世界の設計図
「なんだこれ」
ある日小学校から帰ったら、机の上に知らないノートが置いてあった。中身は難しい内容が書いてあって、よく分からない。
「万有引力?相対性理論??聞いたことあるけどよくわからないや。」
ページをペラペラめくって最初のページを見ると、「目次」と書いてある。それによると、この本は世界のルールを決める本らしい。世界のすべてが書いた本人以外には当然のこととして扱われるという。このノートによると、世界のすべての法則をこのノートで決めたのだという。
「うーん。じゃあ試しにクラスの美穂ちゃんと付き合ってることにしよう。」
ノートの新しいページに「僕と小豆美穂が付き合っている」と書いてみた。
他にも何か物語がないと不自然だよな、と思いながら、「僕はクラスでモテモテで、小豆さんから電話で告白されて、今日は付き合って2日目になる」とか、「僕は宝くじで一等当たって百万円もらった」とかいろいろ書いてみた。
とりあえず、今日は寝て明日の小学校に備えよう。ベッドに入ろうとしたら、急に電話が鳴った。
「もしもし?」
「君、今ちょっといい?」
「えーっと、誰?」
「彼女に対してそれはひどくない・・・?」
「あー美穂ちゃんか。小学校より声が大人っぽくない?」
そう声に出しつつも、このノートが本物だと気づいた。
「え?私、大学生だよ・・・?」
そうか・・・同姓同名の人が電話かけてきたのかな。
ノートに「小豆美穂の住所」と書いてみた。
「あれ??なんで私電話してるんだろ・・・?」
そんな声が聞こえた瞬間、声が切り替わった。
「それでねーって、話聞いてる??」
「ごめんごめん。何だっけ?」
「私さー、最近胸が大きくなってきて、君って胸が大きい子って好き?」
「好きだよ。どんな美穂ちゃんでも、俺は好きだよ。」
「そうなんだ。えへへ。うれしいな。ありがとう。」
こんなくだらなくて幸せな時間を過ごしていた。
「もう、朝か・・・」
「話しすぎたね。」
「そうだね。今日の授業も隣の席だから、楽しみだよ。」
「また授業でね。」
そうやって電話を切って、僕は小学校の準備をして朝ご飯を食べた。すると、インターホンが鳴った。母が対応してるところをチラッと見ると、美穂が映っていた。
そういえば、一緒に登校する約束だったと書いたな。何もかもが思い通りに行くなんて、素晴らしいものを手に入れた。
「あんた、美穂ちゃん今日も迎えに来たわよ。」
「分かった、今行く。」
制服を素早く着換え、家を出た。
「ごめん。待たせちゃったね。」
「ううん。平気だよ。」
「それじゃあ、行こうか。」
何気ない話をしながらの登校が本当に楽しかった。学校でいじめられてはいなかったけど、浮いていたからそれが一変し、クラスの人気者になれたんだ。今日は調子を上げていこう。周りから声をかけられるのがこんなにうれしかったんだ。友達がこんなにいたんだ。なんだか素晴らしい気分だ。そんなこんなで楽しい時間が過ぎて、理科の授業が始まった。先生が板書をするが、昨日の長電話のせいでうとうとしながらノートをとる。
「ってことで月の重力は地球の・・・」ごにょごにょ言ってるように聞こえて、聞き取れなかったがメモをした。
するとゴゴゴゴゴという地響きが鳴った。
「なんだ??!」
教室で一人だけ声を上げてしまった。
「おーい、授業中だぞ。」
地響きがしているのに、周りは異変に気付かない。いや、当たり前のように受け入れてるのか!そう気づいた瞬間、ノートを見返した。
「物体の重力の大きさを重さといい、その量を重力といい、月は地球の6倍の重力がある」と書いてある。
何かが、おかしい・・・なんだ・・・分からない・・・
そうか、月の重力は地球の1/6だ!!大きく「1/」と書き足した。これで一見落着・・・だよな・・・
もうノートを使うのはこりごりだよ・・・
しかし、彼は知らない。正確には16568777403/100000000000だということに。1/6と0.00097889263分との差が月に変化を起こしていることに・・・




