白銀の雪降る北の大地
続けて投稿です(``//)
北海道 札幌市。
北の大地のよく日が当たるオフィスの13階、一人の眼鏡をかけた男の人がデスクにおかれた電話を食い入るように見ている。さっきから、腕時計と電話しか視界に入っていない。そばで30代らしき女の人が何かを話しているが、その声は彼の耳には届いていないようである。
「…まだか。」
「…あの、私の話 聞いてました?」
「あ、あぁ…何の話だったかな?」
「私…出直してきましょうか?やっぱり、今日は早引きされて奥様の元へ行ってあげた方が…よろしいのでは?病院までは、15分くらいですよ。」
眼鏡の人は少し俯いて黙って考えるようにしていたが、心の整理がついたらしく顔を上げた。
「…今日だけ、わがままを言わせてもらう。残りの仕事は、自宅のパソコンに送っておいてくれ。」
「早く行ってあげた方が良いですよ!」
女の人が笑顔そう言ったときは、もうすでにその姿はなかった。
——それから数時間後。
雪が降る白い大地で、一人の女の子が産声をあげた。
…眼鏡の父親と、優しく微笑む母親のもとに。
日本人の黒い髪、雪国の白い肌の女の子は 小雪 と名づけられた。
遠くはなれた、もう一つの世界。
黒い髪、白い肌の…もうひとりの小雪が生まれた。
…眼鏡の父親と優しく微笑む母親のもとに。