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神様は結構適当らしい。  作者: 月森 薫
第1章 神様の日々の始まり
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第4話 てんやわんやの天界

 神殿だけじゃない、ここからじゃよく見えないけど、奥には別の建物がある!

神殿は乳白色をしており、頭上に浮かぶ太陽の光を受けて淡く輝いていた。

それも、あたしの目を焼くような強烈な光じゃない。来る者全てを優しく包み込むかのような、暖かな光だった。

「ここが・・・・・・?」

『そう、天界アースガルドだ』

 よくよく見ると神殿の背後には青屋根の別の建物が見えたが、流石に見えなかった。

『この神殿は大神任命や三柱神任命の際に使われる儀式用の神殿だ。まあつまり、見栄えだけが良くて用途はそれほどでもないから、ハリボテみてーなもんだな。

 この奥にあるのは、俺たちが住む宮殿だ。ほら、あの青屋根の建物。人間でも視力がよければ見えるはずなんだが・・・・・・。見えるか?』

 神殿の威圧感に押され、無言で頷く。

その神殿は、雲の上に在るにも拘らず、その場に場違いなほど似合っていた。

矛盾に感じるだろうが、実際その通りなのだ。常識的には在ってはいけないはずなのに、あたかも昔ッからあったかのように依然として佇む神殿。

『じゃ、とりあえず宮殿にいくか。そっちの方が話しやすいし』

 と、ここまで豪奢な神殿を"ハリボテ"よばわりした神様はあたしを抱き上げたまま宮殿へと向かって歩き始めた。

「・・・・・・て、アレ。降ろしてくれないの?」

『今ここでお前を降ろしたらミサイル級の勢いで地面へ追突、する前に摩擦熱で存在が抹消するけどいいのか?』

「・・・・・・」

 そんなのイヤだ。そんな思いを込めて、あたしはフルエルトの首に回した腕に力を少しだけ込めた。

少しすると、宮殿へと入った。いや、入ったのはいいんだけど。

『フルエルト様が人間の女をお姫様抱っこして連れて帰って来たぞー!』『側女にでもされるおつもりですか?』『いやでも天使じゃねーんだから、ムリじゃね』『よねぇ。なら、新しい大神候補かしら?』『嘘付け。もう既に大神候補は規定の3人いるんだぜ、4人目かよ』『いやでも、友人から聞いた話、フルエルト様がスクイア様とソクラテス様にゴリ押しして新しい大神候補を異例に創り上げた、なんてのもあるぜ』『えー、でもそこまでする意味ある?』『無駄に争い増やすだけだよなー、ウチの主神は一体何考えてんだか』『よねよねー』『だよなー』『ですよねー』

 ・・・・・・と、なんだかんだと好き勝手言われておりました。周りの天使達に。しかも、側女?

 このあたしを下働きの女どもと一緒にすると? ふざっけんじゃねーよ! てめーらあたしにブッた斬られてぇのか、ああん!?

後半の会話は黙殺。殺意を振り撒いて刀の柄に手をかけたあたしをとどめるために、フルエルトが必死に『ちょ、琉藍さん怖い怖いですって怖いからヤメテ刀抜こうとするの! っつーかてめーらも仕事しろ仕事ォ! ここ最近溜まる一方だろが! 野次馬やってる暇あったらキチンと仕事しろやコラあああああ!!』と周りを追っ払う。周囲の天使達は捨てゼリフ『一番仕事溜めてるのはフルエルト様、あなたですけどねー!』を残しつつ全力疾走で逃げていった。

『すまねーな、人間界の人間がここに入るのは場所柄珍しいから、天使共も良い具合に好奇心を刺激されてるらしい』

 うんざり顔でフルエルト。次いで、優しく床に降ろされた。少し名残惜しく感じるのは、何故だろう?

『ついて来い。俺の私室に案内してやる、そこで話をしよう。そこなら邪魔は入らねぇ』

 翼を背中にしまったフルエルトは、そういって歩き始めた。

あたしはその背中を、しばし呆然と眺めた後、慌てて追いかけたのだった。

意外と人気があるらしいフルエルトさま。

さて、名前だけ出てきたこの『スクイア』と『ソクラテス』。

一体何者でしょうか?

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