第9話 交叉する刃と
戦闘第2話目。今度はサクト戦!
「次は俺様だ!」
と、ルクエに変わって堂々あたしの前に出てきたのは、いつのまに手にしたのだろうか大きな大剣を持ったサクト。
「ん、いいよー。どーせ、ぶっ倒すだけだし」
それぞれ大剣と月閃を構える。
大剣・・・・・・か。一撃一撃の破壊力は高いだろうな、たぶん。これでも力の強いほうとはいえ、まともにぶつかりあったら押し負けるかー。
あーあ、ほんっと厄介なもん来ちゃったなー、コレ。ラスボス控えてっからここで刃毀れなんてしたら洒落にならんし・・・・・・。
落胆、というより「参ったなぁ」という感情交じりの分析を終えたところで、「ダンッ」と噴射のチカラもあわせて駆け出すと、一瞬後にイヤな手ごたえがあたしの手に帰って来た。
「ッつ・・・・・・」
びりびりとあたしの手が震える。思わず跳躍して距離をとる。サクトが追ってこなかったのが幸いだった。
顔を顰めつつちらり、と月閃を見やり・・・・・・あたしは「げっ」と呻いた。
今まで一度も刃毀れなんてしなかった月閃が、ものの見事に刃毀れしていた。
「・・・・・・硬すぎでしょ、その大剣」
うぅ、と渋い顔をしつつ、あたしはサクトの大剣をくいと顎で示す。
「へへっ。そりゃ、ウチの宝剣だからな。重量と硬質さには折り紙つきだ」
「やっぱり一番苦手な相性かも、これ・・・・・・」
はぁ、と溜息をつくと、渋々刀を構える。
なるだけ刃を合わせて刃毀れしないようにして、リーチの隙を狙い、身体に直接ダメージを叩き込むか。
うん、それしかない、と苦渋の決断をしたところで、サクトが大剣を構えて言い放った。
「俺様の刃の重さはそれ即ち決意の重さだ! そう簡単に受け止められるとは、思うなよっ!!」
こちらに向かって駈けて来た―――メチャクチャ重い大剣持ってるくせに、そのスピードは並大抵のものじゃなかった――――サクトを、鍔の根元をあわせるようにしていなす。そしてたたらを踏んでガラ空きになった背中に峰打ちを叩き込む、がサクトは振り返る勢いを使って更に大剣を振ってきた。一度宙へ逃れ、サクトの頭上で月閃奔流を放ち目くらましにする。
「(一気にキメさせてもらう――――ッッ!!)」
少し離れた所に着地し、素早くサクトへ向かって空振りの斬撃――――とみせかけて月閃奔流を何本も放つ。
何度も空を切る月閃、軌道からは光が。その全ての光はサクトにぶつかったが、サクトはその大剣を盾にして防いだ。
「ッつつっ」
ザざざザざザザっッ
「・・・・・・ッ、!!」
サクトがこちらを見たときには、あたしは既に移動していた。
「・・・・・・勝負あり。あたしの勝ちだよ」
サクトの頬横に刃毀れした刀の切っ先をつきつけたあたしは、不敵に笑んで、そう言った。
しばらく呆然としていたサクトだったが、次に口を開くときは、ふっと笑って、
「・・・・・・俺様の負けだ、琉藍」
サクト戦、勝利。