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LIGHTNING EDGE-神々に挑む剣 -  作者: 金属パーツ
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4話シーン11「脱獄」

そこはあらゆる物が静止していた。

不気味な仕掛けの機械も、それを掛けていた壁も天井もなく、

ただ地面だけがある空間にカティルは閉じ込められていた。

周囲は暗黒の抽象的な景色だけが続く。

勇者は意思の宿らぬ瞳を微かに開けたまま、石のように倒れ伏して動かなかった。

もう何百年、何千年の時をそこで過ごしていただろうか。

外界とは時間の流れが違う空間、腹も減らず飢えず、だがどこにも辿りつけない

無音の世界。

そんな空間に閉じ込められ、一人の勇者はその空間に在る限り、生命の灯が消える事は無くとも、その精神が死に絶えようとしていた。

武器は風化し、燃え上がる心は消火して冷え切り、仲間達の顔も名前も上手く思い出せない。



そんな中ある時、少しばかりの変化が起こった。

カティルの周囲に、多数の半透明の幻影が現れたのだ。

「ああ!ああああ!ほま!ほまえ!」

長らく声を発することはなく、言葉の大部分を忘れかけていたカティルが

声を張り上げてその幻影に語り掛けた。

伸ばす手はその幻影には届かず、触れることはできない。

だがカティルにとっては体感として何千年ぶりかという人の姿をした何かに、

触れようと手を伸ばさずにはいられなかった。

助けを求めてではない。むしろ逆だ。その人型の幻影は倒れ伏し、

まるで行き倒れた人間のように見えたのだった。

「ほまえ!ひむな!いひろ!おひろ!」

カティルは声を張り上げてその幻影の人物に声をかけ続ける。

喉が痛み、吐く唾に赤い汁が混じろうとも、声が枯れて出なくなるまで、

カティルはそれに対して手を伸ばし、声をかけ続ていた。


それからまた暫く時が過ぎた。

相変わらずカティルにはその幻影が見える。

むしろその幻影は数を増やしている。

その輪郭がはっきりとして、前以上にカティルの目に見えるようになっていた。

それらは人型ではなく、立派な人間のようだった。

それぞれが違った武具に身を包み、数々の怪我を負い、そして皆同様に

意志薄弱して衰弱しきった死に体の戦士達の姿があった。

それらがどんどんとカティルの周囲にそれらが映る様になり、それまで

無のような空間だったそこを徐々に埋めていく。


「のお、ビシュメルガよ。あれは何じゃ?」

ビシュメルガと並んで勇者を見守っていたドラコーが尋ねた。

「・・・簡単な話、先達よ。

古代の時代から現代に至るまで、あの罠にかかって閉じ込められた囚人は

どの罠から入ろうと最終的には一つの牢獄に集積される作りなの」

「つまり、あれは幻覚とかではなくて本当に今も生きている古代の戦士ってところかしらぁ?」

セシリアの言葉にビシュメルガは無言で頷いた。

「どれだけの強戦士や勇者を閉じ込めようとも逃げ出すこともできず、破れない。

ぴたりと止まった世界で、現代も過去も未来もない空間に永遠に幽閉される。

あれがあの罠の本領発揮てことよ・・・」

「素敵!私も欲しいわ、ああいうの!あんたから主神に私にもアレ融通してもらえるように頼めないかしらぁ?

ビシュメルガ!」

「できるわけないでしょ!」



細く鋭い先端を有した刺突剣〈レイピア〉を二本手にした剣士がいた


木と金属と肉のような質感の素材を重ね合わせて作られたような不気味な弓を持つ射手がいた


とてつもなく太い腕と拳に分厚い籠手を付けた格闘家がいた


禍々しい刃を付けた剣を手に握ったまま膝をついている竜人がいた


白い鱗と透明な羽膜を持った小竜を抱きしめた騎士がいた


はっきりと見えているのに体が透けている魔導士がいた

その下には同じ衣装を身に纏った白骨が崩れ落ちている


どうやら死すらこの監獄から解放されることにはならないらしい。


中には小さな子供さえいた。

小さく、鎧や防具を身につけている様子はなく、戦士らしからぬ子供だ。

ただ、今まで見たこともない服装をしており、その手には見たこともない素材で

作られた、切れ味は皆無であり、あまりに軽く、押すと不思議な輝きを放って

軽快な音を発する謎のスイッチ機能がついた剣を持っていた。


見目麗しく可憐で、華奢な体に釣り合わないような大剣を背負った少女がいた


全身が機械で作られた人型の思考する古代兵器が膝をついて停止していた


相棒と思わしき巨大トカゲのような赤い地龍と肌を寄せ合っていた竜騎士がいた


それ以外にも数々の兵士、戦士、魔導士の姿が見られる。

だがそれらに共通するのが、目に生気がなく、肉体よりも心が死に絶えていると

見える者達ばかりだった。

カティルもまさに今、それらに混ざりつつあった。


〈もう・・・いいかなぁ、このまま目を閉じて、ただ眠りたい〉

何も考えず、何も考えず、何も思わず、何も終わらず

ただただ ただただ、このまま消えてしまいたい。

消えてしまいたい。

既に彼の脳内に仲間達の姿や声を思い出すことはなかった。

目を閉じもせず、開けたまま、意識がただ遠のきかけていた。


「だめよ!!ダメダメダメダメダメ!!ここで倒れるなんて許さないわよ

カティルきゅん!!」

見て居られなくなったビシュメルガは半発狂して映像を映し出していた

黒い卵を乱暴に振り回す。

「うわぁ、ビシュメルガ、ちょっと落ち着いたらぁ?」

「そうじゃそうじゃ、余たちが騒いでおっても何も変わらぬぞ?」

「うっさいわよジャリ娘と黒トカゲ!!

これが落ち着いてらんないから騒いでんのにぃ!!」

「うわぁ、こわーい。確かサル獣系最強種にカイザーコンガーって

のが居たって聞いてたけど、リアルで見たの初めてー」

「ワしもー」

二人の魔王は、距離的に少し離れた視点からビシュメルガを眺めていた。

「ウホ ウホ ウホ ウホ ウホ ウホホ!」

その暴れる姿はまさにメスゴリラ的であった。

「セシリアは慌てておらぬのお?実の娘の婿候補であろう?いいのか?」

「あら、当たり前じゃない。簡単な話よ」

「???」

ドラコーは眉をひそめる。それに対してセシリアは冷静に、はっきりと

した声でこう言い放った。

「この程度の逆境も乗り越えられない雑魚に、神殺しなんてできないんだから。

ここで死んでくれた方がイツカちゃんのためよ」

セシリアは優しげな笑顔を崩さず、冷たくそう吐き捨てた。


ポワァ


「・・これは?」

その時である、黒い卵が光り輝いた。

正確には、黒い卵に映し出されている風景の中に、何か光るモノが

突如として出現し、それが強い光を放っていた。

それは一つの魔法陣が放つ光だった。

薄暗い空間の空をいっぱいに照らす眩い光を放つ線で描かれ、

ビシュメルガでさえ見たこともない未知の術式で組み立てられた魔法

術式で構成されている図形が天に輝いている。

それは生命や物質を移動させる転移魔法の一つであるらしく、

空の魔法陣から、見知らぬ一団が舞い降りた。

「ねえねえお母さん、ここにお・・・さんが、るの?」

ビシュメルガの黒い卵では彼らの音声が拾いきれず、音が途切れて聞こえてくる。

「え、そ、よ」

「どこ、こ?ボク探、たい」

「きっと、と違、い恰好で、るん、ね?すぐ見つけられるよな!」

彼らは大きい大人が一人と小さな幼子が三人〈男の子二人と女の子が一人〉の

パーティーだった。

だが全員、目元まで覆い隠せるフードを被っており、その顔はわからない。

「母さ、もそ、たい所なんだけ、駄、のよ」

「なんで?」

「あの大、鹿ド、ターのせい、!あまり長、時、この、代に、られないんだって」

「「ええええ!?」」

三人の幼子は不服そうに揃って声を上げた。

「だから残念、けど、と、さ・探、はできません。それよりも早く、クターが開発した、の術式、展、せて、

お、うさ、を助けたら直、帰、ね?」

「・・・でもお」

「カッタ?おうちでお留、番してる、ツカ、マ、とズッ、ちゃんだって、お、うさ、と会、の我、して、だよ?」

「・・・・うん、っかった・・」

「なら、く早、、時、がないんだから、輪を作・・」

女性に言われて、幼子達はお互いに手を繋ぎ合って親と思われる女性とサークルを作る。

「はい、呪文の詠唱いくわよ」

女性に急かされるように、四人は声を揃えて呪文の詠唱が始まった。

「pbtiartpwmtn~」


「aoamiaaaooai~」


「pkcikkypmrmn~」


「auhraioaauee~」


とても人間の声では発音のしようのないその呪文、四人それぞれ違う詠唱を

編み上げていた。

それらが重なり合う、相当に複雑な術式であるようだった。

「よし、それじゃ最後に、皆で一緒にいくわよ?せーの!」


「「__と____さんガンバレー!!」」

四人が声を揃えて叫ぶ。この空間の中の誰か特定の一人に届けというように。

その最後の一声によって謎の術式は発動した。

謎の四人を中心に、巨大な光の波が外側へ向けて一気に広がっていく。

「!?」

カティルが大きく目を見開いた。

何万年かという岩のようだった意識が再生されていく。

記憶を取り戻し、忘れていた仲間達の顔が、声が、名前が思い出される。

自分の使命や目的を取り戻し、彼の心はまるで、ついさっきこの異空間に

迷い込んだ時の様な状態に回復していく。

「くっ!」

立ち上がったカティルはおもむろに地面に落ちていた金属片を掴んだ。

今回のカティルに授けられた武器に用いられた暗黒鉄の金属片だ。

それに使用していた多くは風化しているが、僅かに残っていた。

それを手に、カティルはまた前へ一歩一歩と歩み始める。


「ぐ・・ああ・・ああああああ!

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

突如として周囲の者たちが次々と声を張り上げて叫び、立ち上がる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「がああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


ぶる・・・ぶるる・・・ぶるるるるるるる!!

人型をした古代兵器の体が震えだす。


ぶほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!


その鉄の体の隙間から排気する能力が動き出す、ボディの中に入り込んでいた粉塵が勢い良く噴き出す。

ガタ・・ガタガタ・・・・バアア!!

そのガラスの瞳に光が灯り、その目から放たれる輝きが激しさを増していく。

最後に体の各所に内蔵された兵器の動作確認を始める。

脚部チタニウム合金ナイフ収納ホルダー開閉、動作良し。

腕部マイクロミサイル発射管動作良し、ミサイル残弾数、問題なし。

腹部ハイパークラスタービーム射出装置『メガデス』、動作良し。

胸部ツインジェネレーター出力、規定値クリア。

重力反転フィールド発生型浮遊装置、問題なし。

肩部二連式大出力レーザー照射装置『プロミネンス』、動作・・・

出力不安定、ただし出力を60%まで弱めれば照射自体に問題なし、

作戦行動に問題なしと判断、パージは保留とする。

よって動作良し。オールクリア。

「Confirm reboot,Operation check,60% 70% 90%・・・complete!

言語、極東語をベーシックに変更。

対敵性機械軍殲滅用起動兵器、桃山重工製2261式 bullet7083号・・・再起動」

bullet7083号は最後に、自分の体の回復を自覚した人間がそうするように、

自分の拳をグーパー繰り返し、その手をじっと見つめていた。


「行くよ!パーシグ!」

「ok!ぎゃーおー!!」

騎士が抱いていた小竜に熱く呼び掛ける。

小竜は自ら羽ばたいて見せ天を向いて叫ぶと、その体が巨大化し、人を乗せられるほどに大きい成体のドラゴンへと姿を変えた。

「行くよ!ここから抜け出して、今度こそ暗黒竜グロウバニシュを倒すんだ!!」

騎士ランドは頷くと、相棒の背に乗り、その首を数回撫でさすった。

それを合図にパーシグは羽ばたいて飛び上がる。


「俺達も行こうぜ、ベベ!!」

その飛び上がるのを見て、竜騎士は相棒の赤い地竜に飛び乗った。


次々と戦士たちが立ち上がる、目に光を取り戻し、前を見据えて歩き始めた。

一様に向かう方角は同じ。言葉は無くとも、皆がまるで出口がどこにあるのか

知っているように、必ずたどり着けると確信するように歩き始めた。

その道の先頭を突き進むのは、カティルだ。

カティルの背後から、この空間に閉じ込められていた何十、何百という戦士たちが

秩序だって群れを成し、一つの軍隊のように行進を始めている。



「な・・・なんなのよ、こんなのって・・」

その様子を黒い卵を通し、ビシュメルガ達はは俯瞰して眺めていた。

あり得ない、そのような光景は見たことが無かった。

「ビッシューよ、あの魔法は何だったのじゃ?」

「変な呼び名付けるんじゃないわよ黒トカゲ!」

「さっき現れた一団は何だったのぉ、メルメルゥ?

神にしては神気や魔力が只の人間なみに弱そうだったけどぉ?」

「だから呼び名で遊ぶのやめなさいって!・・・私にも分からないわよ。

ただ・・・」

「ただ?」「勿体付けずに教えよ」

「・・・これは想像でしかないわよ?

もしかしたらなんだけど、あいつらが消失した瞬間のマナの散り方に特徴があったのよ。

あれはなんていうか・・・・・昔、変わり者の旧神が研究していた魔法があと一歩のところで失敗した時に似ていたかも?」

「どんな魔法!?」「どんな魔法じゃ!?」

{そうやって顔を近づけるのやめてくれない!?」

ビシュメルガは全力で嫌そうにセシリアとドラコーの幻影から顔を背ける。

だが狭い球体のガラス玉空間の中では、逃げられない。

「・・・・時間移動魔法、かも?」


カティルを先頭に、戦士達は歩み続ける。

ぞろぞろと多くの戦士たちは様々な武器を手に、様々な乗り物に乗り、しかして

速度は揃えて進んでいた。

それはもはや無秩序な流浪の集団ではなかった。

確たる意思をもって統一された軍隊のように、同じ意思をもって土煙を上げ、

前進を続けている。


〈ああそうか、そうなんだ〉

その奇妙な一体感の中で、カティルはうっすらと感じ始め、気づき始める。

ここに囚われていた者たちが何者であったか。

本当に神々の怒りに触れた物取りたちだったのだろうか?

本当にただ運が悪く、足を滑らせて谷底に落とされたよえな

不運な者達だったのだろうか?

いいや、それは誤解であった。

彼らはそう、カティルと同じだ。

何かしらの宿命を背負って戦ってきた、歩んできた。

その過程で敗れ、罠に囚われていた、悲しき者達だ。

カティルは理解した。

ここにいる皆が、そうだ。


彼らはそう、皆、何処かの世界の、誰かのために戦ってきた、勇者〈カティル〉なのだ。



どれだけ歩いたか。また何千年も歩いたかも知れないし、数時間程度の行進だったかも知れない。

だがそれらは些細なことだった。

カティルも全員、どれだけ時間が掛かったとしても、ここから抜け出すという

目的のためだけに行動し、自分の命を捧げる覚悟できたのだから。

次第に、変化が生じた。

何もない荒野だと思っていたこの世界の果てで、カティル達は一つの大きな壁を見た。

「・・・・・・・」

無言でその壁を見つめる。

ただ巨大な土と岩が積み重なった断崖絶壁。

無骨で飾りっ気もなく、仕掛けも魔術的な作用も感じさせない。

その壁が上にどこまでも伸びて続いている、とても飛び越える事はできそうにない。

だが、だからこそ。カティル達は自然と理解した。

この先に外がある。

「いくぞ、みんな!」

カティルは自分の右手に掴んだ金属片をギュッと握った。

カティルは右手に意識を集中させる。

微かな温もりと、それに合わせて手の甲が光を放つ。

光は一対の羽を描いた紋章を浮かび上がらせる。

その紋章から光の両翼が飛び出し、鷹を形作る。

光の鷹が完全に具現化した時、力強く羽ばたきだした。

羽の先から伸びた光の帯が、自身と千を超える勇者達の体を包む。

その効果は、勇者全員のステータスを大きく上昇させた。


「そんな!ライトニングエッジに、これほど広範囲に及ぶほどの効果があるはずは!?」

ビシュメルガは大きくを目を見開いて、黒い卵に頭をぶつけるほど近づいて凝視した。


勇者達はそれぞれの武器を手に構える。

剣持つ者は抜き出し、弓持つ者は弦を引き、拳もつ者は構え、杖持つ者は振り上げ、

竜乗る者はその背を叩く、馬乗る者は槍を天に掲げ、声上げる者は口を大きく開いて息を吸う。

それぞれが、それぞれのやり方で準備を始める。

「行くぞ、ぜったいにここから出てママの所へ帰るんだい!

ガジェットてんかい、ブレイブメダル、そうちゃく!」

少年は玩具のような剣の窪みに三枚のメダルを重ねてはめ込むと持ち手のスイッチを押す。

その玩具と思われていた剣が輝き、声を放って答える。

「ok! bravery medal loading!

atlantech power! shining power! Tachyon power! setup!

a shi ta! combo!!」

「この手にぜったい明日をつかむ、ブレイブブレイバーの力をこの異世界の皆と共に!!」

少年の姿が変わる。全身を覆う未知の伸縮自在の布地、光り輝き頭全体を覆い隠す

ほどのヘルメットを被り、長いブーツを履いた。誰も見たことのない姿であれど、

それはどこか戦士の装束と周囲の皆が伝わっていた。


「胸部ジェネレーター、期限付きで約一分間、最大出力。メガデス、プロミネンスにエネルギー充填。

メガデスの拡散範囲を集束モードに設定。照射範囲をプロミネンスと

同期よし」


「パーシグ、ここから出たら暗黒竜をぶっ倒したらさ、先ず何がしたい?」

「ぎゃおっ!香狐館の肉まんをお腹いっぱい食べて、珍香春ねえねのお胸にダイブ!

ナデナデしてもらいながらお昼寝!!」

「いいねえ、俺もそれが良いな!」

パーシグとランドは二人で同じように笑いあった。


「べべ!ここから出られたらご褒美は、デカハゲ苔兎の丸焼き二十羽だ!」

その言葉を聞き、赤い地龍ベベは目を輝かせる。

「だから今、全力で頑張れ!!」

ベベは何度も首を縦に振った。


全員の攻撃態勢が終わったようだ。それを見計らって、カティルは手を振り上げた。

一つの金属片しか掴んでいなかったその手の中から光が放たれ、長い光刃を形作る。


「どういうこと!?私、誰も、カティルきゅんにあんな技教えてなんて・・・」


「・・・ライトニング、エエエエエエエエエエッジ!!」

両手でしっかりと光刃を掴んだその手をカティルは振り下ろした。

それに合わせるように次々と放たれる勇者達の最終奥義。


「ローズスピアー、開花!フルストライク・チャージ!」

「ジュダスバロウ・インペリアルシュート!」

「カイザーナックス・オリジン・メガス!」

「竜牙天聖・天地開闢!!」

「唸れパーシグ!ツインバスター・マキシマムストライク!!」

「ぎゃーおー!!」

「ホーリーブラスター!!」

「元気が一番!べべフレイム百倍火力!!」

「ギフテッド・スラッシュザンバー!!」

「全開放ギガブラスター!!」

etc


その勇者達の一斉攻撃が砂埃を巻き上げ、人々から一時的に視力を奪うほどの

強大な閃光と激しい爆音を放つ。

ビシュメルガの黒い卵すら、映像が途切れ、カティル達の様子を捉えることが

できなくなっていた。

「・・・・ねえ、メルメル?」

「なによ?」

「よかったの?」

「だから何が?」

「あの勇者様、ライトニングエッジを使わせないよう妨害しなくちゃならない

んじゃなかったかしら?」

「はあ?何言っ・・・」

言われて、ビシュメルガはハッとなって思い出した。

カティルは今、とある戦神に呪いのような加護を受けていたのだ。


『ちょー優秀でちょーイカした神の祝福』〈期限:特定の神との決戦、またはスキル******習得まで〉


効果:ライトニングエッジの使用回数増 威力増

デメリット:発動一度ごとに〈まだ見せられないよ〉する


「・・・・っ!?」

前話とは違うポージングの氷像が出来上がった。


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