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神様は結構適当らしい。  作者: 月森 薫
第1章 神様の日々の始まり
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第5話 かみさまのおもかげ

※2010.10.30.修正済

「……ここ?」

『そうだ。ここが俺の私室。……そんな身構えなくても、ヘンなことなんてしねーよ』

 実は月森 琉藍、弟以外の男の人の部屋に入るのは初めてだったりする。ので、妙に身構えてしまったところ苦笑された。

恐る恐る部屋に入ると、案外中は片付いており、意外なことに質素な部屋だった。コイツの人格――いや寧ろ神格か?――からして、もう少し派手かと思ってたんだけど。部屋の中には、普通にベッド、机、イス、本棚、ソファーなどなど、ありきたりなものばかりで、何か無駄に広すぎるスペースをもてあますかのような感覚を、あたしは覚えた。

『じゃまあ、そこのベッドでもソファーでも、好きなとこ座ってくれ』

 立ったままだったあたしは、とりあえず手近なところにあったソファーを選んだ。フルエルトは机の前のイスに座り、あたしに話し始めた。

『んー……まずは何から話すか……。

 ……本命の大神から話したほうが、いいか』

 話すこと考えてなかったんかい。思わず心の中で突っ込む。

『大神の仕事からか。大神の仕事は、主に三柱神への指示と、全世界・三柱神の監視だな。

 三柱神への指示っつーのは、大体が「お前の世界がこうこうしすぎてパワーバランスが崩れてるから、もう少し慎め」とか「お前の世界はこれをやらなすぎだ、こっちにも手を回せ」とかいうもんだな。三柱神がそれぞれ司る世界は、パワーバランスが保たれているからこそ存在できる。それが崩れないように、唯一全ての世界を把握できる大神が指示を出すんだ。

 三柱神や世界の監視は、後者は世界のパワーバランスの監視。前者は、三柱神の裏切りを防ぐためだな。長い歴史の中、三柱神の一人が裏切りを起こしてあわや大惨事なんてことは結構あった。そこで大神が全体の監視をしてそういうことを防ぐようになったんだ。

 ……それと、天使や三柱神じゃ手に負えなくなった霊魂を鎮める役目も持つ』

「はい! 質問!」

『ハイどーぞ』

 勢いよく挙手したあたしは、当然とも言える質問を口に出した。

「霊魂ってなーに」

『……、まぁ、そうだよなぁ』

 当たり前だ。つい先ほどまで一応一般人だったあたしが霊魂なんて知るわけがない。

『霊魂っつーのは、つまりは怨霊のことだ。いや、他にも種類はいるっちゃいるんだが、ややこしいから今は言わないでおこう。

 死んだ人間の魂がその世界に残り、現世に生きる人間に様々な影響をきたす存在、それが霊魂。

霊魂は時々タチの悪いのに成り果てる。そうなるとしばらく輪廻の輪の中には戻せねーから、天使やらが出張って霊魂を捕縛、ガフの部屋へと戻して時間をかけて浄化する。こうすることで怨霊となった霊魂も輪廻の輪の中に戻されて循環を始める。

 輪廻っつーのは、人が生まれて死ぬという一連の流れのことだ。ガフの部屋は、人々の魂が集まり、新しい肉体に宿るのを待つ場所だ。輪廻からは外れた場所にある。

 ……まぁ、ガフの部屋とかいうのは専門用語だからな、今は分からなくても問題ねぇだろ』

 あたしが口を挟むことが分かっていたらしい、質問する前に言われた。っつーか、9割がた理解できてねーけど。

 抱えていた刀の鍔が、ちゃっと鳴った。

「で、大神になるにはどーすんの」

『三柱神それぞれから力を解放してもらい、最後に"ティタノマキアの泉"にてオリュンポス神に大神として認めてもらう。こうすることで、大神になれる』

「ティタノマキア……オリュンポスの神々とティーターンの神々の戦争か」

 ボソッと呟いたのを耳ざとく聞いたフルエルトが言う。

『その通り。……っつーか、神話も知ってんだ……』

「もち。神話もスキだから、ってそんなんはどーでもいい。神様って四人だけじゃなかったの?」

『ああ。


 神はかつて、二十四人いた』

ギリシャ神話を参考にしました。

ティタノマキアは、ティーターノマキアー(ティーターンの戦争)のことです。アテナ率いる第三世代のオリュンポス神と、クロノス率いる第二世代のティーターン神の戦いです。

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