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第二話:終わって始まる





「世界接続。開始。無限回廊、発動」








 黒をこれでもかと言うくらいに塗りつぶしたかの様な、深い夜。

 そして、そこに煌く無数の漆黒の刃。

 音もなく放たれたそれは、そこにあった大木を刹那の内に切り刻んだ。


 闇の様に黒い瞳に、夜のごとく輝く黒い髪を携えて、一人の少女が剣を肩ごしに担ぎ、今しがた切り刻んだ大木を指差して、言う。





「これが二秒後の貴様の姿だ」






「誰が何だって?」

「ぅひゃあ!? だ、ダイキさん!?」

「……つーか、お前、何やってんの?」


 可愛らしい悲鳴を上げた少女、ユリに、そんな彼女の奇行をこっそり見ていたダイキが声を掛ける。

 ユリは口をもごもごと動かし、恥ずかしそうにしながら、


「い、いや、あの、ちょっと台詞の練習を……」


 と言った。


「お前まだそんな事やってんの!?」

「い、いいじゃないですか! 誰でもカッコいい台詞を言いたいんですよ! それに、『ハッタリ』に使えるじゃないですか!」

「必要ねーよ! そんなハッタリかまさなくても、魔王が死んだ今、お前に簡単に勝てる奴は最早この世にいねーよ! それが必要だったのは、まだ僕たちがレベル100に届いてなかった頃の話だろ!」

「……カッコいい台詞を言いたいんですよ!」

「ハッタリをあっさりと否定しやがったコイツ!」


 ユリの『病気』にこめかみを押さえるダイキ。

 元々、威勢の良い『ハッタリ』は、ダイキとモエが気弱でオドオドしていたユリを少しでも危険から遠ざける為に考案したものだ。

 低レベルの頃から既に所有していた、伝説の剣『ニュクス』と、ハッタリ。それが、かつての彼女の武器だった。

 しかし、そんなものが必要なくなった程に『強い』彼女は、だけど今でも「カッコいい台詞研究」に余念がない。

 なにか突き抜けてしまったユリを見て、ダイキは「育て方、間違ったかなぁ……」と保護者よろしく頭を抱えた。


 そんな少年に、ユリがふと、首を傾げて言う。


「あれ、ダイキさん、何しに来たんですか?」


 直後、ダイキのチョップが、ユリの頭に決まった。

 メゴォッ、と人類が発してはならない音が、深い闇に響く。


「にゃっ! ……い、いっ、たぁーい! な、何をするんですか!」

「何じゃねーよ! 僕はお前を探しに来たんだよ!」

「へ?」

「……お前、モエが『食事の準備をするから枯れ木を集めて来い』って言ったの、覚えてないの?」

「あ」

「……それがお前、ほったらかしにして、遊んでいるとか。あーあ。これは瞬速チョップだわ」

「い、いやいや! 木だったら、ホラ、これが!」

「それお前、今切った大木じゃねーか! どこか枯れ木だよ! 瑞々しさ満天だよ! 火が点けづらいだろーが! モエに刀の摩擦で起こして貰うんだぞ!」

「……くっ、私が火の魔法を使えれば、こんなことには……!」

「そこじゃねーよ! そもそもお前が真面目に枯れ木を集めてなければ何も問題はねーよ! おーい! モエェええええええええええ!」

「……なーにー? ユリは見つかったー? こっちはもう準備できてるけどー」

「ああああ! ごめんなさいごめんなさい!」



 数十秒後、『バッ……シュンッ』、と言う最早人類が理解するには早過ぎる不可解な音が響いた。

 そして頭を抑えながら「ぬわぁー」と呻いている少女と、何とか火を起こそうと刀を振るう少女と、ため息を吐く少年が居たとかなんとか。


 傍から見れば、とてもそうは思えないだろうが、そんな三人は、『魔王』を倒した最強の生物。

 この『世界』の人間の限界レベル、150をあっさりと超えた、最早ただの人外である。







「世界接続。……26パーセント」









「……さぁて、これからどうする?」

「これから、と言うと?」

「決まってんだろ。僕たちの『これから』、だ。魔王倒しちゃったし。次はどうしようか」

「あー、そこですかー。……んむむむむ」

「もう、する事なくなくなったからねー」


 食事を終えた三人は、焚き火を囲いながら(火は気合でモエが点けた)、各々寛いでいたのだが、そこで、ダイキが思い出したのかの様に、二人を見ながら言った。

 それは、彼らの旅路について。

 今まで、彼らは『召喚』された時分からは、とにかく死にたくないと、生きる為に、がむしゃらに旅を続けていた。

 なんせ、何の知識も力もない一般人だった彼らが、他の『並列世界』でも力のインフレーションが激しすぎるこの『キロウ』に召喚されて、そして捨てられたのだ。

 あの時の、自分達を召喚したと言う『姫巫女』と呼ばれていた女性の言葉は、彼らは一生忘れないであろう。


『貴方達には、魔王を倒して…………え、弱っ』



 直後、その国から追い出された。


 何でも、別の世界から呼び出すことは何とか出来るのだが、元に還すのは「今は」色々あって出来ないらしい。



「あー、あのおっぱいが大きいアマの澄まし顔を恥辱に染まらしてやる、と言うのはどうですか?」

「どうですかって、怖ぇーよお前」

「いや、でもそれは割かし賛成よ、アタシ」

「……正直僕も同感」

「よし、じゃあ、次の目標はあの女をあひぃんあひぃん言わせることですね!」

「え、何この子怖い」

「モエ、僕達の教育、やっぱり間違っていたのかな……」






「世界接続。……54パーセント。っ!?」

「姫巫女! どうなされました!」

「い、いえ、少し悪寒が……」




 閑話休題。

 とにかく、それで何の当てもない儘、彼らは歩き続けた。

 暗い夜を。闇を。彷徨い。泣いて。叫んで。喚いて。

 彼らが、そこであっさり死ななかったのは、『魔物』と遭遇する前にユリが偶然にも、あるいは必然にも、手に入れた、神器『ニュクス』のおかげだった。



「つーか、ニュクスがなかったら、もう速攻で終わってたよな、僕ら」

「そーね。最初は『タナトス』を連発だったからね」

「剣を振ったら大概の生物は死にますからね。レベル100以下なら大体あれで終わりです」



 そこで気づく、自分達の異常。

 圧倒的な、レベルの成長スピード。

 魔物の肉を摂取することで、彼らのレベルはグングンと上昇し、無理に『タナトス』を使う必要もなくなった。

 だけれども、彼らは臆病に、慎重に、呼び出した国、『バローグ』から離れる様に旅を続けた。

 元の世界に帰るのは、半ば諦めていた。只管に、生きるため、死なないために、旅を続けた。

 彼らは元の世界に未練がなかった訳では、勿論ない。

 思春期な時分に相応しいくらいには、退屈な日常をなんとなく持て余してはいたが、それだけだ。

 こんな死と隣り合わせの毎日は、御免だった。

 だけど、いや、だからこそ、彼らは逃げる様に旅をした。

 元の世界には帰れない。ならば。



 せめて、強くなろう。この世界で、生き残れるぐらいに――



「その結果が、レベル285です」

「あれ? ユリ、アンタ、レベル283じゃなかった?」

「さっき『視た』ら上がってました。お二人も2ずつ上がってますよ。魔王を倒したからですね。魔王も喰っちゃえば、もっと上がりましたかね?」

「あんなん、喰いたくねーよ」

「そーね」







「世界接続。70パーセント」




 ……結局、生きる為に、形振り構わず戦い続け、そして逃げ続けた彼らは、次第に「強くなった」。

 だけど、それが仇となった。

 モエは、神器『獄星神楽』に選ばれ、ダイキもまた、神器『グロングメッサー』に選ばれた。

 この世界において、『神器』を持つと言うことは、異端である証。

 特に、彼らが所有しているのは、評判極悪のならず者の武器である。


 何でも斬れる刀。

 何でも壊す槌。

 何でも殺す剣。


 彼らの名が広まり、忌み嫌われ、迫害されるのも時間の問題だった。


「……つーか、僕達結構嫌われてるからなぁ。あの国に何事もなく辿り付けられるかな」

「手配書にも載っていますからね。私達」

「アタシ達が何をしたっつー話だけどね」

「それはアレだ。モエが『トリンド』の城をぶった切ったからだ」

「だってアイツらムカツクんだもん」

「いや、ダイキさんがその後に城をぺちゃんこにしたからじゃないですか?」

「だってあいつらムカつくし」



 -―正義の国『トリンド』。それが、彼らの悪名を轟かせる切欠。

 この国を訪れた時、ユリは捕まった。最悪の剣、『ニュクス』を持っていた、それだけの理由で。

 だから、ダイキとモエは、トリンドの城を跡形もなく壊した。

 『大切な仲間を取り返す』それだけの理由で。

 まぁ、その後。



「ってか、一番の理由は、ユリが『トリンド』の兵を全員眠らせたからじゃない?」

「五百人の兵士が今も起きないみたいだからな。すげーよ『ヒュプノス』。すげーよ『ニュクス』」

「だってムカつくんですもん。大丈夫。あと9年ぐらいしたら起きます」



 ――『勇者』と言う聞きなれない『職業』を名乗っている少女は、『総ての夜を統べる剣』ニュクスを完璧に使いこなしている。


 それが、最終的な引き金だった。

 彼ら三人を捕らえれば、100人は一生遊んで暮らせるだけの金は手に入るだろう。

 それだけの賞金首に彼らはなってしまった。


 そして、逃げながら。戦いながら。相変わらず卑怯で慎重に生きていた彼らは、ある日、気づく。





『これ魔王倒せるんじゃない?』


 と。




 結果、倒せた。

 10年間、『キロウ』の魔物を統べて、人間を苦しめていた魔王は、軽い気持ちで挑んできた三人に倒されてしまったのだった。



 特に意味があった訳ではない。

 意味もなく生きたくて。

 意味もなく死にたくなくて。

 なんとなく強くなって。

 なんとなく魔王を倒した。

 彼らにとっては、それだけの話。

 しかし、当たり前だが、『それだけ』の話で済む訳はないのである。




「っ、世界接続っ……82、パーセントッ! くっ、はっ……」

「ひ、姫巫女……」

「ふふふ、『召喚』ではなく、いくら高魔力を持っていた魔王が死んだとはいえ、門を開く『召還』は、少しキツイですね……」

「それ以上は、御体が……!」

「……夜の戦士達よ。私を恨むのなら、恨みなさい。しかし、この『バローグ』を滅ばせさせる訳には行きません。例えっ、私の命と引き換えでもっ!」



 とてもシリアス全開だが、当の『夜の戦士達』のリーダーは、国を滅ぼすつもりは毛頭なく、ただただ姫巫女をあひぃんあひぃん言わせたいだけである。

 しかし自分達に害を成すつもりなら、その瞬間『ヒュプノス』、もしくは『タナトス』だ。



「ま、とりあえず、三人一緒に行こーぜ。僕らはもう家族っつーか、兄妹みたいなもんだしな」

「っ! そ、そーね……」


 腕を頭に回しながら間延びした声で言うダイキに、モエは少し躊躇いがちな声を出した。同時に、不安げな表情をし、俯く。


「……ちょっとモエさん、花を摘みに行きましょう」

「え、え? あ、うん……」

「女子ってそう言うところあるよなー。つーか、トイレぐらい一人で行けよー」

「ダイキさん」

「ん?」

「あなた、鈍感レベル500ですね」

「魔王超えちゃった!? つーか、鈍感レベルってなに!?」


 喚くダイキを背に、ユリは少し消沈しているモエを連れて、その場を離れて行った。







「世界、接続。……95、パー……っセントッ」







「さてさて、モエさん。言わなきゃいけない事があるんじゃないですか? 私ではなく、ダイキさんに」


 ダイキから離れた所に来た二人は、しかし別に用は足さず、モエは木を背にし、ユリはそんなモエを正面からじっと見つめた。


「い、いやー、そ、そーね」


 モエは何とも歯切れが悪い。

 視線も、ユリを捉えず、あちこちを彷徨っている。


「……モエさん? まさか、有耶無耶にする気じゃないですよね?」

「うっ……! だ、だって! ユリも聞いたっしょ!? アイツ、アタシの事ぜってー何も思ってないって!」

「そうと決まった訳じゃないじゃないですよ! 昨日約束したじゃないですか! 『明日魔王に勝ったら、ダイキに好きって言う』って!」


 なんとも不吉な言葉である。

 恐らく『最終決戦前に言ってはいけない言葉ナンバーワン』のその言葉は、だけど確かにモエが昨日言った言葉だった。


「ううう、昨日は、少しアルコール入ってたから……」



 こいつらちょっと魔王嘗め過ぎじゃない?

 と言う疑問はさて置き、ユリは、そんならしくもなくモジモジしているモエを殊更強い目線でじっと見詰めた。



「もうさっさと好きって言っちゃえばいいじゃないですか! ダイキさんだって、きっと!」

「だって、だってだって! アイツ言ってたもん! 『お前、モエって名前の割りに何の萌えもないよな』って!」

「あんの鈍感男……! こんな素敵おっぱいを持ったモエさんに何を言うか……!」

「んっ! ……ちょ、胸っ、もむな!」

「ぅきゅっ!」



 瞬速チョップ。



「あいてて……でも、モエさん、ホントにいいんですか? 真面目な話、ダイキさんもモエさんの事、好きだと思いますけど」


 一人称が僕の癖に、妙に口が悪く、戦士の癖に細身。でもチヨップで岩が砕ける。それがダイキ。

 軽い口調に、気だるげな言葉。いかにも「今時の女子」だが、実は誰よりも世話好き。チョップがマッハ。それがモエ。

 ユリから見れば、そんな二人は結構お似合いで、事実、同性だからと言う理由からか、モエからその想いを聞いていた。あとは、ダイキの気持ちである。

 ちなみに、ユリは二人のチョップを食らっても『痛い』で済んでいる。285は伊達じゃないのだ。


「……好きって思われている自信は、あるよ。だけど、それは、アンタがダイキの事を好きなように。アタシがアンタを、アンタがアタシを、ダイキがアンタを思っている『好き』と同じ好きなんだ」


 男女間の愛ではなく、家族間の愛。

 それが、ダイキの思い。

 少なくとも、モエはそう思っていた。

 彼らは、男女と言う垣根をあるいは超越してしまっていた。

 共に生を望み、死を避け、泣いて、笑って、時には怒って――。

 今更「好きだ」と言うのは、確かに気後れしてしまう。


「ふぅー……」


 そこで、ユリはため息を一つ吐いて、キッと顔を引き締めてモエを見た。

 その瞳は、やはり黒に輝いて、そのどうしようもなく深い色にモエはビクッと体を揺らす。


「いいですか、モエさん」


 ゆっくりと、幼子に聞かせる様な声色で、ユリは言う。


「昔、私が大好きで大好きで大好きな人に言われた言葉です。『一秒後に死んでも、後悔しない様に生きろ』」

「っ! それ、は……!」

「でも、私が大好きなその人は、その一秒後の事を見ようとせず、なぁなぁで生きています。伝えられる思いを、伝えずに」

「……」

「どう思いますか? この『キロウ』で、後手はもう完全にアウトです。常に前を見て、進まないと。……その後の言葉を、あなたに向けて言います」



 すっと、息を吸う。



「自分に嘘はつくなっ! 佐倉萌!」



 静寂。







 そして。







 チョップ。



「うきゃん!」

「生意気……昔はあれだけ泣き虫だったのに……」

「私、結構言い事言ったのにぃ……」



 涙目で頭を押さえるユリに、モエは近づき、そして抱きしめた。


「ありがと……」

「ふぇ?」

「思い出した。そうだ。この『世界』は一瞬で人が死ぬ。はは、強くなって鈍ったかな。アタシの言葉なのに」

「じゃあ!」

「言う。言うよ。好きだって。愛しているって。ダイキに言う」


 そう言ったモエの顔は、先ほどまでに不安げなものではなく、覚悟を決めた「女」の表情だった。




「やべぇ……モエさんやべぇよ……おっぱい背中に当たってるよ……私の嫁にしたいよ……こんないい女振ったら、ニュクスが火を噴きかねないよ……」




 そう言ったユリの顔は、先ほどまでの凛々しいものではなく、だらしない「ゲス」の表情だった。







「随分と長かったな。それに、嫌にチョップの音が響いたんだけど」

「ユリがアタシのおっぱい揉んだから」

「あいつ、その『病気』も治ってないのか……」


 別に嘘は言っていない。


「ところで、ダイキ。……話があるんだけど」

「……なに?」



 そこで、モエはゆっくりと息を吸う。

 おかしな前書きは必要ない。

 そう、自分は剣士。自身が出来る最高の一太刀を浴びせられば、それでいい。




 この、最愛の人に。

 鈍くて、デリカシーもない、だけど大好きな、この人に。




 ふと、視線を感じて、横を見る。

 そこには、目を輝かしたモエのサムズアップ。



(今さら、親指とか、古すぎでしょ……)


 だが心中では、『勇気』が溢れていた。

 泣き虫で。臆病で。弱気で。

 でも、絶対に諦めなかった彼女の『勇気』が伝染したかの様に。




「アタシ……」




 今なら、言える。




「ダイキのことが……」















「好き!」

「へ?」








「世界接続、100パーセント! 無限回廊よ! 彼の人達を、あるべき場所、あるべき時間に、還しなさい!」






 光。

 後。

 暗転。





 そして。









 ――地球。深夜2時。





「凄い良いとこだったんだけどなぁ……ホント、一秒後には何が起きるか分かんないね、あそこ」




 暗闇で、一人ごちる少女。

 本棚。机。ベッド。

 それなりに簡素な部屋は、とある少女の部屋。



「こんなの出来るのって、多分、あの人だけだよね、ニュクス」



 ベッドの上で、黒い剣がカタカタ揺れる。



「ふんふん。『まおうが』、『しんで』、『かえす』、『もんが』、『ひらいた』、『と』、『おもう』……良く分からないけど、魔王が死んだから元に戻れたって事でいいよね?」


 カタカタ。


「『だいたい』、『あってる』、か。……ふふふ、そんなことが出来るのなら、早く言ってくれればいいのに。ニュクスは知らなかったの?」



 カタカタ。



「『いま』、『わかった』、ふふ。……そうかぁ。それならしょうがないよねー。悪いのはー……」


 ベッドの上には少女が一人。

 可愛らしいベッドの上で、相応しくない妙に薄汚れた服を纏った少女は――






「あの糞アマァ! 今度会ったら、そのおっぱいを無茶苦茶にして私の肉奴隷にしてやるぅうううう!」






 と、叫んだ。

 そんな肉奴隷とか言っちゃている彼女は湯久世 由里。

 『この世界』で引き篭もりをやっていた、今やレベル285の中学生である。



 これは、そんな少女がグダグダ頑張る、ファンタジーの残り滓の様な物語。





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