第2話 鼓動と胎動、刻む
『・・・・・・分からないか? まぁ、そうだろーな。よし、じゃ、コイツらを元の姿に戻してやろう』
とフルエルトが言った数秒後。
「・・・・・・戻すんじゃねーの?」
拍子抜け感が否めない状況を思わず突っ込む。
『いや、戻せん』
「じゃあなんだったの今のフリは!?」
『いやー、色々と法則があってなー。
この人界は天界と違って、天使が天使としての姿を維持するための魔法素が圧倒的に足りねーんだ。だから、こっちにくるときは常に人間や動物の姿をしてる。そんなだから、今の状態で強引に変化魔術を解いちまったら、天使の存在自体が消えちまう』
魔法素だかなんだか知らないが、ようは今は元に戻せないということだろう。簡単に言え簡単に。
はぁ、と溜息をついたところで、ふとある事実に思い当たった。
「・・・・・・あれ? じゃあなんであんたは透けてんの?」
『ああ、俺は特別』
神様だからか。なんとなく、納得。
そこで数秒の間を空け、再びフルエルトが口を開いた。
『とりあえず、天界に来て、体験してからでいいんじゃないのか? まだ決断しろとはいわねぇ。俺が案内するから、ゆっくり決めろ』
それは、フルエルトなりの譲歩だったんだと思う。正直、そんなことされたこともないあたしは嬉しかった。だから、
「・・・・・・、分かった」
頷いた。
承諾した後、フルエルトはあたしに手を差し伸べた。
「・・・・・・?」
『何だコレ、みたいなカオすんな。お前に翼はねぇからな、俺が抱えて飛ぶしかねぇだろ、心配すんな、人一人くらい、簡単に運べる』
当然のように言われた言葉は、あたしには今まで言われたことのない言葉で。手を差し伸べられることすら、あたしには初めてで。その時、何かが変わった気がして。おずおずと刀を握った方とは逆の手を差し出すと、ぐいっと掴まれて、フルエルトは、にっと笑った。
『ほら、行くぜ。しっかり掴まってろ!』
胸の奥で、確かに何かが生まれて、鼓動を刻み始めた気がした。
琉藍ちゃんにびんみょーな変化が!←
この子は結構不遇というか孤独な子です、そこらへんが後々いい具合にきいてく・・・(ry