生き物好きな少年
ちょうど光が消えかかる夕方の時間に、一人の少年が自転車を漕ぎながらある場所に向かう
「今日もみんな元気かな〜」
少年の名前は『ミコト』
ごく普通の生き物好きな少年だ
ミコトは毎日決まった場所にある場所に向かう。そのある場所とは…
「到着っ!」
ミコトは自転車を降りると少し歩いて止まると上を見上げる。そこにはたくさんの動物が歌っている姿がそれぞれ形取られた看板があり、その下には『千葉県平和動物園』と書かれた看板があった。
ミコトは動物が大好きなため、毎日のようにここへ通っているのだ。
…しかし今の時刻は午後5時半。ここの閉園時間は4時半なのでミコトは間に合わなかった…
…というわけではないようだ
「さてと、いこう!」
ミコトはバッグから鍵を取り出すと、閉まった動物園のドアを開けてそのまま中へ入るのだった…
「タケル達は元気かな〜」
ミコトの目の前には『ライオン学園』と書かれた看板がある。ここはアフリカの生き物達が集まるエリアであり、特にライオンはこの動物園でもかなりの人気者だ。
「ふーんふーんふふーんっ♪」
鼻歌を歌いながらミコトは別の鍵を取り出し、展示場の隣にある獣舎に入っていく。
中へ入って歩いていくと中にはそれぞれ3つの檻に一匹ずつオスライオンがいる。
オスライオン達はミコトに気がつくと、じっとミコトを見る。
すると…
「はいはい。今行くよー!」
なんとミコトはそのままライオンがいる檻のドアを開け、中に入っていく!
ライオンはミコトが檻に入ったのを確認すると、そのままダッシュでミコトの方へ走ってくる。普通の人が見たら、間違いなくあぶない!と叫び、逃げ出すだろう。
ングアッ!
ライオンをミコトの方へ飛び込むと、ミコトは押し倒された状態になる。間違いなく他の人ならそのまま首を噛みちぎられ、喰われるだろう。しかし、ミコトは違うようだ
ッガオッ♪
ペロッ「あははっ。くすぐったいよ〜」
なんとミコトは襲われることはなく、むしろライオンは甘えていた。ライオンはミコトの上に乗っかると、そのままミコトの顔を舐める。ミコトはライオンのザラザラした舌に舐められても、全く痛そうにせず、むしろ喜んでいるようだ
「もータケルったら!こしょこしょをくらえ〜!」
ミコトも負けじと、ライオンにこしょこしょを仕掛ける。するとライオンはくすぐったいのか、少しゴロゴロと転げ回った。すると両隣の檻にそれぞれいるライオン達も、「僕とも遊んでよ」と言わんばかりにじっとミコトを見つめる。
「あっ!ごめんね!すぐにそっちに行くよ!」
ライオン達の視線にすぐ気づいたミコトは、両隣にいるライオンとも遊んだ後、ライオン達を後にするのだった…
次に行くのはシマウマ、ヤマアラシ、チーターにハイエナといったアフリカの生き物達が集まるエリア。このエリアは最近できたばかりだが…
「よしよーし!セレスは本当に甘えん坊だね!」
ミコトはすぐに動物達と打ち解けていた。証拠に今ミコトに甘噛みをしているのはブチハイエナという動物なのだが、なんとこのブチハイエナという動物は、骨を噛み砕くことができるほど強力な顎を持つ動物だ。そんなハイエナが、ミコトを怪我させないと優しく行動している。それほどまでにこのハイエナは、ミコトに懐いてるんだと言えるだろう。
次にやってきたのは世界中の小動物が集まるエリア。ビーバーにカワウソにハナグマといった動物達に会いに行ったミコトが最後に向かうのは、たくさんのレッサーパンダ達が暮らす飼育場。その中でもまずは真ん中にある飼育場にミコトは入っていく。
「もうすっかりおじいちゃんだね」
ミコトはそう言いながらフカフカの毛布で寝ているレッサーパンダを撫でる。このレッサーパンダの年は今22歳であり、人間で表すなら100歳を超えるほど長寿なのだ。
「僕が生まれる前からここにいて…この動物園にすごい貢献してくれて…本当、ありがとう」
そう言うとミコトは、他のレッサーパンダとも遊び、そのまま次の場所へ向かうのだった。
次は少し変わって屋内展示場のエリアに向かっていく。ここは少し前に大きなリニューアルをしており、ミコトも大好きなエリアの一つである。
「やっぱり、ここもいい所だなぁ。昔の厳かな雰囲気も好きだけど、今の森を押し出してる感じも大好きだなぁ」
そう言いながらミコトは早速動物達に会いにいく。まずはジャングルを再現したエリアに行き、そこにはナマケモノやたくさんの鳥がいた。動物たちがミコトに気がつくと、オニオオハシやアカミミコンゴウインコといった鳥達がミコトの頭や肩に乗る。ミコトは鳥達を乗せながら、ナマケモノがいる木へと自ら向かっていく。
「抱っこかな?おいで」
ナマケモノはミコトのお腹に抱きつき、ミコトはそのまま座る。周りにはたくさんの植物があり、ドーム型の展示場なため、日もたくさん浴びれるのだ。
ひとしきりゆっくりしたミコトは、そのまま寝落ちしないよう、コウモリやキンカジュー、アルマジロにマーモセットといった先のエリアにいる動物達とも遊んだのだった。
次に訪れたのは猿たちが暮らすエリア。まずはゴリラが暮らしているエリアに向かい、一室にいるゴリラと遊んだ後、ミコトは誰もいない展示場に入り、トマトを置いていく。
「ゆっくり休んでね」
そういうとミコトは、そのまま展示場を去っていくのだった
「やっほーサンダ!元気かなぁー?」
次にチンパンジーの展示場に入っていく。そこにはサンダという名前のチンパンジーがおり、ミコトに気がつくとノリノリで走ってくる。
キャッキャッキャ!!
サンダはこの動物園の中でもノリノリなチンパンジーで、たくさんの来園者に愛されているチンパンジーなのだ。その後もミコトは、マンドリルやキツネザル、テナガザルにボンドザルなどたくさんの猿と遊んだのだった。
次に来たのは草原のエリア。ここは動物園の人気者であるゾウやキリン、カンガルーなどがおり、いつも多くの人で賑わっている場所だ。その中でもミコト一番のお気に入りは…
「相変わらず可愛いなぁー♡ミーアキャットは♡あのお尻。たまんないよぉー♡」
ミーアキャットはミコト一推しの動物だ。特にミコト曰く、あの大きなお尻がキュートなポイントらしい。しかしさすがはミコト。ミーアキャットばかりに時間をかけず、ちゃんとほかの動物の所にも向かっていった。そしていよいよ最後のエリアになる。
最後のエリアは鳥類エリア。ここにはハシビロコウやペンギン。エミューなどたくさんの鳥たちが暮らしている。そしてミコトはここの動物達とも遊び、最後の展示場に向かう。
最後の展示場はこのエリアの中で、特段大きな展示場だった
「ピースは今日もおとなしいね」
その展示場はピースと呼ばれている一羽の白鳩がいた。展示場はとても豪華な仕上がりになっており、とても一羽の鳩に使われているものではない
「ピース、今日も元気?」
ミコトは鳩のピースに話しかける。だが、まるでミコトが来ているのを知っているかのように、ピースはミコトの方へ飛んでいった。そして……
ッバサバサ!!!!
「うわっ!びっくりしたぁ」
突然羽ばたいたかと思うと、そのままミコトの肩に止まった。そして……
「キュルルル」
と鳴いたのだった
「あははっ!くすぐったいよ〜」
ミコトはピースの羽毛に顔を押し当て、そのままピースを優しく撫でる。そしてピースを後にし、ミコトは近くのスタッフルームに入って行った
「やぁミコトくん。今日もお疲れ様」
スタッフルームには、一人の男性がいた。どうやらミコトを待っていたようだ
「あっ!園長さん!」
男性はこの動物園の園長であり、ミコトが閉園後に動物園にいられるのは、彼のおかげなのだ。
「本当にありがとうございます。僕のために、動物達と遊べる機会をくれて…」
「いいんだよ。あの子達もミコトくんが大好きなんだから」
ミコトはこの動物園全ての動物に懐かれている。そのため来園者がいる時にミコトが動物園に来てしまったら動物達はミコトばかりに集まるようになり、来園者が楽しめなくなってしまう。だからミコトは来園者が帰った後にここへ訪れるのだ。
「それに、ミコトくんにはピースの恩があるからね」
「ピースですか?」
「そうさ。君が駐車場で保護してくれたあの鳩が、まさか新種の鳩だったなんてなぁ」
「君とピースのおかげでものすごい数の来園者が増えて、それによって元いた動物の展示場の改良に、貴重な動物がたくさん受け入れられたり…本当、感謝してもしきれないよ」
園長はミコトに改めて、感謝の意を述べる。だが、ミコトは首を横に振ると、こう言った
「そんなことないですよ。僕はただ、ピースが危ないって感じたから助けただけなんです!」
「……そうかい?」
「それに嬉しいんです。僕の人生の一部と言っても良いここの助けになれたことに」
ミコトの主張を聞いた園長は、思わず笑顔になる
「そうか……なら良かった。さて!そろそろ君の両親が帰りを待ってる頃だろう。そろそろ帰ったほうがいいんじゃないかな?」
「はい!ありがとうございます!」
ミコトは園長に頭を下げると、スタッフルームを出て、自宅へと向かった……
「…本当に、あの子は不思議な子だ」
園長は、ミコトが出て行った扉を見つめながら、そう呟いた。




