4 少年の決意
マリエールに分身体を貰った。マリエールはもうこの世界には戻らない。
4 少年の決意
マリエールがAIなことは始めから知っていた。いくら美しくても恋愛の対象にはならない。しかし智樹はマリエールに好意を持った。姉はマリエールに感心を失ったようだ。また生活のリズムが離れマリエールと2人の時間が増えた。マリエールも自分を飾らなくなった。一人で頑張ることがなくなった。下級AI呼んだ。彼らが家事をする事多くなった。俺の食事に付き合うこともなくなったし姉に付き合って食事を食べることもなくなった。家にいないことが多くなった。俺が帰ってもマリエールがいないことが多い。何時も携帯電話で話している。マリエールがこの家を離れる日は近い。
俺が家に帰ると丁度マリエールが電話を終えたところだ。また携帯を触り出したので、俺はマリエールに声かけた。
「マリエール、俺は最近きみと話してない気がする。」
マリエールはにっこり笑ってそんなことないよ。と言った。
「きみは忙しくなった。警察の協力員としての仕事は大変そうだ。でもきみには俺の家族で居て欲しい。」
マリエールは俺の腕を擦った。
「当たり前よ。あなたは私がこの世界に来て始めて会った人。私を受け入れてくれた人よ。あなた以外の家族はいないわ。」
少し安心した。
「いつまでここに居てくれ。きみと一緒に居ることが俺の願いなんだ。」
マリエールの顔が曇った。
「今警察と計画しているのが私の持つタイムトラベルの能力と異世界転移の能力で彼女と私が、過去の異世界に転移するというものなの。幸い今彼女は動きを止めているわ。でも動き出すのは時間の問題よ。私この計画のために生み出されたの。使命だもの、果たさない選択はないわ。」
マリエールは強い口調で言った。俺はくいさがった。
「なら俺も行く。」
馬鹿なことを言っていることは判ってる。最低の男だろう。マリエールは俺のほうを擦った。そしてポケットから箱を取り出した。
「私の分身体よ。あなたと出会った頃までの記憶しか入ってないわ。自律型AIという以外秀でた能力はないし髪や目は黒。造形や記憶は私、私が居なくなって蓋を開けると作動する。私を思ってくれるならこの分身体をあなたにあげる。」
俺は分身体を受け取った。長い沈黙の後俺は言った。
「ありがとう。大事にするよ。」
マリエールは最高の笑顔で応えた。
「お願いね。」
それが我々の最後の会話になった。その後シルビアに動きがありマリエールは飛び出して行った。
警察から連絡があり。マリエールは過去の異世界に転移したそうだ。俺は分身体の箱を開けた。黒目黒髪のマリエールが現れた。マリエールはギョロギョロ周り見ながら最後に俺を見て、
「智樹」
と呼んだ。分身体との生活は不思議なものだ。元マリエールのような能力はない。バイトもしないので食費はこちら持ちだ。無論マリエールは食事をしないので当然だが。自律ユニットだからだろうか
あまり感情の起伏がない。マリエールと同じ顔して居てもマリエールとは違う存在だ。マリエールと同じ反応を期待するのが間違いだ。
マリエールは過去の異世界に向かった。