自由と夢の国
アメリカ ペンシルベニア州。
この州で最も大きい大都市、フィラデルフィア。
8歳の少女マーガレットは製菓業を営む父ジョンと、ガーデニング好きな母アンに愛されて、幸せな毎日を送っていた。
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「ね、パパ。私の妹が生まれるのはいつなの?」
今年の春、具合が悪いといって病院にいったママは笑顔で家に帰ってきた。
『マーガレット、あなたはお姉さんになるのよ』と、言われてマーガレットは大はしゃぎで近所の友達に妹ができるの!と言い回った。
「そう、急ぐな。マーガレット。」
「だって…。」
「お医者さんは今日が予定日だと言っていたよ。」
「…名前は?私が決めても良い?…実はずっと前から考えてたの。」
「どんな名前なんだい?」
「ローズ。っていうのはどう?」
「マーガレットはセンスがいいな。可愛らしい名前だね。」
「ジョン!病院から電話ですよ!」
受話器を片手におばあちゃんがリビングに駆け込んできた。パパは受話器をおばあちゃんから受け取って何か話していたけど、すぐに私に駆け寄ってきた。
「生まれたそうだよ。マーガレット、すぐに病院に行から、部屋に戻って準備をしておいで。」
地球にローズと名付けられた小さな女の子が誕生した。
もう一つの世界にも、もう一人のローズが誕生した。