ちゃん、これ飲んで。それでお兄さんはこっち」
有無をも言わせぬ口調だった。
押し切られる形で萌は受け取った水と共に紙包みの中に入っていた粉末状のものを飲み込んで、恭一も少しの躊躇いの後に萌の視線を受けつつその粉末を呑み込んだ。
「萌ちゃん、とりあえずこれ。測ってみて」
何処からか舞が取り出したのは体温計。それを萌に渡してから、振り返った。
「和、出て行け」
「なん・・・・」
いつも通り文句を言いかけたのか、だがその言葉は途中で止まった。そして何かを読み取ったのか珍しいほどに何も言わず素直に部屋から退出した。
和佐が出て行ったのを見て、萌は恥ずかしそうに恭一を見たが恭一がその視線の意味に気付くはずもなかった。舞も舞でこちらは止めようとしていない。
何かを諦めたように、だが恭一からは身体を隠すようにして萌は服を捲り上げると脇へと体温計を挟み込んだ。
そのまましばらく。
体温を測り終えた体温計を舞が受け取って、小さく息を吐いた。
「やっぱり、熱があるわね」
萌が捲っていた服を下ろして、何故か丁度よくドアが開いた。勿論入ってきたのは和佐。
「熱、やっぱりあったのか?」
和佐の言葉をきれいに無視して、舞が向いたのは萌と恭一の方。
「多分雨の中で体が冷え切ったのが原因だと思うわ。それと余り言いたくないけど、精神的な負荷の部分もあると思う。兎に角、ゆっくり休みましょう」
上半身を起こしていた萌を寝かせて、布団を整える。
萌はただじっと、少し不安そうに視線を恭一へと向けていた。
「何だ」
「お兄ちゃん、わたし・・・風邪、うつっちゃうよ? 離れなきゃ」
恭一は動かず、ただベッドの脇に座ったまま萌を見続けるだけだった。
少し困ったような、それでも嬉しいような表情を萌は浮かべて、今度は舞と和佐へと視線が向く。
「舞ちゃん、和ちゃんも。風邪がうつっちゃ困るから、わたしから離れて? それにもう時間が遅いから二人とも家に帰らなきゃ駄目だよ」
萌のその瞳に見られる事数秒。
音を上げたのは二人同時だった。舞が立ち上がり、和佐もドアへと向かう。
「ま、ゆっくりと休んでくれよ」
「私がいる事で心配を掛けるなら出て行くけど、してほしい事があったら遠慮はしないでね、萌ちゃん。私すぐにでも駆けつけるわ」
互いに言葉を残し、部屋から出て行く。
「お兄ちゃん、は」
二人を見送った後に萌はもう一度恭一を見て、結局出て行った二人が最後に浮かべていたものと同じような表情を浮かべる事になった。
そして困った、それでいて嬉しさを隠せないような表情を浮かべたまま、萌は恭一を傍らにおいて静かに目を閉じた。
ベッドに背を預けて、恭一は静かに萌の寝る様を見守り続ける。
七宝殿〜居間で興っている事?〜
仁藤さんは「ああ、祐美が夜に目を覚ましたとき」
佐久弥 萌さん、まだ風邪で治るまでにもう少しかかるみたい
鼎 で、引き続き僕らが、て訳ね
凪 そうだな、確かに本編で出番も無いようだし丁度いいか
佐久弥 …萌さん、大丈夫でしょうか?
凪 確かに、身体も冷え切っていたみたいだったからな
鼎 大丈夫だと思うよ、この話でも十分過ぎるほどに元気そうだったんだから
佐久弥 あ、そうだよね、今回の話は………ぁぅ
凪 だが、こういうのを見るとなんだか……
佐久弥 はい、他人のプライバシーを覗き見ているみたいで気が進まないですね
鼎 別に、本人にばれたり本編の僕らがどうなったりする訳でもないからいいんじゃない?
佐久弥 そういう問題じゃないの! …鼎?
鼎 ………わ、分かってるよ、そのくらい
凪 まあ、なんにせよ仕事は仕事だからな、話の説明をしてしまうか
佐久弥 あ、はい、そうですね、凪さん
凪 さて、今回の話だが…
佐久弥 ………
鼎 ? どうしたの、二人とも黙り込んで?
凪 いや、いい話だなと思ってな、やはり兄妹というものはいいものだな…
佐久弥 はい、そうですね
鼎 ……………何処が? ねえ、この話からどうしてそんな結論になるの?
凪 何を言う、麗しい兄妹愛じゃないか
鼎 ……………ブラコンにシスコンなだけだろ
佐久弥 …かなえ?
鼎 はいはい、分かってるってば、ちょっとした冗談だよ、冗談、これでいいんでしょ?
佐久弥 ちゃんと分かっている、ならいいけど…
凪 何だか私も、兄さんや姉さん、妹たちに会いたくなってきたな
佐久弥 そうですね、離れているのは寂しいですものね
凪 ちょっと、電話してくる
佐久弥 はい、いってらっしゃい、凪さん
鼎 ……どうして、僕の周りにはこういう人しかいないかな?
佐久弥 え…今何か言った、鼎?
鼎 …なんでもない、それよりももう時間だよ、姉さん
佐久弥 あ、そうみたいね、それじゃあ…
鼎 3、2、1…せーのっ
佐&鼎 佐&鼎;また、二十四話で会いましょう、その時を待ってます!